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英雄の証明 映画感想 周囲もなんだかなあ

元妻の兄に借りた金を返せずに刑務所に収監されているラヒム
休暇を貰い、外に出た間に金を返そうと考える
今付き合っている彼女が金貨を拾っていたので、それを返済に充てようという計画だった
しかしその金貨を査定してもらったが、借金の返済にはとても及ばない
元妻の兄に残った分は必ず返すと訴えたが、全額払えと却下される
罪悪感から結局金貨は返そうと貼り紙を張り、持ち主を探す
現れた持ち主はラヒムが不在に間に姉とラヒムの息子が返す
その話は美談となり刑務所で広まる 取材が来て、ラヒムに同情する声が集まり刑務所から出られるように働きが始まる


SNSで美談として賞賛される
それで世間で素晴らしいと注目され、めでたしにならない話

嘘をつき、あわよくば釈放に繋がるかもというラヒムの行動はたしかに褒められたものではない

しかしラヒムを善人だと持ち上げ、刑務所の評判やらチャリティ協会やらもなんだかなあと思う
協会の人がラヒムのが嘘だとわかると「こっちの評判が落ちる」と怒り始める
評判が落ちる?何それ?
自分達でラヒムは善人だ英雄だ正直者だと勝手に信じておいて?
嘘をついていたラヒムにがっかりしました、というのはまだわかる
そこで自分達の評判のことを言い出すのが、保身ですねえ、と正直な怖さを感じた

ラヒムは嘘つくし、声を荒げるし、問題起こしたらダメだって時に相手のところに乗り込んでいくし、ちょっと落ち着けとは思う
金貨が返済額と同じくらいだったら迷いなく売り飛ばしていただろうし
ただ罪悪感を持っているだけ、悪者になり切れない人
それに最後はもう子供をこれ以上見世物に巻き込みたくないと、必死でもあった

待っている人達もいるから刑期を終えて外に出た時には、今度こそ正直に生きていけるはず
途中まではどうにもならないと頭を抱えたくなる展開だったけど、暗くならないラストで良かった


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