誰のものでもない私の詩(うた)

誰かがいようがいまいが社会は続いていくのに、
「君が必要だ」という呪いに引きずられて
誰かが死んだというニュースが流れている。

“優しさ以外から発せられた薄っぺらい
そんな言葉なんかゴミ箱に捨てて
あたたかい布団の中で夢でも
見ていられたらよかったのに”

分かったようなフリをしながら
自分も例外なくその呪いにかかっていることには
生きていくため?に、目をつぶる。
「君が(とりあえず)必要だ」だとしても、
少しは何かの足しになると思いたいから。

「まだ愛してる」とか「愛してた」とか
そんな戯言、誰からも届きっこない私は、
たいていの大人より自由だ。ざまあみやがれ。

昔、「まだ誰のものでもありません」って
フレーズで売り出された
アイドルがいたんだってね。
そんな言葉で価値が上がるような人間って、
世の中にどれくらいいるんだろう。

みんな誰かのものになりたがるか、
誰かを自分のものにしたがって
生きているんだ、そうだろ?
今年もそのおかげで、2月にチョコレートが
バカみたいに売れる。ほんとバカだよね。

もしそうじゃないと言うなら、
「誰のものにもなりません」って
宣言してみなよ。
そしたら崇拝してあげてもいいよ。

でたらめで、でもどこかで
聞いたことのあるようなメロディーを
鼻歌で歌いながら夜道を一人歩いていく。
行き着く先は、私だけが鍵を持っていて、
私だけが灯りを点ける部屋。

今夜の満月はいつもより大きいらしい。
でもとっくに私は知っている。
どんな月が浮かんでいようと、
月があろうとなかろうと、
夜空はいつでも、その漆黒に星を抱えて             私たちを見守っていることを。

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