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アンビバレント



親子とか。夫婦とか。恋人とか。友だちとか。


人と人との繋がりや思いが伝わる何かが苦手だ。


そういう場面や状況。創作されたものでも現実でも。そういう場面に出くわすと。心が震わされたり込み上げてくる感情があったりする。


家族というものや。恋愛や結婚というものに。ずいぶんと冷めた考えを持っている自分なのに。驚くほど心を揺さぶられてしまう。


そうしたアンビバレントな心に気付いたときに。心のが上下に振られてしまい。疲れるから。苦手と感じているのかもしれない。



自分が好きな漫画の「薬屋のひとりごと」の。功績を上げた武将に下賜される姫の回。幼馴染で想いあっていた2人は。1人は戦場で武功を挙げ、1人は後宮で皇帝の手につかないように夢遊病を装う。いざ下賜され再び出会った2人が見つめ合うシーンは不覚にも涙が出そうになった。


ドラマ「コウノドリ」の。高校生カップルの妊娠・出産の回。ことの重大さを分かっていない2人が、実際に出産して赤ちゃんをみた瞬間の表情に。演技とは思えない迫真の表情に心揺さぶられた。引き離されていく親子と。引き取られて新たに親となる人との出会いと。命の誕生と別れと出会いと。絆ができる間もなく次の絆へと渡っていく。現実にもあるであろうストーリーなだけに心が壊れるかと思った。



街中で出会った、抱っこした赤ちゃんを愛おしそうに見つめる女性。たぶんその瞬間はその女性が誰よりも輝いていたのではないかと感じる。


ラジコンに夢中な兄を後ろから追いかけていく妹。お兄ちゃんのことが大好きなんだろうなと感じるくらいには一生懸命に追いかけて。目をきらきらさせて兄に話しかける。いつまでもそうあって欲しいと願う。


手を繋いで歩く初々しい男女の後ろ姿に。また子どもたちを抱えて歩く夫婦とすれ違う瞬間に。その2人が楽しそうにお喋りながら去っていくのをみるときに。素敵だなと感じて2人の幸せな時間が続くように密かに願う。



家族や結婚、恋愛に関してずいぶんと荒んだ感情や見方をしている自分なのに。こうした感情が心の奥底から込み上がってくるのは。


きっと人と人との絆を心底欲しているからなのかもしれない。家族というものの温かみを。心と心が通う関係性を。渇望しているんだろうな。そう感じる。


生まれ育った家庭も。長く付き合った人との恋愛も。だいぶ傷つけられてきたし。また傷つけてきたし。傷つけることで自分自身も傷ついてきたし。そういう関係性しかいままでなかったな。そう思い出すとたまらなく寂しい気持ちになる。


ここまで傷ついて拗れた心が素直になることなんて。今後将来果たしてあるんだろうか。1人で生きていけなくもないけど。でも傷ついた心のまま。擦れた見方をして過ごしていくのはあまりにも悔しすぎる。



でも最近救われた気持ちになったことが二つあって。


ひとつは自分が家庭で体験してきたことが実は虐待だったと社会的に認知されたこと。


もうひとつはSNSでひととき話題になったザ・ドキュメンタリーの。婚活で男性を詰める女性の動画を見たとき。あ、これ自分が体験してきたことそのままだと。そう感じて。そして多くの人がその女性の言動をひどいと評価していたとき。ああ、そうだよね、これひどいよね。自分が悪いと思い込まされていたけれども。どうやら自分だけが悪かったわけじゃないらしいと気付かされた。


気持ちに一区切りついた気がして。


思い返せば。ここ数年の間に好意を向けられたことは何度かあって。でも表向きの拗れた感情のままに言葉を濁したり距離を置いたり。


ああ。酷いことしてきたなと思うけれども。今こうして自分の気持ちに初めて気づいたのだからと。そう考えることで。ちょっとした苦い気持ちを抑えている。


恋愛とか結婚とか。もうそういう時間をもてるほどゆとりはなくなってしまっている気がするけれども。


でも。アンビバレントな感情に揺さぶられながらも。顔を上げて。前を向いて生きていける。


そんな気がした。


ここ最近の出来事。



だて。











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