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【前編】データドリブンな経営と財務を学ぶということ

2023年12月2日(土)SUNABACO今治で「データドリブンな経営と財務を学ぶということ」トークイベント”が開催されました。
FUJISOFT AMERICA INC,COO兼CFOの中島恒久氏×株式会社SUNABACOの中村マコトの対談の様子をお届けします。

1記事にまとまったまとめはこちらから!


何者でもない自分が武器を手にするまで


中島さん:
日本で生まれ育って、2004年、25歳の時にアメリカに渡りました。
何のためにアメリカ行ったのかというと、私ずっと楽器のベースを弾いていて。9月にこのSUNABACO今治で、ジャズのライブもやらせてもらいました。 20代の時に、ジャズとかそういう音楽をずっとやってまして。一応プロとしてジャズクラブとかで弾いたりとかしていました。 だから、ジャズの本場のアメリカに、ずっと興味があるわけですよ。「いつかアメリカに行きたい」と思ってて。
グリーンカードってアメリカの永住権ってわかりますか?アメリカに住んで働いてもいいよって言う権利が、年間5万名様に抽選で当たるっていう制度があるんです。それを、たまたま亡き父が2001年に応募したら一発で当たっちゃって。 それまで海外行ったことなかったんですけど、当たったから行こうかなって。初めての海外でアメリカに引っ越したんですけど。

ナカムラ:
まだその頃は日本人ですよね。

中島さん:
グリーンカードはビザなので、アメリカに永住する権利のある日本人というだけです。 それでアメリカに引っ越しまして。
最初に渡った時は25歳で、ベース弾いてたんですけど、大体一晩演奏してギャラが60ドルとか70ドルですね。毎日演奏しても2000ドルになるかならないかないじゃないですか。

ナカムラ:
何で食えてたんですか。

中島さん:
食えないですよ。だから最初はお寿司屋さんの皿洗いとか、下働きですよ。時給は当時、20年前で7ドル、50セント。それでも食えるか超えないか、ギリギリです。 家賃がね、安いアパート何とか見つけたけど1200ドルだったんです。当時ドルがすごい安かったんですよ。円が高くて、100円切るぐらいの時もあって。 だから、貯金を切り崩して皿洗いしながら、時々夜演奏しながら、奥さんもレストランのウェイトレスとかやってて。でもこのままじゃ、どんだけ皿を早く洗えるようになってもあまり変わらないし。英語も喋れなかったんで。

ナカムラ:
英語喋れないのにアメリカに永住目的で移住しちゃう?

中島さん:
何とかなると思ったんですよ。まだ25歳じゃないですか、若いから。 判断基準は面白いか面白くないかで決めたんです。あんまり良いかどうかわかんないですけどね。この話を後でネタにできるかどうかっていう選択基準だったんです。

中島さん:
でも下働きだけだと、アメリカの社会の中で浮き上がれない。だから何かやろうと思って、自分で会社を始めたんです。 そのときアメリカで買える痩せるサプリメントみたいのが日本で流行ってて、すごい高く売れたんすよ。それを日本の友達に仕入れてくんないって相談されて。 でもそれ仕入れてちまちま送るより、元締めに直販しませんかって持ちかけて、日本人向けの直販サイトを作ったら儲かるんじゃないかなと思ったんですよ。 それで最初の会社の仕事として直販サイトを作ったんです。

ナカムラ:
うまくいったんですか。

中島さん:
そのとき26歳だから商売をわかってなくて。だから話が繋がらない。
単発でウェブサイトの制作の仕事だけ取っちゃって、粗利率とかわかんないから、二、三十万で日本人のWebデザイナーに発注してたんですけど、いくらで売っていいかわからないわけですよ。
例えば、時給600円とか700円とかで皿洗いのバイトしてる人が、扱ったことのない500万円の請求書書くの結構勇気いると思いますよね。 本来100万ぐらい売らなきゃいけなかったのに、わからないから、10万円の利益を乗せるのもビクビクしちゃって、20万円で仕入れたの多分30万ぐらいで売って終わっちゃったんですよ。今だったら保守契約結んで月々いくらで補助しますよってちゃんと言って、定期的なお金にしてるじゃないですか。 でもその時はわかんないからワンショットで売って、違うシステム作りませんかってまたワンショットで売ってみたいなことをやって。永続的に入ってくるものがない、20代半ばだったんでちょっともう精神的にしんどくて。
もう僕は店を畳んでラスベガスに1人で逃避行して逃げたんです。27ぐらいで会社やって2年ぐらいあって、それでもう商売に向いてないと思ったんです。

