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読まなくていい日記@11日目─タイタニックみたいな恋しようや─

今日テレビでやってたタイタニック観ました?
観てない人は今すぐ観に行ってください。話はそれからだ。

まだ愛とか恋とかよく分かんなかった小学生時代、タイタニックを観てローズにひとつ違和感を覚えたことがある。

タイタニック沈没後、ジャックの約束を胸に新たな人生を歩み出すローズ。彼女の人生においてジャックは最初で最後と言っても過言ではないほど、心から愛し、身体を捧げ、自分の人生を変えてくれた最愛の人に違いなかった。そんな彼と死別してしまったローズの傷の深さは計り知れない。
しかしローズはジャックの死を乗り越えて、新しい恋人と結婚し、子供を産んだ。
当時小学生だった私はそこに疑問を抱いたのだ。

「ローズはジャックのことが大好きで今後も忘れられないはずなのに、どうして新しい男の人と付き合えたんだろう」

恋愛経験値のない子どもの考える「純愛」は、あまりにも非現実的だったかもしれない。でも当時の私は本気で「ローズの浮気者!」と思ってしまったのである。
あんなに愛し合ったジャックがいるのに、他の男とまさか結婚するなんて。好きならジャックのことずっと好きでいてくれよ。ジャック以外の男と付き合わないでよ。そんなふうに思っていた。

現在私は2◯歳。大した恋愛もしないまま大人になってしまったが、いま見返してみると、ジャックとローズがいかにお互いを愛していたのか分かった。
タイタニックが氷山にぶつかり、沈没するまでの一連の大パニック。生死が関わるようなあんな状況で、何がなんでもお互いの命を守ろうとする二人を見てたら、その愛のデカさは十分伝わる。
でもそこじゃなかったんだよね。本物の愛が示されるシーンって。

タイタニックが沈没して極寒の海に漂う二人。当時の海の水温は零下二度。どっちがいつ死んでもおかしくない絶望的な状況。ローズは自分達に死が迫ってることを自覚し、「あなたに会えて良かった」と別れの挨拶をジャックに告げるが、ジャックは「まだ早い。君はこんなとこで死ぬような子じゃない」とキッパリ言い切る。

そしてここで私が「本物の愛」だと思う言葉が、ジャックの口から出てくる。(ちょっとうろ覚えかも)

「君は絶対助かる。助かって、子どもを産んで、成長を見届ける。そして年を取って、あったかいベッドの上で死ぬんだ。こんなところで死ぬんじゃない。僕のために生きてくれ。約束して」

本当だったら、そんなローズの未来に寄り添うのはジャックであるはずなのに、ジャックは「僕たちは結婚して──」という言葉を出さなかった。ローズの人生に自分の存在を落とし込まなかったのは、きっと自分はもう助からないとわかっていたんだろう。そして「僕のために生きてくれ」は、あの場で伝えられる彼なりの最大限のプロポーズに違いないと思う。
そんなプロポーズでローズに生きる義務を与えつつ、彼女の幸せを心底願うジャックの表情はずっと微笑んで幸せそうだった。泣きそうな顔をしてるのはローズだけだった。

「好きな人とずっと一緒にいたい」と思うのは当たり前の感情だし、愛してる人が自分以外の誰かと結ばれたら不快になるに決まってる。でもジャックは自分の感情よりも何よりも、ローズが生きて幸せになることを一番に優先した。だからローズの未来に自分がいない想定で、彼女にあのプロポーズを贈った。

好きな人の幸せな未来に自分がいなくても、その人の幸せを願えることが、「本当の愛」なのでは……と、この歳になってようやく気づいたってワケ。(遅すぎ)

ローズも本当に強い女性だよね。
「ジャックと一緒に生き延びれる!」って喜んだのに最愛の人はもう既に亡くなってて、メンタルも身体も死にかけの状況で、二人の合言葉だった「一緒に海に飛ぶ」という選択肢ではなく、ジャックの手を剥がすことを選んだんだもん。
ジャックをローズ自らの手で海に沈めるシーン、何度見ても本当に胸が痛くなる。でもその後すぐに海に飛び込んでホイッスルを取りに行き、ボートに向かって笛を吹くローズの瞳には迷いが全く無くて、ジャックの約束を胸に前を向くローズの強さに毎回救われる。
 
ガキンチョだった頃の私へ
ローズは浮気者じゃないよ。最愛のジャックとの約束をきちんと全うした立派な女性だよ。
私より


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なんかさ、自分と付き合わなくていいから推しの幸せを願ってる私と推しってもう実質ジャックとローズみたいなもんじゃない?。結局のところ無償の愛っていうか。荼毘くんが幸せなら誰と付き合ってても嬉しいもん、私。

すもやま

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