20231125日記「エチオピアの吟遊詩人」


20231125
今日は映像人類学者の川瀬慈さんのトークイベントを聴きにふるえる書庫さんへ行った。エチオピアの吟遊詩人「アズマリ」ソロモンさんのパフォーマンス映像は衝撃。

罠にかかった鳥 
食べることのできない鳥
この鳥に俺の心は
かきむしられ流血するのさ

川瀬慈『吟遊詩人 -声の饗宴-』より



川瀬さんによると、これはエチオピアの有名な曲とのこと。格好良い詩。その後ソロモンさんは「詩をなげてちょうだい」と言い、オーディエンスの言葉の媒体となって、それは歌として反復される。恋とか身近なものから、コロナ、内戦、政府、首相のことまで。想いを吐き出すことが詩や歌になるなら、吟遊詩人にはなんでも伝えられるのだろうな。それだけエチオピアの人にとって歌は崇高なものだから。知れてよかった。エチオピアはランボーが住んでいたところというのがまず浮かぶけれど、それで吟遊詩人ときたら、もう詩の国じゃないか。いま全集でランボーの手紙を読んでいる。
川瀬慈さんにいただいた詩集『叡智の鳥』にもエチオピアのハラールで暮らしたランボーのことが書いてあった。ランボーによるセルフィーのこと。素潜り旬のセルフィーよりよっぽど意味のあるランボーのセルフィーのこと。土地に、街に、世界に潜るような詩と物語。だから川瀬さんは「素潜り旬」を良い名前だと言ってくださったのだろうか。潜ること。潜って詩を書くということ。素潜り旬は潜れているのかと問いかけられたような気がした。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?