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【千夜閃冊/四冊目】「黒化する世界 民主主義は生き残れるのか?」

どうも。夏樹です。さて! ブックレヴュー、千夜閃冊。今回は北野幸伯著「黒化する世界 民主主義は生き残れるのか?」ですわ。

でな。北野幸伯さんといえば、今までメルマガで何度も取り上げてきた「現代の預言者」として加藤も激押しの国際関係アナリストだ。

現代の予言者、かく語りき

アレですよ。加藤は元々国際政治学徒で「現実主義学派」(リアリズム)の理論的視座を支持しているワケです。今ならシカゴ大学のミアシャイマー教授のオフェンシブ・リアリズム(攻撃的現実主義)あたりがまぁ考え方に近い。

出典wiki: ジョン・ジョゼフ・ミアシャイマー(John Joseph Mearsheimer、1947年12月4日 - )は、アメリカの政治学者、国際関係学者、空軍軍人。シカゴ大学政治学部教授。国家が他国に対してパワーの拡大を試みる行為主体だと想定して安全保障を研究する攻撃的現実主義(オフェンシブ・リアリズム)の代表的論者。

そんなわけで、基本的にリアリズムに属する北野さん。日本人としては珍しいと思うけど、モスクワ国際関係大学に留学して卒業。ソ連の崩壊を内側から体験し、20年にわたり、ロシア国内から分析を続けた。そのあたりは北野さんのメルマガに詳しい。

そもそもで北野さんはその2012年に公刊された著書『プーチン最後の聖戦 北野 幸伯』の段階でアメリカの衰退や、米中覇権戦争の時代の到来を指摘。2020年ごろには中国の「国家ライフサイクル」的にバブルは崩壊し、それから30年は続く衰退の時代に入ると指摘しているのだ。

まさに日本が経験した「失われた30年」に入る、というわけ。

そんな風に2012年以後の国際情勢を見てきたような内容を新聞などの根拠の確かな公的な情報を頼りに分析して読者に提示している。

と、まさに現代の預言者・北野さんの目にはこれからの世界はどのようになると映っているのか。新著『黒化する世界』を概観しよう。

黒化する世界


目次
はじめに
米中覇権戦争は「『民主主義』対『独裁』」の戦いに転化した
着々と「反中包囲網」を形成するバイデン大統領
中国との覇権戦争中に、欧州とケンカ etc…

第1章     
前黒化時代
覇権争奪戦とバランス・オブ・パワー
アメリカ対欧州の時代(1992年~2003年)
欧州の「覇権争奪戦略」とは etc…

第2章  
連鎖黒化
香港―連鎖黒化のはじまり
ベラルーシの乱 
ナワリヌイ毒殺未遂事件 etc…

第3章  
白の逆襲
香港問題で変わるイギリス
香港問題で復活する米英同盟 etc…

第4章     
黒VS白の戦争
プーチン怒りの根源
なぜ2021年11月に大軍を集結させたのか?  etc…

第5章     
黒化勢力の「核」中国の未来
ウクライナ戦争の負け組、勝ち組
ウクライ戦争、最大の勝者は中国  etc…

あとがき
正しい選択をした岸田総理


以上、目次は大体そんな感じ。各章の項目はもっとたくさんあるが、ちょっと大変だったので各章三項目させてもらった。

全体的レビュー

概観としては、今、世界では黒化が進んでいる、と北野さんは言う。世界では「黒」の勢力が増えている、と。ちなみに白が民主国家で、灰色は中間で揺れ動いている国だ。

そして「黒」とは独裁政権の国だ。

おおまかに世界のそのように分類する。

世界には中国やロシアなど、意外なほど「黒」の国は多い。そして中国が韓国に圧力をかけて、「灰色化」するなど、世界の黒化が静かに進行しているのだ。

たとえば、ロシア以外ではベラルーシ、タリバーンのアフガニスタン、軍事政権のミャンマー、中国に吸収された香港・・・。

「黒化」は世界で着実に進行しているのだ。そして黒化、つまり独裁化とはとうぜん市民にとっては悲劇である。

今、優秀な「白」、まさにホワイト企業(笑)のような台湾に、ブラック企業の代表である中国からのプレッシャーは年々厳しさを増している。

そしてそんな白と黒の潮流が衝突したのが、ウクライナである。白の勢力(欧米民主主義勢力)と黒の勢力(露。中、しかしロと微妙に距離はアリ)がここでぶつかっているということを著者はわかりやすく描いている。

また、ロシアの専門家だけあって、「そもそもなぜロシアはウクライナを侵攻したのか」というのをロシアからすれば当然の帰結でもあることが実にわかりやすく描いている。そもそもの背景から理解したい人にとっても、本書は有益だ。

ロシアの戦略的敗北をいち早く指摘

そして何より預言者・北野さんは一早くロシアの戦略的敗北を明言した人物ではないだろうか。2022年11月の段階で、欧米からの武器支援もウクライナは多く、我々はこの段階でようやく「まさかのロシアがヤバイかもしれない」「ジャイアント・キリング!?」「いや、ロシアはまだ戦術核を使う可能性はある」と我々は感じている程度だ。

しかし北野さんによると

「2014年3月、ウクライナからクリミアをほぼ無血で奪うことに成功しました。これはロシアにとって「戦術的大勝利」です。しかし、同時に「戦略的敗北」だったのです。」

という。2014年の段階でこの判断が出来ているのだ。

そしてその意味は、ロシアは2001年から2008年まで毎年7%の経済成長を続けてきた。しかしクリミア併合による制裁で、GDPの成長率が2020年まで0.38%になってしまったのだ。

そしてさらに今回のウクライナ侵攻により、SWIFT排除、強力な経済制裁、経済成長率マイナス11%という事態だ。

これでもう完全に「ロシアの戦略的敗北は不可避である」と北野さんが見ている所以である。

世界は今後どのようにうつろうのか

ではそんな黒化が進む世界は今後どうなるのか。結論から述べると、世界の黒化の潮流のラスボス中国。この中国が2020年代に〇〇〇〇するほど追い込まれる。これが北野さんの見立てである。

ここに当てはまる文字は本書で確認して欲しい。

そしてそのとき我々はどうすべきなのか。これは今後10年あるかないかの時代で起こりうることである。すると、この時代を生きる我々はその影響をモロに受けることになる。

どのようにすべきなのか。それは本書を読んで考えて欲しいと思う。

そして最後に一言。

こと対黒化勢力に関しては、検討士と揶揄される岸田総理は、判断を間違えなかったようだ。(笑)

なんつーか、意外だけどw

というわけで! 超オススメの一冊。今後「世界はどうなるのか」を見通し、現実的な処方箋として読むべきだと思う。

下記をクリックして読もう。

黒化する世界 ――民主主義は生き残れるのか?


ちなみに著者と大学が元同期(!)という知人が、僕と北野さんがメルマガで紹介しあい、敬愛していると知っているので入手してくれたサイン本である。うむ。この写真はただの自慢である。(笑)

黒化する世界 ――民主主義は生き残れるのか?












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