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パートタイムの起業家がうまくいかない理由とは?

経営・ビジネスハック

2012.10.04

いつの日か起業したいと夢を抱いている人は多いだろう。しかし、安易に起業するのは止めた方がいい。

マイクロソフトを辞めてベンチャー企業を起業し、成功させた起業家のジェイ・バーティが面白い記事を書いているので紹介したい。

著者のジェイ・バーティは、人を探すための検索エンジン Spock.com の共同創業者だ。Spock.comは、サービスローンチ後わずか6ヶ月で、インターネットのアクセス数でグローバルトップ1000の中に入った。ジェイは、ウォール・ストリート・ジャーナル、タイム、ビジネスウィーク、フォーブズ、ニューズウィーク等の雑誌で取り上げられている。

Spockを立ち上げる以前には、ジェイは、マイクロソフトでプロダクトマネージャーをしていた。ジェイはウォートン校のMBAを取得している。

中途半端にギャングは出来ない

僕はHBOの番組「ボードウォークエンパイア」の大ファンだ。(アメリカに人気のドラマ。禁酒法時代のアトランティックシティを舞台にしている)
その番組の中で有名なせりふに「パートタイムのギャングはありえない」というのがある。

登場人物のひとりが語る台詞だ。中途半端にギャングをやる事は出来ない。暴力を使え。あらゆる手段を使わないと今のトラブルから脱出できない。相手のギャングは本気で攻めてくる、生半可な気持ちで相手をすると、相手の拳銃で蜂の巣にされてしまう。

ギャングと同じように、“パートタイムの起業家もありえない”。これはシンプルな真実だ。自身で起業したいと思うなら、全ての労力を注ぎ込む必要がある。自分の時間の半分だけを使って、会社を立ち上げる事は出来ない。

マイクロソフトを辞めて起業した

僕がベンチャーを立ち上げた時、それまで勤めていたマイクロソフト社を辞めた。そして、シリコンバレーに移住し、友人の家の地下室で寝泊まりした。お金も、健康保険ないし、貯金はどんどん減っていく。そんな事は全く気にならなかった。今やらなければ一生後悔する、とわかっていたからだ。結果的に、ベンチャーキャピタルから1000万ドル(約8億円)を調達、30人のエンジニアを雇う事が出来た。立ち上げたスポック社は、3年後に売却した。

もし、あの時マイクロソフトに留まっていたとしたら、あの時、お金の準備が出来てから起業すれば良い、それまではアイデアを温めておくべきだ、という周囲のアドバイスを聞いていたら、成功する事は無かっただろう。

起業にあこがれる人達

地方都市を回っていると、マイクロソフト社、グーグル社、ヤフー社といった大企業で働きながら、起業にあこがれる人にたくさん会う。彼らは、僕にアドバイスや人の紹介を頼むのだが、結局仕事を辞める事が出来ない。彼らは、仕事を続けながらゆっくりとアイデアを育ている。無理をしないで、会社を辞めずに起業できることを期待している。

こういう人達は、よく私にベンチャーキャピタルを紹介して欲しい、と言ってくる。僕は、必ず断る事にしている。

パートタイムでは起業できない

なぜなら、ベンチャーにフルタイムでコミットしていないと、ベンチャーキャピタルは取り合ってくれないからだ。あなたが、サラリーマンを続けながら、アイデアを温めているうちに、他の誰かが同じアイデアを死にものぐるいで追求しているのだ。

起業をしたいんだけど、家族がいるから会社を辞められない、と言う人がいる。そういう人も、起業は諦めた方がいい。家族を養う義務があると言う人で、実際に会社を辞めた人を見た事がない。叶わない夢を追い続けるのは時間の無駄だ。それよりも、今の仕事にエネルギーを集中させ出世した方が良い。

リスクを取るとは、何かを捨てる事

シリコンバレーで成功している起業家は、ビジネスを作ることに全てを捧げている。大事な何かを諦め、大きなリスクを取っているのだ。

ビル・ゲーツ氏もマークザッカーバーグ氏も、ハーバードを中退している。

彼らは、勉強を続けながら起業する事は出来ないと知っていた。市場の動きが早いので、大学を卒業してからでは手遅れになるからだ。

アマゾンの創業者のジェフ・ベゾス氏も、高い給料の投資銀行の仕事を諦め、シアトルに移り住み、物置きで起業した。それがアマゾンだ。彼のアマゾンへのエネルギーの注ぎ方は、並大抵ではなかった。そのため、クライナー・パーキンスのような大物ベンチャー・キャピタルも出資をした。ベゾス氏の情熱に圧倒されたのだ。

