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くじらの謎③

くじらの謎②の続きです。

「それだ!」


と、思わず興奮してしまったけど、すぐに、わたしの知る「くじら」と呼ばれている場所は、当てはまらないかもしれない……と思い直した。

 たしかに川の近くだけど、あの辺は別に谷ってわけでもないし、崖ってわけでもないし、グジグジした低湿地でもない。
 開けた平地の、普通の田園地帯だったはず。

 あー、ほな「崩れやすく荒れてグジグジした地形」っちゅう「くじら」とは違うかぁ。(ミルクボーイ風)

 ゴール手前から一気にふりだしに戻された気分だ。
 若干テンションが下がってしまい、noteの続きを書く手も止まっていた。


 そうこうしているうちに迎えた2022年。
 実家に年始の挨拶に行った時に、
「なあなあ、子どもの時からずっと不思議だっただけど、あのへんなんで『くじら』って呼ぶだ?」
と、ちらっと(がっつり)話を振ってみたところ、両親から「崩れやすく荒れてグジグジした地形」=「くじら」説を裏付ける有力な話を聞くことができた。

 実父曰く、今はどこの田んぼも区画整理され平地になっているが、農地整備される以前はもっと凸凹していて、特にあのあたりは井手(田んぼの用水のため、川の流れを堰き止めてあるところ)の近くだったせいで、崩れやすくて低い土地だったらしい。

 以前はもっと凸凹していて、崩れやすくて低い土地……

 「くじら」やないかい! 「凸凹していて、崩れやすくて低い土地」って「くじら」よそんなもん!(ミルクボーイ風)

 謎はすべて解けた!(金田一少年風)

 真実はいつもひとつ!(名探偵コナン風)


 井手を挟んで、こちら側が西くじら、向こう側が東くじらと呼ばれているらしい。
 しかも実母曰く、通称「くじら」ではなく、もともと字(あざ)が「くじら」なのだそうだ。

 通称じゃなかった!

 地図には載っていないので、いわゆる「小字」というものだと思うが、ちゃんと地名として存在しているのだそうだ。(小字については風霊守さんのブログ「ふれっしゅのーと」のようこそ!地図に載らない小字地名の世界へという記事がおすすめ^_^)


 いやー、もっと早く両親に聞いてみればよかった!

 兄弟とも話したけど、改めて聞くようなことでもないしなあ……と思ってたことであっても、自分も両親もこの歳になったからこそ、今のうちに聞いておくべきなことって色々あるよね……。

 ともかく、長年の謎が解けてスッキリ!!!

 満足して帰ろうとしたところに、実父がふと思い出したように、
「そう言えば、昔どっかの大学の先生が来て、そんな話をしたことがあるなあ」
と言い出した。

 あの辺りは古墳群があるところらしく、その昔、区画整理をする前だろうか? わりと大掛かりな発掘調査などが行われていたらしい。
 そういえば子どもの頃よく遠足で行ったな、古墳……田んぼから土器もよく出ていて、クッキーの缶に集めてたりしたな……。

 崩れやすい地形というだけでなく、もしかしたら「徳次郎」の由来となった久次良(くじら)氏と同じように、名のある豪族の「くじら」氏があの辺りに昔々住んでいて、それが地名の由来になっているのかも……?

 あれ?
 解けたと思った謎が深まった???


 実に興味深い!(湯川先生風…いい加減しつこいのでやめます^_^;)

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