暇と負荷|日記|2022/3/15

三月十五日(火)

午前七時に起床。いつもなら頭にうっすらと靄がかかったような感覚があるのに、今日はとても思考がクリア。二度寝したい気持ちが微塵も湧いてこない。一時間程ベッドでゴロゴロと携帯をいじったり、武田百合子「富士日記」の続きを読む。

午前中に中学の旧友と軽く会う予定だったが、連絡が来ない。仕事の準備で結構バタバタしているよう。今日一日忙しいわけではないので気長に待つことにする。昔何度も交わしたこういういい加減な関係も今ではなんだか懐かしい。

午後からは教授との個人ミーティングがあるので、それまでに報告できるぐらいの進捗を生むことにする。一応今は春休みなのだが、卒業論文を学外で発表するために、内容を要約したり英語に翻訳しなければならない。論文の頭から英語に直していき2章までやり終える。

昼食は無印良品のポークカレー。スプーンで掬って一口頬張る。あまりカレーらしい旨味を感じられない。舌に膜が張っていて、カレーの味を遮断しているのかと思った。けれど何度も食べているうちに味わいが増してきて、最終的には口の中でとても美味しいカレーが完成した。以前食べた香辛料がよく効いた牛肉カレーもそうだった。こういうものなのかもしれない。

午後一時半。教授との個人ミーティング。担当教授は僕の研究内容や計画をいつもすぐ忘れるから困る。改めて説明し直した。そしてこの二週間、部活のイベントや読書で春休みを満喫し、あまり進捗を上げることができなかったことを正直に伝える。結果、来週までに卒業論文の内容を英語に直し終える羽目に。

ミーティング後は読書に耽る。武田百合子「富士日記」とトーマス・マン「トニオ・クレーゲル」。「富士日記」は一気に読むことはせず、時間をかけて少しずつ読んでいこうと思う。「富士日記を読む生活」の始まり。

読書中2回寝落ちする。睡眠はしっかり摂ったはずなのにおかしい。寝転びながら本を読むのは危険。脳に血が溜まって頭がぽーっとしてくる。真剣に本を読みたいときは立ちながら読むべき。

目が覚めると晩飯の時間だった。メニューは焼きそば、チャーハン、お好み焼き。ご飯を食べながら母が来世も同じ家族になれるかなと話していたので、志賀直哉「転生」を紹介しておいた。あらすじの説明だけで気に入ってくれた。

食後は録画していた「範馬刃牙」を父と鑑賞。ミスター・アンチェインことビスケット・オリバが刃牙に挑発されまくっていて可笑しかった。バキは格闘漫画ではなくギャグ漫画だと思う。

今日は暇な時間を持て余してしまったような感じがあった。忙しい時期を乗り切って解放感に満ち溢れているのに、あれほど切望した読書を存分にできる時間を手に入れたのに、それほど心の躍動を感じられない。程よい負荷の中でこそ、何をしてもよい時間は生きてくるのかもしれないと思った。


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