苦労してない人なんていない。という言葉の持つトゲ

何か相談すると、悩んでいると、落ち込んでいると

「人生苦労してない人なんていない」
「みんな苦労してる、あなただけじゃない」

そんな言葉を言われることがある。
これ悩んでる本人にはかなりきつい言葉だと思うが、誰に言われるかでまた変わってくると思う。

親に言われれば腹は立つもののまあ仕方ないと思えるのだろう。

でも仲のいい友人に言われたらどうだろうか。

少なくともいい気分はしない。怒りもする。悲しみもある。いつも仲良いからと思って忘れようとしてもなんかもやもやする。

人が抱える苦労も悩みは、中身が同じだったとしてもその人の抱える事情や今いる環境、経済状況などの外的要因によって、その苦悩の大きさや捉え方は大きく変わると思う。

例えば、試験に落ちた。
ということから派生する悩みも周りのその人を囲む環境や、どれくらい合格すると思われていたか、次も受けることができるのかなど様々な外的要因によって、同じ悩みとは言えず、人によって苦しさは全然違う。

就活も
何十社と受けて一社も内定をもらえない苦しみもあれば
そもそも家の方針で、有名企業しか受けられず、その中で就活をし内定をもらっても、本当に正しい道なのか悩む人もいる。

それを人生苦労しない人なんていない。
と自分の抱えている悩みを全てわかっているわけではない友達に言われても

いや、私の抱えている悩みと同じ悩みを経験してから言ってよ。

となるのだ。そもそも自分の悩みを共感できる想像力ないし、似たような経験をその友人が持っているのかも疑わしいと思ってしまう。(前の記事にも書いたが、そもそも人は自分の経験したことしか基本的には共感できないものだろうと思う。)

そして苦労も
成功者になれた場合と、努力してもうまくいかなかった場合とで意味合いが変わってくるのではないだろうか。

あとから成功すればたしかに苦労なんて誰でもするし、苦労くらいしなければうまくいかない。
そう思えるだろう。

でも人生往々にして努力したことが全てうまくいくわけではない。最終的に巡りめぐってうまくいくことがあっても、その瞬間努力が結実しないことはある。

成功者から見れば、苦労は誰でもする。
そう簡単に言い切れることも、ずっとうまくいかなかった人からすれば
その一言こそ、苛立たしいものはないのではないか。

歌詞と歌手の関係もそうだと思う。

この歌詞、ただの人が書いて歌っただけでは共感を呼ぶというより炎上しそう、友達に言ったら怒りを招きそう。

そんな正論で、強すぎるパワーを持っていてそうやって頑張れれば苦労いらないんだよ。みたいな歌詞がたまにある。

でも、そんな歌詞もその歌詞にイメージのあった歌手が歌うことで、人々は共感し、感動し、エネルギーをもらうことがある。

人には違う悩み、苦労がある。
自分だけが苦労しているわけじゃない。

本当にそうわかっている人だからこそ、今まで努力や苦労を積み重ねてきている人だからこそ

みんな苦労してる、あなただけじゃない

そんな無責任な言葉は人に言えない。



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