見出し画像

スーパーの「ベルク」さんが大好き、という話。

 私は、食品スーパーマーケットチェーンの「ベルク」さんが大好きである。敬愛の念を込めて「さん」付けで呼んでいる。ベルクさん以外にも、「ハウス食品」さんが大好きなので必ずさん付けをする。バーモントカレーやジャワカレーを作る際、余計なものは何も入れない。ただ、ルー本来の味だけに従う忠実なる僕という自負がある。カレールー原理主義者と言っても過言ではない。
 これだけアゲているのだからハウス食品さんを推したいところだが、ハウス食品さんの素晴らしさは既に日本国民全員が理解していると思う。今回は全体的に我が家の生活の大部分に関わっている点と、関東圏以外にお住まいの方はご存知ないだろうという理由でスーパーのベルクさんの素晴らしさを一方的に書き散らしたいと思う。

 ベルクさんは関東圏に2023年現在133店舗を展開する食品スーパーマーケットチェーンである。何の変哲もないスーパー、と思いきや「なんかいい」と思わせる工夫がそこかしこにちりばめられていて最高に「ちょうどいい」のである。「なんかいい」「ちょうどいい」こそが日々の暮らしに最も大事な要素なのだ。

 単なる一介の主婦に過ぎない私は、企業の沿革や株価、経営について語ることなどできないが、少なくとも顧客目線からならベルクさんの良さを語ることくらいはできるだろうと思う。

 ①レジ袋無料配布
 ②店員さんが親切
 ③ポイントを貯めるのが楽しい
 ④豊富な品揃え

 ベルクさんの良いところを書き出してみると見事に「普通」である。しかしこの普通は全て顧客目線でなされているのだとわかるからこそ私はベルクさんを推さずにはいられない。

①レジ袋無料配布
 これはかなりポイントが高い。私は従来よりレジ袋の有料化には強硬に反対する立場の人間だ。そもそもこれは国会議員によって定められた法律ではなく、経済産業省の省令という建て付けであった気がする。罰則もなく、謎の同調圧力なのか利権なのか、とにかく全く筋の通らない不合理かつ非科学的な宗教とさえ言っても良い悪法(悪令?)である。多くの企業がコスト削減のスケベ心からか、便乗して有料化している。そのことについてはレジ袋有料化、絶対反対!で、ある程度語っている。3年経った今も考えは同じである。
 レジ袋を無料で配布し続けているスーパーやコンビニは、希少だ。私がベルクさんに一目置くようになったきっかけでもある。

②店員さんが親切
 これは元々私が居住している地域の方々が優しい人たちばかりである、というだけのことなのかもしれないが、とにかく接客関連で嫌な思いをしたことがただの一度たりともない。レジ打ちの方も、商品管理をしている方も、皆さんとても親切だ。社員教育?研修?がしっかりされているものだろうと推測する。

③ポイントを貯めるのが楽しい
 ポイント集めは単なる私の趣味だが、ベルクカード(アプリ)会員になると、200円のお買い物につき1ポイントが付与され、それが500ポイントたまると500円のお買い物券がもらえる。10万円分買って500円、は大したものではないがそれでも会員バーコードをかざすたびキラキラした音が鳴り、日に日に貯まっていくポイントをみるのは庶民のささやかな喜びである。
 また、私がアプリ会員になる際、申し込みが反映されるまで一週間から10日程度、と言われていたのがほんの数日で使えるようになっていた。対応の迅速さでここでまたもや私の中のベルクさん株が上がった。

④豊富な品揃え
 ベルクさんにはイオンのPBである「トップバリュ」の商品が置かれている。また、最近では北海道や茨城に店舗を展開するコンビニチェーン「セイコーマート」のPB商品を見かけることも増えた。セイコーマートさんもまた、レジ袋無料を続けている数少ない企業の中の一つである。コンビニの中ではもしかしたら唯一かもしれない。好きな企業同士がこうして連携しているのは嬉しい限りだ。
 ベルクさん自身も「Kurabelc」(クラベルク)というPB商品を展開している。海苔、焼きそば、新生姜、ビーフジャーキー、お茶、お酒など多岐にわたっている。正直、新生姜やビーフジャーキー、焼きそばのクオリティは岩下やテング、マルちゃんなどのブランドには流石に及ばない気がしないでもないが、「レモンサワー」は個人的にヒットだったので、お酒好きの人には是非試していただきたい。
 また、商品開発をする際のPRソングが社内で作られているらしく、良い意味で素朴な手作り感満載のPRソングが店舗の一角で流れていたりするのも味わい深い。私が今まで聴いたことがあるのは「ビーフジャーキーの歌」「スイーツの歌」である。どういう経緯で作られているのかも含めクセになるメロディである…もちろん、店内に流れるベルクのテーマ曲「Just for Your Life」は必聴だ。


