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死神Kを呼んだ?実際の生徒が医学部にチャレンジした話

死神Kという

引退請負人の話を書きました。



夢を追うことは大切で

夢を諦めないことは大切です。

しかし、どうしようもないときは来る。

もう限界を超えてしまったときがくる。

その時に

1つにこだわって絶望してほしくない。

ダメだったときに別の希望を持ってもらいたい

という思いから死神Kという話を書きました。



その死神K 

第2話(めちゃコミさんの005話から007話)は

医学部受験の生徒について書きました。

https://mechacomic.jp/books/150287

(読むのにポイントがいるので大変恐縮ですが・・・)


私は教員をやっておりまして

今年大きな夢をもっている生徒がいます

「医者になりたい」

そうです医学部受験です。

私の書いた(005話から007話)と同じテーマ。医学部受験です。



私が勤める学校でも、かつて医学部受験にチャンレジした生徒がいました。

そして合格したのは私が勤めている約10年の間に

3人。


まあ3人でもうちの学校からだと凄いことなのですが

3人とも相当出来る子でしたが

その3人とも2浪以上・・・・

現役で受かった人物はいません。

またチャレンジして失敗した生徒も少なからずいます。



今回担任として初めて「医学部受験者」を担当することに。

その生徒は学力自体低くないのですが、なんせチャレンジするのは医学部。

医学部に合格するレベルではありません。

模試の判定はずっとE判定。



そんな生徒を持ちつつ、「医学部受験を諦めろ」という漫画を書いている。

もちろんその生徒に対してではありません。

何度もいうようですが、夢を追うことはとっても大切です。

私自身がこの歳で夢を追い続けているのですから本当にそう思っています。


ただ…努力×∞を続けて、何年も頑張って限界を迎えた時に

「絶望してほしくない」「次の夢をもって生きてほしい」

自分の意志ではなく他の誰かや、何かのためにチャレンジしている人に

自分のために道を変えてもいいんだよというメッセージなのですが

医学部受験で、その道を諦めなさい!という話なので

変な誤解を生んではいけないと思い

三者面談のときに親御さんとその生徒に打ち明けました。


私がテレ東さんの僕ドラにチャレンジしていることは、

学校に取材が来るときに打ち明けたので知っているのですが

細かい作品の内容は知りません。


私は伝えました。

作品の内容の一つが「医学部受験」であること。

それを諦めさせる話であること。

しかし、誰かのために生きていて、かつ学力的な限界を迎えた生徒であって

決して「あなた」のことではないということ。

あなたには是非チャレンジしてほしいし、最後まで頑張ってほしい!ということ

その漫画のメッセージは絶望してほしくないこと。

ダメだったら次の夢を持つべきだというメッセージだということを書いているのだと。


親御さんもその生徒も笑顔で聞いて理解して下さいました。


たぶん笑顔で受け入れてくださったのは

「覚悟」が決まっているからだと感じました。


そう

決定的に漫画の主人公と違うのは

リミットがあるのです。


浪人は出来ない。


医学部受験は受験だけで相当なお金が必要です。

受かったら尚更凄いお金がいる・・・

だから今回だけのチャレンジ


ダメだった場合は

薬学部に行く。薬学部も滑り止めで受験する。


そういう覚悟があったから。


彼女は

ノリノリのときはガンガン勉強できるけど

スランプになると、

とことんスランプというタイプ。

でも耐えて、耐えて、コツコツ頑張って来ました。


学力・偏差値は伸びています。

しかし一度も医学部の大学はE判定を超えられない・・・

それでもあきらめず腐らずにコツコツ勉強を続けてきました。


が・・・ついに来たのです。

心のスランプが・・・・


しかも年をあけたころに。

急にメッセージが届きました。

(原文まま)
「先生ここまで来たけど受験勉強したくないです。

ディズニー行きたいです

 

前までは「やってダメなら仕方ないから精一杯やろう。」っていう感じだったんですけど、

最近は、「やってダメなら無駄だから、やりたくない。」っていう感じになりました。

 

あと二週間なのに、最低限のノルマが終わりそうにないです。どうしたらいいですか。」

 


と連絡が来ました。


彼女はディズニーランドが大好きなのです。

年間パスポート持っていて、事あるごとに行ってきた彼女でしたが

合格してから「ミッキーに報告する!!!」

とディズニーランドも封印してきたのです。

しかし、現実はずっとE判定。

そして最低限の課題もこなせない・・・苦しくて苦しくて

現実逃避したくて苦しくて

もうやっても無駄なら、やりたくない・・・となってしまったのです。


受験生によくある症状です。

頑張っても頑張っても結果が出ない

(学力はあがっているけどみんな頑張っているから偏差値はなかなか伸びないのです)

そんなときにもうだめ!
やりたくない!

