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多和田葉子を読みたい|日記|2022/4/28

4月28日(木) 晴れ

昨日のこと。「多和田葉子の作品が読みたい」という思いに突然身体を射抜かれた。以前から多和田葉子の存在は知っていたし、それなりに興味も持っていたけれど、どうして今なのか。理由はわからない。ただそういう花火のような瞬間的衝動に身を任せると、大概良い方向に導いてくれることが多い。なので今日の午前中にそれを実行することにした。

書店で昨日Twitterでお勧めされた「海に落とした名前」という短編が含まれている本を探したのだけれどなくて、表紙とあらすじで一番興味をそそられるものを選んだ。購入したのは「地球にちりばめらて」。表紙は、早朝の空のように柔らかい青さの中で3Dモデリングで作った人が何かに絡みつかれているようなデザイン。そして何よりもあらすじに心を掴まれた。特に独自の言語<パンスカ>にやられた。興味を持たないわけにはいかなかった。

留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、大陸で生き抜くため、独自の言語<パンスカ>をつくり出した。テレビに出演したHirukoを観て、言語学を研究する青年クヌートは放送局に電話をかける。意気投合したふたりは、世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を探す旅に出る。

購入した本を片手に近くのカフェに立ち寄った。そこではグァテマラを飲んだ。繊細すぎて逆に甘みを感じさせるような苦味と店内に流れるクラシック音楽、そしてしっかりとした椅子のクッションのおかげで、読書にどっぷり浸ることができた。小説を読むのは電車の中よりもこういう空間の方がやっぱり良いなと思った。

それから学校の図書館に行って、読み終わった統計解析の本を返却し、また新しい本を2冊借りた。旦部幸博「コーヒーの科学」と上野修「スピノザの世界」。「コーヒーの科学」はパラパラとめくって、コーヒについてここまで科学的に踏み込んで面白くかかれているのは見たこと無いなと思って借りた。上野修「スピノザの世界」は、今読んでいる本でアインシュタインがスピノザに傾倒していたというのを知り、興味を持ったので借りた。

大学院生になってから通学で毎日4時間の読書時間が担保されている生活なので、本ばかり読んでいる。本を読めば読むほどに、興味の幅がどんどんと広がって収拾がつかない。このままだと、いろんな分野の知識を齧るだけ齧って何も為さない人になってしまいそう。けど貪るように知識を得る体験の楽しさを知ってしまったらなかなかちょっとやそっとでは抜け出せないから困ったものだ。

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