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ケヴィン・クワン著「CRAZY RICH ASIANS」を読んで思うこと

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2018年に公開された映画「クレイジー・リッチ」の原作本。

中国系アメリカ人でごく普通の家庭で育ったレイチェル・チュウと、シンガポールで代々続くオールドマネーの名家出身のニック・ヤンの結婚を巡るラブコメディ。

「ジョイ・ラック・クラブ」以来の主要キャストがアジア系の俳優で占められたこの作品は、クレイジー・リッチ達の派手なお金の使い方を表現する為か、煌びやかな演出が施され、又シンガポールの観光名所も沢山出て来て、とても楽しい映画で私は好きです。

原作者のケヴィン・クワンは、シンガポールのオールドマネー出身。
原作本には、映画で描かれていない、オールドマネー達の暮らし方や、お金の使い方が詳しく書かれていて、映画はやはり映画で、端折られているなと思いました。

超お金持ちと庶民のサバイバルラブコメかと思っていたら、大間違い。
恋愛に絡めた、壮絶な階級差別を描いた本でした。

国土の狭いシンガポールで、先祖代々受け継がれてきた広大な土地を持ち、遡れば王朝に辿り着く名家中の名家で、代々受け継いできている風習を大事に受け継ぎ、次世代へ継承する。
夏は世界各地に保有している避暑地で過ごす。
家には沢山の使用人達がいて、身の回りの世話をしている。

が、富をひけらかす成金達とは一線を画し、絶対に富をひけらかす事はしない。
顔も富も表に出さないようにする、その徹底ぶり。
欧米のオールドマネー達に通じる、地味で堅実な暮らしぶり。
そんな世界が、このアジアにもあったのかと。

そして、その世界を守る為に、出自に拘り、家柄に拘る。
中国本土の人達を蔑視したり、二世代前から知り合いじゃないと口きかないとか、意に沿わない人は徹底的に排除する。
表面的にはとても人当たりは良いのに、心の中では毒づいている。
今のこの時代に正気?としか思えない、保守的な価値観。

映画でのニックの母親エレノアが、とても性格良く見えるくらい、原作本ではレイチェルには辛辣で(笑

映画のエレノアは、とても優しく描かれているなと思いましたね。

アジアのオールドマネー達の事が良く判る、良書でした。

ヨーロッパのスノッブさ、植民地支配を受けてきた国の文化、シンガポール、香港、マレーシア、ロンドン、パリの地図、世界の一流メゾンのファッション情報辺りを頭に入れて読むと、より一層楽しめるかと。

また、プラナカンと呼ばれる海峡華人達の本も読んでおくと、シンガポールのオールドマネー達の事が判り、物語の理解度も高くなるかと思いますね。

日本ではCRAZY RICH ASIANSしか翻訳されていないですが、このシリーズば他に

CHINA RICH GIRLFRIEND
RICH PEOPLE PROBLEMS

があるので、早く翻訳本が出るのを願ってます。
洋書を読む気力は無い(笑

オールドマネー出身のケヴィン・クワンが書くからこそ、そこには想像でもなく、偽物でもない、オールドマネー達を巡る物語が書けたと思います。

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