ってなるのです。

でもその時期が受験直前だと結構困ります



私はここから彼女の学力をあげることはできません。


出来ることは1つ・・・

もう一度火をつけて

背中を押すこと・・・


そしてその症状が全く問題ない当たり前なことだと

思わせないといけない

(実際多くの子たちがなるので問題ないのですが本人は自分だけこんなことになっていると絶望してしまうので、大丈夫!と思わせないといけない)


ということで

私はこう応えました。


(原文まま)

「きたね!くるよ!スランプ。心のスランプ。来ないほうがおかしい。

来て当然。

まずこの状態でディズニーにいって楽しいかどうか。

ミッキーも喜ぶかどうか。わたし戦わずしてここに来たヨ!

ってミッキーにいえるかどうか・・・


やって後悔することはない。やらないで逃げるとぜったい後悔する。

逃げたい気持ちはじゅうぶんにわかる。勝負したくないのもわかる

自分の今とどれだけの差があるか考えた時に苦しくなる

当たり前だよ。スーパー変態的に頭いい人以外はそう。


ゴールは無い。ここまで行けば合格ですねというラインはない

どんだけすごい人でもぎりぎりまで全力でやるだけなんだよ


金メダル取るようない人もどこまでやれば金メダルだよっていうラインはないでしょ?

ここまで来たから確実だよってのもない。

勉強もそうで確実はない


だからこそ人生は面白い 決まっていないからこそ価値がある

やろう。最後まで ギリギリまで試験の一分前まで

それで人生がかわる 受かると人生がかわる

受からないにしても人生はかわる

何事にもやりきってやりきったとおもえたら次も頑張れる

浪人したとしても違う道にいったとしてもそこで全力でやれる力は得ている。

頑張ろう 頑張っているに決まっているけど 頑張ろう 踏ん張ろう

笑おう苦しんでいる時こそ笑おう苦しんでいるときに人は成長するのだから」


そして最後に以下の英文を送りました。


「All our dreams can come true, if we have the courage to pursue them. I only hope that we don’t lose sight of one thing – that it was all started by a mouse.」



(日本語訳 

夢を求め続ける勇気さえあれば、すべての夢は必ず実現できる。いつだって忘れないでほしい。すべて一匹のねずみから始まったということを。)


ウォルトディズニーの言葉です。



彼女からは一言


「もうー踏ん張りしてみます」(原文のまま)



そして今日。

彼女は何とか受験の日を迎え

やり終えて

連絡がきました。



「ご連絡 遅くなりすみません。

前期の合否が今日で全て発表されたので

ご報告させていただきます!」

 



医学部 医学科 共通テスト利用

〇×大学       不合格


医学部 医学科 一般選抜

××大学   不合格

×〇×大学      不合格

〇××大学       不合格

〇×〇医科大学     不合格

〇×△大学       不合格

△×大学       不合格

〇×△医科大学     不合格

〇△△大学       不合格

〇〇△大学       合格


薬学部 薬学科 共通テスト利用

〇×大学  合格

〇×大学 合格


おお、よかった薬学部ちゃんと取れて・・・


ん??

〇〇△大学 医学部 合格!?

え??

合格!!??
まじ?

あああ・・・・

よかったね・・


こういう大感動のときって

やった!!!!っていうより

安堵に近い。

沁み出てくる喜び。

息子がうまれた時のような感覚

妻にありがとう。ほんとにお疲れ様、息子に来てくれてありがとう

頑張ろうね・・・と静かに思ったあの感覚。


頑張ったね・・・おめでとう。

よかったね。報われて。

これからも大変だけど頑張ろうね。

という感覚。


私ができることなんかある?

なんでもするよ

というような応援したくなる感覚。


頑張っている人にチャンスをくれて

死神Kではなく

神様が来てくれました。

神様ありがとう。


彼女は自ら1年というリミットの死神を置いて
背水の陣でやったから受かったのかもしれません。


それにしてもよかったね。

おめでとう。

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