中島さん:
それで人生ちょっとやり直したいなと思って、その当時奥さんいたんですけど、奥さんにちょっと俺は旅に出るって言って、車に機材を積んで、ラスベガスまで1人で行っちゃったんですよ。
ラスベガスのスラム街みたいなところに潜り込んで、いろんなホテルとかカジノとかのクラブの演奏をしたり、DVDみたいなやつを販売したりですね、ラスベガスでもう本当に虫けらのように生きてたわけですよ。それが半年ぐらい。そしたら、そのDVDを複製してる会社の社長が、ビジネスを拡大するからうちの幹部にならないかって言われたんですよ。
それと同じタイミングで、サンフランシスコの州立大学の心理学部の教授からも、今からスタートアップを作るから立ち上げアシスタントで来ないかって言われたんですよ。
そのときに天秤にかけるじゃないすか、面白いなって思えるDVDとサンフランシスコのスタートアップで。 今度はその大学のスタートアップの立ち上げに参加して、足を洗って、博士号を持っている人しかいない職場に入って、そこでそれこそ経理的なことから何から全部やるようになった。

ナカムラ:
ここをクビになるんですよね

中島さん:
そうですね。やっとアメリカに来て、まともな仕事をしていたんですけど、2年ぐらいやってるときに安心してたんですよ。32歳のとき、同僚に横柄な口をきいたと、その言葉が言っちゃいけない言葉だったと言われ、次の日会社に行ったら弁護士がいて。本当は言っていないんですけどね。そんな差別的なこととかは言ってないんですが、相手側がひどいショックを受けたみたいな話になって。もう何でもいいよと投げやりになっちゃって、今だったら絶対交渉するんですけどね。

中島さん:
そして会社を辞めるじゃないですか。
奥さんもいるんだけど、もういろいろやんなっちゃったなと思って求職活動もしないで、刃物研ぎを始めたんですよ。でもその後結局ホームレスなっちゃって。さすがに異国の地でホームレスになるって、そのままほっといたら死ぬじゃないですか。なので、初めてそこで死にたくないなって思ったんです。
それで死なないためにどうしようと思って、ちゃんと定期な収入がないと駄目だし、収入を得るためには世の中にちゃんと認められるというか、社会に居場所がなきゃ駄目だなと思って、就職しようって、ようやくまともな考えになったんですね。

ナカムラ:
それまでは面白いか面白くないかが判断基準だった。

中島さん:
自分が特別だと思ってたわけですよね。若いから俺は面白い方を選んでも何とかなると思ってたし、何とかなっちゃってきたから。32歳にしてで初めて自分は何者でもなかったと。32歳で40社50社に履歴書を送っても、どこからも相手にされないですよ。もうこのままいくと本当路上生活なっちゃうギリギリでようやく拾ってくれたのが、超ブラックな旅行会社の営業職で、何とかブラックながら入って、定期的な収入を得て、ちっちゃいながらも自分でお金払って部屋を変えれるようになった。少し人間らしい生活を取り戻していくと、こんなブラックな会社だいたら死んじゃうなと思った。
それで、この今の前職の食品の卸の会社の事務員の募集があったんで、応募したんですよ。そしたら、何ヶ月前は全滅だったんですけど、旅行会社で営業マンやって喋り方とかがうまくなってて、ちゃんと案件取ってたからそれなりの自信もできていたので、晴れてそれなりに大きい福利厚生のちゃんとある会社の事務員さんになれました

中島さん:
事務所の一番下っ端として入るんですけど、やっぱそこを普通にやってたら、ずっとね何年経っても上がらないじゃないですか。それで、どうやったらスタートが起こる人よりも10年ぐらい遅い中で、ここに上がれるのかなってことをいろいろ考えて、強引に言うと、どうやったら投資効果一番高いことできるのかなとかいろいろ考えながら、例えば経営者にならないと、ずっと従業員のままだと。それで経営者になるんだったら、あの数字が読めないのは絶対駄目だなと思って、そこら辺から独学で会計の勉強してたんですよ。

