漫画みたいな毎日。「ボートネックの意味とは。」
夫は、洋服に頓着しない方だ。
大事なのは、清潔であること、着心地が良いこと、動きを妨げないこと、生地が丈夫であること。縫製が良いなら、更に嬉しいだろう。
彼には、シンプルで、きちんとした感じの服が似合うと思う。
Tシャツやカットソーより、ジャケットとシャツ。
シャツの裾は当然、しっかりとボトムスに仕舞う。
そんな夫が、穴の空いたビンテージ・ジーンズとか、ポップな絵柄の洋服を着た彼を想像するのは難しい。
洋服には、色々な種類があるが、中でも、Tシャツを着こなすのは、難易度が高いと思っている。そんなことで、私が外出時にTシャツを着ることは、ほとんど無い。
「痩せたらなんでも似合うんじゃない。」という夫の正論には耳が痛いが、スタンダードなTシャツが似合わない人も、少ないとしても一定数は存在しているのだと思う。
裁断や縫製にもよるのだろうが、自分に、しっくりくるTシャツを探してはいるものの、コレ!というものに未だ出会っていない。
夫の場合、Tシャツは、下着に近い扱いで、上からシャツを着てしまうことがほとんど。どんなデザインでも、外からは見えない。だから、私の好みのTシャツを選んでも着てくれる。
しかし、夫は、Tシャツを着用するときでさえ、ボトムスに仕舞う。
最初は、Tシャツをしっかりとボトムスに仕舞うことに驚いた。
〈TシャツをINするとは、どういったことなのだろうか?!〉
10代、20代とアルバイト代、就職してからのお給料を美味しいものと、好きな洋服に注ぎ込み、〈少女〉というカテゴリーに収まっていた時代は、〈オリーブ少女〉だった私としては、何故?!の嵐だった。
しかし、「Tシャツの裾を中に入れないと、ボトムスが直接肌に当たって気持ち悪い。お腹や背中の汗も吸わないし。」という夫の言い分。
なるほど。
自分であれば、決してINしない。
でも、夫はそうしたいのだから、別にいいか、とあっさりと思った。
夫は、私ではない。
本人の好きにする自由がある。
最近では、トップスをINするコーディネートもたくさん見かける。
もしかして、夫は流行りを先取りしていたのか!?
・・・いや・・・多分違うだろう。
付き合い始めの頃に、私は夫にボートネックの長袖Tシャツをプレゼントしたことがあった。濃い水色とチョコレート色のボーダーだ。
夫は物持ちが良いので、今もそれを着ている。しかし、夫の好みではないのか、その長袖Tシャツは、あまり登場しない。
先日、その長袖Tシャツを着ながら、夫が呟いた。
「あのさ、ボートネックの意味ってなんだろうね?」
ボートネックの意味?
考えたことがなかった。
ボートネックが似合う体型とか、そういったことは考えたことがある。
鎖骨が綺麗に見えるし、比較的、細くて薄い体型の人に似合うだろうと私は思っているが、このような説明があった。
説明によると、体型を選びにくいとある。
本当に?!
細くも薄くもない私には似合わないが・・・。
そして、鎖骨。
憧れの鎖骨。
私の鎖骨は何処へ。
周囲と一体化している・・・。
ちなみに、夫の鎖骨は綺麗だ。
夫が鍼灸学校に通っていた時、実習でお互いに鍼を打つ際など、上半身裸になり、互いに施術し合うことがある。
ある時、同級生の女性に、「鎖骨萌え〜!」と叫ばれたことがあるらしい。
私は、無意識にも、夫の鎖骨が映える洋服を選んでいたのか?
恐ろしい、鎖骨萌え。
今度、夫に、「ボートネックの意味とは?」と問われたら、
「より綺麗に見える鎖骨を、私が、眺めるため。」と答えよう。
しかし、そんな答えを聞いても、
「・・・首がスースーして落ち着かないんだよね。」
そう言って、彼は、躊躇することなく、首に浴用タオルを纏うのだろう。
学校に行かない選択をしたこどもたちのさらなる選択肢のため&サポートしてくれた方も私たちも、めぐりめぐって、お互いが幸せになる遣い方したいと思います!