アドモブ社の創設者であるオマール・ハモウイ氏が、アドモブ社を立ち上げるためにウォートンMBAを中退した。その時、周りの人たちは、彼のことを頭がおかしくなったと思っただろう。しかし、数年後にアドモブ社はグーグル社に7億ドル(560億円)で買収された。ハウモイ氏には、携帯広告という新しい分野に早いタイミングで進出すれば、市場のリーダーになれるという確信があった。ウォートンを卒業するまであと1年待っていたら、彼は市場の流れに乗れなかっただろう。

会社を立ち上げるのは、想像を絶する努力が必要だ。成功した起業家達は多くのリスクを取ってきている。彼らが成功できた理由は、全てを起業に捧げたからだ。

起業するなら、100%コミットするべきだ

もし、あなたがしっかりとしたビジネスアイデアを持っていて、起業する実力もあり、リスクを取る余裕があるならば、仕事を辞めて起業するべきだ。人生は一度きりだ。人生を振り返った時に、夢にむかって挑戦した人生だった、と思える方がいい。

ひとつ覚えておいて欲しいのは、サラリーマンを続けながら起業しても、何も良いことはない、ということだ。夢を見るだけ時間の無駄だし、今の仕事に集中できなくなり、成果が出なくなる。

そして、あなたのライバルは、全力で24時間努力をしているのだ。

中途半端な起業家にはならないで欲しい。

全てを賭けて起業するか、起業しないか。

どちらか選ばないと失敗するだろう。

まとめ

どうだろう?大変面白い記事だったのではないだろうか?
僕は、2011年の6月に会社を立ち上げたが、想像していたよりも、ずっとずっと起業は大変だ。とても二足のわらじなど想像できない。

そもそも、ベンチャーは、大企業のようなリソースがない。人もお金もない。あるのはアイディアだけだ。そのアイディアを実際の形にするには、想像を絶する努力が必要なのだ。

それでも、自分のアイディアを形にしたい、世の中にインパクトを与えたい、そんな思いで起業するのが起業なのだ。

もし、起業しようかどうか悩んで居る人がいたら、是非、ジェイの話を参考にして欲しい。それでも、本当に起業したいと思う人は、ぜひ起業するべきだろう。僕も全力で応援する。

出典 :Business Insider ジェイ・バーティの好意で転載を許可して頂いた。


読者の方からのコメント

2012/9/6
田中あゆみさんからコメントを頂きましたので、ご紹介します。田中あゆみさんは、学力世界一のフィンランド流の教育を取りいれて、新しい形の教育をオンライン上で提供するサービスを準備中との事です。

あやしい副業本が多いのでは?

田中さん:世の中で「副業」のhow to本などが出回っていますが・・私もいかがなものかと思います。中には副業で大金を稼いでいる人もいるようですが、そのような人はほんの一部だし、お金が稼げたからと言って、「成功」したとはいえないでしょうし・・・彼らの仕事を通しての幸福度や社会貢献度は低いように思います。どちらも中途半端ですよね。ジェイ・バーティに同感です!私は全力で起業に向けて頑張ります。宗像さんのサポートもお願いするかもしれません。その時はよろしくお願いします。

宗像:副業のハウツー本については、確かにその通りだと思います。日本を良くするためには、絶対に起業を増やさなくてはいけないと思っています。ただ、正しいノウハウが整理されていないのが課題だと思っています。最近、海外からリーンスタートアップという考え方が入ってきてはいますが、まだまだ海外との情報格差は激しいです。良いアイディアを持っている人が正しい起業のノウハウを学べる『起業の教科書』を出したいと考えています。

田中さん:私も近い将来『起業支援』の仕事ができれば、と考えています。でも先ずは自分で起業しようと思いますが!私も海外と日本の情報の質の差をとても感じます。(英国やヨーロッパで5年ほど生活していたので)。。。 
宗像さんの起業の教科書、楽しみにしています。:)

田中あゆみさんのご紹介

プロフィール:学力世界一のフィンランドに子連れ留学し、大学院で教育学を学び昨年帰国。「プレイフル・シンキングで子供を伸ばし、親もストレスフリーになる」ペアレンティングコーチをスタート。現在、「才能を輝かせて生きる」「学ぶことを楽しむ」をテーマに新しい形の教育をオンライン上で提供するビジネス起業を模索中。

教育を良くしよう!

今回、田中さんのプロフィールを読んでびっくりしたのですが、僕は、ずっとフィンランドの教育に興味があって、フィンランドの教育に関する本を読んだりしていたのです。田中さんが教育分野での起業を検討されているという事で、とても嬉しくなり、是非応援したいと思います。

僕は前から疑問に思っている事があります。日本人の多くが教育を変えた方がいい、変えるべきだと思っているのではないでしょうか?みんなが教育を変えたいと思っているのにどうして変わらないのでしょうか?

教育をビジネスサイドから改革しようという田中さん試みは素晴らしいと思います。みなさんも是非応援をお願いします。

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