生成AIを使ってアプリデザインしてみた③(ツール比較編)
はじめに
こんにちは!Sun*デザインチームです。
本記事は全3回にわたってお届けする「生成AIを活用してアプリデザインをしてみた」の3本目、ツール比較編です。
1本目の記事では、3人のデザイナーがリサーチフェーズ、体験設計、UIデザインそれぞれのデザインフェーズを担当し、その中で生成AIの活用方法を探索してきた内容を紹介しました。
2本目では、4人のデザイナーが生成AIを各々思うままのデザインプロセスで活用し、その違いから見える生成AIの活用最適解とは?をお届けしました。
最終回となる本記事は、これまでの内容を総括し、アプリデザインをする上で各生成AIツールがどのデザインフェーズで活用できるのかという比較をお届けします。
ツール比較まとめ
これまでデザインフェーズごとに生成AIツールの使い方を検討してきました。その比較と評価を、UXの5段階モデルをベースに、実装部分の観点も追加してツール比較表としてまとめてみました。
また評価の軸として、次の3つを定めて比較しています。
十分に活用できる
工夫次第で活用できる(人間の手を一部加える必要がある)
別ツールの利用推奨
あくまで私たちが使ってみた主観での評価であることと、各AIについて無料/有料で機能や性能に違いが出る可能性もあるため、その点は承知のうえでご覧ください。
それでは、それぞれのツールについて私たちが使用してみて感じた違いを、Good / Mottoでまとめた内容をお伝えします。
ChatGPT
Good
やり取りした内容をふまえて(コンテキストを理解してくれた状態)次に入力したプロンプトの内容をアウトプットしてくれるため、毎回前提条件を書き直さなくてもいい
一般知識から技術的なトピックまで幅広く対応しており、アウトプットとしてもライティングから画像生成まで多岐にわたる表現ができる
Motto
感情をより的確に反映し、人間味のあるニュアンスが求められる文章の生成は難しい
視覚的なデザイン提案の深さや最新トレンドへの対応では課題がある
Gemini
Good
最新の検索データを活用し、質問に対してトレンドに沿った幅広い情報を一度に提供してくれる
Googleのエコシステムと統合されているため、資料作成やチームコラボレーションを効率化してくれる
Motto
情報量が多い分、内容を整理するのに少し手間がかかる
インターフェースや生成されるコンテンツの日本語対応が完全ではなく、発展途上の段階
Motiff
Good
少し手直しをすれば、業務で活用できるレベルのアウトプットができUIデザインの効率化につながる
画面単位だけではなく、コンポーネント単位でもデザインを生成でき、用途に合わせた使い方ができる
Motiffで作成したデータは画像データ(PNGやJPEG)・PDF・SVGなどで書き出すことができる
Motto
独立したデザインツールのため、Figmaへの変換は対応していない
1画面ずつ出力するため、画面の流れに矛盾が生じる場合がある
色が画面ごとに異なるなど、デザインコンセプトの反映は難しく、人による調整が必要
Galileo AI
Good
機能要件がまとまっている画面を30秒もかからず出力できる
画面で達成すべき要件をプロンプトに入力することで、画面内の要素として抜け漏れなく出力することができる
Motto
多くの情報をインプットすると出力時の画面要素の優先度が曖昧になるため、インプット情報を絞ることや、制約条件を記載するなど工夫が必要
コンセプトの反映であったり差別化に繋がる表層面の細かい表現はAIで汲み取ることが難しい
出力内容が英語のため、ライティングなどを人間が調整する必要がある
v0
Good
簡易的なモックアップを作るためのコードを生成してくれる
アプリ画面の画像データやFigmaから、実装コードを生成してくれる
v0のインターフェースが2カラム(左側にプロンプトを入力し返答内容が表示、右側にビジュアルやコードの出力結果を表示)で構成されているため、プロンプトとアウトプットを比較しやすい
Motto
画面ごとのコード生成しかできないため、画面遷移などのインタラクション要素は実装時に繋ぎ込む必要がある
v0で作成された画面は、画像の形式やFigmaデータとしてダウンロードできない
こうして比較してみると、ツールによって特性が異なることがよくわかります。そのため、どのような出力内容を求めるのか、どのデザインフェーズで活用したいのか、ゴールに合わせて活用するツールを選択してみることをおすすめします。
最後に
全3回にわたる超大作を読んでくださりありがとうございました!
ここまでご紹介した内容は、2024年11月末時点での成果物からまとめた考察です。各ツールのアップデートや新しいツールの登場によって、活用方法は変化していくと予想されます。都度最新の情報をキャッチアップした上でご活用いただくことをおすすめします。
来年はどのようなデザイントレンドが来るのか予想しながら、年末を過ごしたいと思います。
それでは、次の記事でまたお会いしましょう!