フェリーニの甘い生活(1959年製作の映画)星5つ

俗世界

の上流層を覗き見てきたタブレット誌の記者がうつ病になってしまい、愛について結婚について、幸福な人生について悩み始める物語。
こう解釈すると、ストーリーに一本筋が通る。
独占欲の強い内縁の妻を、愛したくても愛せない。世間で羨まれるはずの女優の彼は彼女を愛してるとは思えない行動を繰り返す。愛を解くキリスト教は上滑りで子供の嘘に振り回され、病に苦しむ信者を死に追いやってしまう。幸福を絵にかいたような家庭を築いたはずの友人は、子供を銃殺して自殺してしまう。
世の理不尽や不幸には無関心な上流社会層のバカ騒ぎは夜昼問わずに朝まで続き、また新しい一日を迎える。
人は何を希望に明日を生きるべきか?
イエスの十字架を信じれば罪を許され、天国に行けると信じる人々が溢れるローマを見下ろすキリスト像は何をかいわんや・・・。
何十回もこの映画を観る自分がいる。
第二次世界大戦の犠牲の上に、今の平和はある。しかし、一体何組のカップルが真に幸福を実感して生きているのか?
マルチェロが書こうとしても書けない、どうしても見えてこない甘い生活の向こう側を今日も探っている。

ありがとうございます。https://tokyowebtv.jp/