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おおきくなるということは。

姉に高校三年生の息子がいる。

彼とは、彼が産まれてからの、いや、細かいことをいえば、産まれる前からのお付き合いである。

「兄弟姉妹の子どもって手放しでかわいいよ!」と聞いてはいたが、それは、「親としての責任を微塵も感じることなく、ただひたすら可愛い!と思える存在である」という意味だと知ったのは、自分が親になってからからだ。

そんな彼も18歳。大学受験の真っ只中。明日は本番の試験なのだそうだ。

いつもは早寝だが、たまたまトイレに起きた時に携帯をチェックした。すると、姉からのSMSが数分前に来ていたようだ。「息子が進路の事で悩んでいるみたい。話したいっていってるんだけど。」と。子どもたちは熟睡していて、呼ばれる心配もない。今なら話せるよ、と返信し、久々に話をした。

明日の受験校以外にも受験するか、迷っている。一年、浪人して自分のやりたいこと、目標がみつけられたらいいのかな、とも思うと。

要約したらそんな話だった。

明日受験!?早く寝なくて大丈夫か!?と思いつつ。他に受けるか迷っている大学には行きたいの?と尋ねると、そうもでない、と。明日受ける大学もどうしてもここに行きたいということでもないようだ。

「目標を見つけて、決められなかった自分が悪いんだけどね。」と彼は言った。

目標かぁ。

18歳の時の自分に目標があったか、と言われたら、皆無だった。とりあえず、行けそうな学校にいって資格でもとろうかな、といった程度だった。やりたいことはあったが、仕事に繋がりにくい分野だと思えたし、その専門学校に通うにはお金がかかり過ぎた。

「浪人するのも、いいよね。モラトリアム期間、いいと思うけどなぁ。ずっと小さい時から、学校、塾、習い事、今はバイトって時間に追われてきているだろうし、なんにもしない一年間もアリじゃない?なんにもしていないようでも、きっと何かしら考えたりするだろうし、一年の間にいろいろ見たり調べたりして、選択肢を増やすのもいいな~と思うけど。」

と、叔母さん風を吹かせて言ってみた。実は、これは、自分がそうしたかったことなのかもしれない。高校を出たら大学か専門学校へ。卒業したら就職。それ以外の選択肢を知らなかったから、それが当たり前だと思い込んでいた。しかし、彼の話を聞いたら、時代が令和になってもその構図は然程変わっていないことに驚いた。

高校から推薦やAO入試で大学に行くか、公務員試験を受ける、受かる確率はそう高くないので、大半は公務員になるための専門学校を選ぶ、と。

選択肢は出来るだけ多くあったほうがいい。選んでみたけど、違うと思ったら、また選び直せばいいんだよ、と言ってくれる人が居たら良かったと若い頃に何度も思ったことを彼と話ながら思い出していた。

日本仕事百科というサイトを紹介してみた。


「私達、世の中にどんな仕事があるか、意外と知らないよね~こういうの読んだり、興味があったらもっと調べて土地を訪ねてみるのも面白そうだよね。」とサイトを見ながら電話で話した。ネットで同じ物を確認しながら会話できる、便利な時代だ。

おおきくなるということは、いろいろな現実が見え、それが選択する際の足枷になることもある。私達は失敗を恐れるし、間違いを恐れる。でも、「自分で選択できる力」がある限り、どうにかできるのだと思う。できなくなったら、またやり方を考えればいい。大学に合格することは選択肢を広げる通過点だ。

試験が終わったら、札幌に遊びに行きたい!と言って電話を終えた。いつでも歓迎だ。おおきくなったあなたとどんな話ができるのか、今から楽しみにしているよ。

とりあえず

明日、寝坊しないようにね!!!!

学校に行かない選択をしたこどもたちのさらなる選択肢のため&サポートしてくれた方も私たちも、めぐりめぐって、お互いが幸せになる遣い方したいと思います!