ナカムラ:
ちなみにちょっと話を整理しますね。結局ツネさんって、会社経営ってやだなって思ったわけですよね最初。でも多分今は経営戦略とか好きなんですよね。

中島さん:
はい。好きなんですよね。今経営を実際していて、嫌いだったのが好きになって、今やそれが会社、自分の人生でも会社で武器になってますね。

ナカムラ:
このままでは駄目だから、人生変えたいなと思って来てる人ってたくさんいたりすると思うんですよね。
僕は自分の人生を変えたいと思った時、心理学とかをやったんですね。セールスをする、ものを売るには心理を知ることがすごい大事だからって思ったんです。
ツネさんはそういう経験の中で一つ武器として、割と人の心理読んだりするのも多分お好きですよね。それプラス、財務財務会計をまず勉強して、その後に財務を勉強することによって力をつけて、経営ができるようになってきたんですね。
本当に信用もなければお金もないところから、言わば勉強をして必要なことをやって経営者になっていったっていう過程の中で、ツネさんが武器にしたものが、会計とか財務だった。

会計と財務はこう違う!


ナカムラ:
旅行代理店から食品卸食品卸に入って、そこではまず何をやったんですか。

中島さん:
領収書など書類の束を整理する事務作業の仕事です。言えば、経理的なこと。
今日のお話の大前提として、会計と財務っていう言葉が出てきます。これって一般的に同じように思われがちで。会社をやっているとよくある誤解が、財務わかるっていう話を社長とすると、俺やってなくて、税理士にお願いしてますみたいな話がよく出てきます。 税理士さんにお願いしてるって基本的に、会計業務の中でも特に税務に関するところです。
これは会社のお金の入り等で、上に対してちゃんと整理をして税金を申告でできるようにしますよっていう業務です。
財務は何かっていうと、全く違うんですよね。よく日本は何で混同しちゃうのかというと、財務会計という言葉があるんですよ。だから財務会計で一つのくくりで皆思っちゃう。基本的にお金をどっかから貰ってくるか、調達して借りるか、出資してもらうじゃないですか。
ここにお金を出してくれる投資家さんもしくは銀行、会社、お客さんがいるこの3者がいるとするじゃないすか。
この真ん中にいる会社の仕事っていうのは、投資家からお金を出してもらう、もしくは銀行からお金を貸してもらって、このお金を元手に、商品とか人を雇って、これを自社の価値をくっつけてお客さんに売ることで、利益を取るじゃないですか。
この利益を、たくさん貯めていって、出資してもらった人たちに利子をつけて返す。これは利益がないと、返せないですよね。
それで、出資者に対してはこの出資したお金に対して企業価値を上げると株価が上がるんで、この株価を上げることによって返すっていう。つまり、会社の仕組みっていうのは、誰かからお金を集めてきて、その集めたお金を使って商売やって、お金をもっと増やして、借りた人には返すし、出資した人に遅れた時にはリターンするよっていうのがビジネスの基本なんです。

中島さん:
この一連のお金の流れを財務って言うんです。この財務に対して、財務会計というのは、このお金を貸してくれた人たち、出してくれた人たちに、うちの会社の状態はこういう状態ですよって説明するための会計が財務会計。そのために作るのか、財務諸表なんです。
だから、財務諸表というのは、あくまで投資家さんとか銀行とかに対して、うちの経営状態はこういうものですよと、作って見せるためのもの。これがいわゆる世間で言うと会計。税理士さんがやっている税務会計ってのは、更に商売をやってると税金を払うことないじゃないすか。税金を国とか自治体に払うときに、そこの決めたルールで会計報告しなきゃいけないんで税理士さんは、国とかに税金を払うための会計報告を作るのが仕事なんです。

中島さん:
これは誰の仕事かって言ったらこれは100%経営者の仕事で、会社が自分でやんなきゃいけないことなので、「うちは税理士に任せる」っていうのは財務をわかってない典型の例なんですよね。

ナカムラ:
そうですね。

中島さん:
もう少しかみ砕いて言うと、会計って今こんだけ売り上げがあってこんだけ支払いがありますっていうことで、今うちの会社はこういう経営状態です、お金はこういう状態ですっていうことを表すものですね。
財務は何かっていうとこの今うちの会社のお金にまつわることはこういう状態ですっていうことを踏まえて、今は商品がこれだけ売れています、なので、何ヶ月後くらいにはこれが積み上がってこのくらいの収入があります、こんくらいの利益が残っているので、このくらいお金を借りたりしても、ちゃんと返せていきますよと。お金を借りることによって、こうやって今伸びている、事業をよりもっと大きくすることができて、もっと大きな利益を確保できるから皆さん投資しませんかとか、お金を貸しませんか?ていう話を、未来に向かってするっていうのが財務なんですね。

