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共感不可能性の共感

 なんのこっちゃというタイトルですが、これは先日、ローンディール社さん主催のリアルイベントにお邪魔した際に、登壇されたNPO法人代表の奥田さんがおっしゃられた一言。丁寧に言うと「お互い全てを共感しあうことは不可能ということをお互いに認め合いましょう」ということです。
 私が思っていたことをズバッと一言で言っていただいたので、すっきりした気持ちでイベントを後にしました。

寅さんの名言

 「お前と俺とは別な人間なんだぞ。早え話がだ、俺が芋食って、お前の尻からプッと屁が出るか!」
 寅さんの「男はつらいよ」での一言だそうで、奥田さんが大好きな言葉と言っていました。奥田さんは「ほうぼく(抱樸)」というNPO法人を運営しており、ホームレスを支援されています。ホームレスの方々に「大変だよねえ」と共感から入ると、2割の確率で「お前に俺のことが分かるわけないやろ!」と怒られるそうです。

マネジメントでの失敗

 私は10年ほど前にはじめて管理職につきました。今でこそ経験を重ね、悩む管理職にアドバイスすることも多々ありますが、最初は失敗もありました(自分で言うのもなんですが、失敗してなんぼです‥)。
 まさに最初の失敗が、私はこう思うからあなたも理解できるでしょ、だからこうやってね、の押し付けでした。当然ながら、メンバーとはうまくいかず‥。経験を重ねるにつれて、人はみな考えも価値観も違うし、得意不得意もあるという当たり前のことを理解しました。今は他人を尊重する、メンバーは良いところを伸ばす、苦手なことをあれこれ求めてもしょうがない、と考えています。

人間チョボチョボ論

 自分の考えは大事で、言葉で示すことも大事です。ただ、相手の反応が思ったとおりじゃないと、この人とは相いれないとなり、対立状態になる関係を多々見てきました。自分は正しい、相手は間違っている、ですね。まずは相手の考えを受け入れようよと言っても、中々通じません。
 もう人間はみなバラバラで、分かりあうなんて無理やん!となっちゃいそうですが、作家・小田実さんの名言に「人間みなチョボチョボや」があります。ライフネット生命創業者の出口治明さんも「人間の能力は、それほど高くはない。とくに賢い人も、とくにアホな人もいない。ちょぼちょぼである」と。いいですね、みんなチョボチョボ。 
 それぞれが違うことを理解しつつ、その違いは別に大したもんじゃないと思うと、気持ちがラクになれる気がします。誰かに偉そうなことを言われても、ふむふむ、まあ人間チョボチョボやし、とまずは思えばよいのです。

異質な力が結集するほど強くなる

 パーパス経営の第一人者と言われる名和高司氏は「異質な力が結集するほど会社は強くなる」と言います。つまりは、違いがある人がいればいるほど、会社にとってはいいのですよと。同じような人が集まってもイノベーションはおきません。
 この人材こそが会社の宝であり、経営の役割はこれを結集し、推進することにあります。そのためにビジョンだったりパーパスだったりがあるのですが、長くなってきたので、これはまたの機会に書きたいと思います。

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