●●のこと。(「LOVE is 永田助太郎 戦争と音楽」で「作用抄」を全篇朗読した)20231015
「LOVE is 永田助太郎 戦争と音楽」2023年10月15日徳正寺にて。永田助太郎の「作用抄」全篇を朗読をした。メンバーは素潜り旬(朗読)、SUZMENBAの本田未明さん(サウンド)と太田泉さん(パーカッション)。にしもとひろこさん(歌、朗読、ギター)、鈴木モモさん(ストリングラフィ)、扉野良人さん(朗読)。
ストリングラフィで徳正寺は見たことのない状態であり、永田助太郎の詩集『溫室』に収録された詩「蜘蛛」のようだった。
朗読は、鈴木モモさんが庭の木から徳正寺の奥の壁に張った一本の糸をたどって歩きながら音をだし、俺の前を通り過ぎてからはじまる。これからいつか「戦争詩」が読まれるのだという緊張が場を包んでいるように感じたのだけれど、実際に「戦争詩」が読まれると知っていた人はどれだけいたのだろう。永田助太郎の資料が全員に配られたが、そこではじめて読んだという人もいたはず。俺が、緊張していたのだと思う。「戦争詩」を読むことに対して。
俺の朗読は、見ていて、聴いていて、滾る。だとか、昂る、とか言われることも多い。それは俺も理解している。顔を下げずに朗読を観てもらうには、アジテーションするくらいでないといけない。そんな俺の朗読は、戦争詩と相性が良すぎるゆえに悪すぎる。俺が戦時中にいたら、様々な場所に駆り出されて朗読させられていた気がする。いつもとは違う朗読をする必要があった。
身体が抵抗していた。前々日、保育園の運動会でリレーを走った筋肉痛のせいかもしれない。反発していた。声が思ったほうへ飛ばない。発する声は、どこかへ飛んでいった。抵抗。右膝を少し折り曲げてカタカナを強調する。
オオ ララ オオ ララ。俺は雄叫びをあげた。詩情を生むにはふざけてはならない。「みんなの王様ョ」はもっと楽しくいきたかったけれど、真顔で言う恐怖を選ぶ。丁寧に、それでいて野蛮に。混沌を引き寄せる。エロスも来い。そして戦争詩へ。
●●は「クロマルクロマル」とした。なにが入ってもいいような、伏せ字のような、●●を、ただの記号としたかった。ダダ的に発した。それは瞬間的に。事前に考えていたとかではない。あの時、●●は「クロマルクロマル」だった。抵抗。俺の抵抗。●●を恐ろしく感じた俺は、瞬時に●●に「クロマルクロマル」という詩情を見いだせたのだった。俺は詩人だ。永田助太郎「作用抄」をほぼ全篇朗読する大役を任された。これくらいやらなければならない。詩人として。永田助太郎と共鳴する詩人として。
扉野良人さんと阪本佳郎さん、素潜り旬のトークでは、阪本佳郎さんが●●を「クロマル」と朗読したのは面白かったと言ってくださった。そして●●は印刷の都合上「クロマル」だったが、あれは「アカマル」だったかもしれないと。アカマル!!!!
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