中島さん:
なので、実は会社を運営していくっていうのは自分の状況もわかってないと駄目ですね。
もう一つ大事なのは、うちの会社はこういう利益をこんだけ出していて、それがこうやって、おそらく将来的には積み上がっていきますよ。だからこんだけお金を借りるなり、投資をしてもらってもリターンがこんだけ返せますよっていうことを理解する。いわば、会社ってお金を回していかないといけない中で、お金を回すっていう業務についてどれだけ安全性を図れるかというか、合理的にやれるかっていうことを知らないといけない。
皆さんが会社やるって言ったときに、こういうセミナーや自治体とかが教えてくれるのは多分税理士さんを呼んで会計に関することをやるだけで、いわば会社の経営に大事な財務みたいな話や、まず会計と財務が違うよって話をちゃんと教えてくれるところはあまりない。
会計は、利益っていう言葉を使いますけど、財務はキャッシュ、現金主義なんで、利益を生み出すって僕は言ってます。要は、どんだけ現金をちゃんと積み上げられるかっていうのが、財務の話の後に出てくると思います。
けど、会計ってのは過去の実績に対してどういうふうに仕分けていくかっていう世界の話なんで、結構不正というか、いくらでも人間がいじれちゃったりとか数字の見方変えれたりするんであんましこの会計上の利益っていうものは見えない。実際手元にどんくらいキャッシュが残っているのか、どういうふうにキャッシュが動いてるのかってキャッシュの動きの方を財務では重視する。

ナカムラ:
会社に儲けを出すとか、良いものを世の中に出すっていうことをうまく運営していくためにはここがわからないといけない。
まず会計と多分財務って言葉の差を知ってるだけで全然違ってきます。


借金は悪という宗教


中島さん:
あともう1個、日本の人がとらわれがちなのは、借金は悪だっていう宗教があるじゃないですか。 

ナカムラ:
はい。

中島さん:
でも、お金持ってる人は例外なく借金をうまく使うじゃないすか。自分で商売やってない人からすると、借金がいいことだって多分思えないと思うんですよ。例えば、今100万円をもらうか、5年後に200万円もらえるかだったら、どっちがいいですか?……もしかすると、明日死ぬかもしれないでしょうね。
つまり、5年後の200万円をもらえる可能性ってのは100%じゃないってことです。今僕が手渡しで100万円を渡すのは、絶対もらえるじゃないですか。これが財務の基本的な考え方で、将来の入ってくるお金っていうのは、現在の価値で考えたら200万円じゃないってことです。この5年間の間にいろんなことが起こる可能性があって、いろんなことが起こることを割引率って言います。 それで、割引率は皆さんそれぞれ状況が異なれば違うわけです。保険とかに似てますね。
借金の話に戻すと、例えば今目の前に100万円借りてきてその金利が例えば5%だったとしてもこの100万円を使って、年利10パーで回せる商売やれるんだったら、実質的には金利払わなくていいわけでしょ。
でもこの100万円を貯めるのに5年かかって、一生懸命お金を貯めて商売やろうと思ってたら、5年後にはそのビジネスチャンスなくなってるかもしれないじゃないですか。だから商売人は考えるわけですよ、お金を借りて、今やれるかどうか。そのためにこのビジネスであればこのぐらいの確率で成功するという書類を作って銀行に持ってっいってお金を借りるか、中村さんみたいな投資家のところに行ってこういうふうにやりたいから出資してくださいってやるわけですよ。
でも日本人って子供の頃から借金は絶対しちゃ駄目だとか言われたりするじゃないですか。自分で貯めてコツコツ貯めなさいとか言われるじゃないですか。でも、まず商売やろうとか自分でビジネスやろうと思っているんだったら、何より大事なのは、目の前にあるビジネスチャンスなわけです。
このビジネスをやったときに成功する確率と、返ってくるリターンと、あなたが借り入れる借金の金利を計算したときに、金利よりもこっちの方が成功するリターンが大きいから、その借金はすべきですよねっていうのが、財務の考え方なんです。

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