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目覚めたときに|日記|2022/4/2

四月二日(土)

今日は外に出かけて、カフェで勉強や読書をしようと思っていたのだが、午前八時半といつもより遅めの起床に気勢をそがれた。

陽の光が差し切らない、朝の自室の薄闇の中で、竹西寛子「長城の風」を読む。朱色の装丁。ページを捲るたび、パウダーが塗されているような、ふわふわとした質感が指に伝わる。綴られている彼女の言葉ひとつひとつに、命が吹き込まれているような、温かみや柔らかさを感じた。

午前中、母はこたつに潜りながら、1970年代から1980年代前半に活躍したシンガーソングライターの八神純子の映像をYoutubeで見ていた。その中で、僕は「みずいろの雨」という曲に、その薄く引き伸ばされて余韻を残す、絹のような歌声に、心を奪われた。八神純子の曲はまさに今の自分が求めているような音楽だと思った。

それからApple Musicで「みずいろの雨」のシングルを聴きこんだ。そのカップリング曲である「目覚めたときに」もとても良かった。微睡みを誘うようなベースのリズム、身を包む柔らかな風のようなギターのストローク、カーテン越しに差す朝の日の光のようなヴァイオリン。楽器隊で演出されたその朝の空間に、八神純子の歌声が、ゆっくりと背筋を伸ばすように、響き渡る。うっとりと聴き惚れてしまった。

午後は、アニメ「王様ランキング」を二十話から最終話まで見た。生まれつき耳が聞こえず、喋ることもできない王子様のボッチが、様々な人たちとの関わりの中で、立派な王様になっていくお話。親友のカゲから大切な一歩を踏み出す勇気をもらい、周りから認められていくボッチの姿に、何度涙したことか。今までに見たアニメの中で、一番泣いたアニメかもしれない。自分のことは涙もろくない人間だと思っていたけれど、ボロボロと泣いた。人と人との深い心の交流がなされたときに、僕は涙をこぼすんだな、と気付かせてくれた。ストーリー自体は王道で、子供にもわかりやすいメッセージ性を持っているが、緻密に伏線が張り巡らされていたりと、大人でも楽しめる深みもある。個人的には子供よりも大人にこそ見てもらいたいアニメだ。

夜は、King Gnu「一途」がとてもカッコ良かったので、久しぶりにギターを手に取り、コード進行を覚えてかき鳴らした。身体を思いっきり動かして音楽を奏でる感覚がとても気持ちよかった。楽器を弾くことには一種のスポーツ的な快感がある。最近楽器に対する意欲は消失してしまっているが、その楽しさを忘れてしまったわけではないことがわかり、少し胸を撫で下ろした。

今日の残りの時間は論文の体裁を整えることに尽力するつもり。

朝飯:鳥の唐揚げと焼き鮭
昼飯:うどん
晩飯:豚キムチと父が釣ったチヌのフライ


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