 ベルクさんの良さは突出したド派手な何か、ではなく一つ一つの顧客目線の細やかな気配りが奏功して全体の調和を産み出し地域の生活に密着している、というところだ。

 店先の資源ゴミステーションも非常に便利だ。自治体のゴミステーションは決められた曜日にしか出せないが、少し溜まってきて邪魔だな、と思った時に自分のペースで出せるのが非常に助かる。資源ゴミスペースが他のスーパーよりも大きく分かりやすいので、まとまった量でも出しやすい。買い物ついでに出せるのがこれまた生活との密着度を高めてくれる。 
 
 店員さんがワインの瓶をプチプチで包んでくれたり、サッカー台で包む際指先を湿らせる用の消毒液(ペットの水飲み器や公衆トイレの液体石鹸のような構造)がレジ袋を開くのに非常に便利だったり、そんな小さな一つ一つの気遣いがありがたい。

 
 精算方法が、セルフレジやレジゴー(イオンのバーコード式セルフ精算)などがほとんど当たり前になりつつある昨今だが、何でもかんでも機械化、効率化の波の中で失われていくものは確実にあると思う。
 セルフレジにはワレモノを包む梱包材のような気の利いたものはない。生理用品を買ったって、紙袋で包んでくれる人はおらず、パッケージは剥き出しのまま。袋掛けハンガーに薄汚いエコバッグをかけ、商品のバーコードを探しながら不格好に手当たり次第詰め込んでいく。持ってきたバッグの容量をこえ、入りきらなくなることしばしば。精算が終わると「商品をお取りください」と急かされる始末。もたもたしているうちに「ありがとうございました」と一方的に機械からサヨナラを告げられる。不格好に膨れ上がったエコバッグを引きずるようにして立ち去る時、なんてノロマでドジなワタシ…と、ほんのちょっと惨めな気持ちにならないでもない(考えすぎ?)。
 
 大体、精算と袋詰めを同時に一人で行うというのは結構大変な作業だ。実際に有人レジでも精算と袋詰を一気にやってくれるスーパーは稀な現状がそれを物語っている。単純に私がセルフレジに慣れていない、ということもあるが、やはり買ったものを精算の段階で一旦別のカゴに整然と詰め直してもらえるということは思っている以上にありがたい。殺伐としたセルフレジであたふたする度しみじみ思う。
 レジ打ちの店員さんが、整然と流れるような手捌きで精算していく安心感が、機械にはない。セルフレジでは、本来人が賃金を得てやっていたこのいわゆる「労働」を客側が負わなければならない。機械化や人件費の効率化を優先した結果、実質的に消費者の負担が増える流れになっているのだ。機械化によって人がやっていた仕事を奪い、雇用を減らし、客側にその労働を負わせていると言っても過言ではないのだ。しかも多くの場合レジ袋は有料だ。少なくともセルフレジを積極的に取り入れる企業の中で、レジ袋を無料配布しているところに出会った経験は一度もない。
 時代の潮流と一言で言って仕舞えばそうなのかもしれないが機械化効率化を優先する企業ほどレジ袋を有料にしていることが多い。逆にその流れに流されることなく、有人レジでレジ袋も無料配布する企業の良心が際立つというものだ。
 
 十分なレジ袋を添えられ、サッカー台へと向かう。詰めた袋をカートに乗せ、悠々と駐車場へ向かう。車に荷物を積み込み、カートを戻す。「生活」してるなぁ、と実感する瞬間である。
 

「なんかいいな」「ちょうどいいな」「生活してるな」
 そんな一見地味で何でもないようなことが実はいろんな気配りや工夫の上に成り立っている。それは「人」目線から「人」を大事に考えることなしには成しえない財産なのだ。目先の効率化や売り上げに惑わされず、地に足のついた商い、これこそがデジタル化していく社会の中にあっても忘れてはならない心構えなのではないだろうか。

 
 自分は決してベルクさんの回し者ではない。というかむしろ勝手に、自主的に、一人で回っているイチファンとして、一度ベルクさんのよさを文章に残しておきたいと思った。
 イチ消費者として、イチ主婦として、ベルクさんにはこれからもずっとその心意気で地域密着型スーパーとして活躍し続けて欲しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?