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ブックティータイム「妖異金瓶梅」
透明なガラスポットの中に、種々の色彩がゆらゆらと揺れている。彼女が優雅な所作で取り出したのは、よく使うマグカップではなく白い花びらのように薄い磁器の湯呑だった。
注がれる液体の香りは紅茶に似ていたが、紅茶よりずっと色味の薄い金色がかった茶色であり、湯呑の隣に置かれた皿に乗っているのは、無邪気な華やかさに溢れた中華菓子だった。花や草木を象った月餅菓子は、気取った和菓子のような繊細さはない代わりに、親
「雨降る日に」140字小説
ふと窓を見ると、向こう側の景色を隔てる硝子に、一滴、雫がぶつかった。そう思っている間に、雫は見る間に増えて、幾筋もの流水になっていく。不安そうに窓を見る彼女は、確か傘を忘れていたはず。…下校時刻。言うのだ。きっと言うのだ。僕は、傘を握りしめた。
「夢十夜を読んで 」 書評、創作
こんな夢を見た。
自分はとあるサーカスで働く道化の少年である。白と黒の化粧をし、同じ色の白黒の道化服を着て、毎日客の前に立っている。年齢は幼く、サーカスのヒエラルキヰでいえば底辺に属するような位置である。賃金も大変に少ないが、しかし、自分はさして悲しんではいなかった。自分の隣には、道化の相棒がいるからである。相棒もまた、白黒の紛争をしているが、少しだけ赤色の混じった服を着ている。身長は自分よ