絶叫 葉真中顕 読書感想
マンションから一人の女性の死体が発見される。
自然死らしいが、女性の身元からある殺人事件の犯人ではないかという話が浮上する。
鈴木陽子。 調べていくと陽子と結婚した相手が何人も死亡しているという事実がわかる。
鈴木陽子の生い立ちから死までを描く凄まじい転落人生小説。
まず母親が毒親で女として生まれた陽子への愛情は無い
次に生まれた弟ばかりに愛を注ぎ、陽子は駄目人間という価値を植え付ける
もうここで人格が歪んでしまっている
弟は成長して陽子と関係ないところでいじめを受けて自殺する
母親はそれでも陽子を見ない 弟が生きていたら、そればかりを口にする
父親は家族に関心がなく失踪までする
結局母親は実家に帰るからと、陽子は会社員しているからいいでしょと一家は離散する
この後、陽子は一度目の結婚をする
そこで子供がいれば幸せになれただろう
しかし陽子は不妊症だった
夫は浮気して子供を作り、あっさりと捨てられる
この夫が陽子を労わっていたら全く違う結末になっていたのは容易に想像出来る あるいは子供がいたら離婚はなかった(夫両親から子ども作るのを要請されたいたから)
捨てられた陽子は上京して、世間知らずの為に保険会社に勤めることになり悪い上司に懐柔されて真っ当な契約ではないやり方で成績を得る
陽子が一人で生きていく覚悟さえしていたら、とここでも思う
声を掛けられたら、怪しいとかこの人は自分を利用しているとか一切思わない性格なのかどんどん低い方向へと流れていく
結局保険会社もクビになり、贅沢な生活から離れられなくなり、今度は風俗業へ そして無職の男にも引っ掛かり地獄みたいな生活に突入
しかし地獄で仏というか鬼と出会い、いよいよ保険金詐欺の殺人へと突入していく
弱い者が食われていく、食われた者がさらに弱い者を食おうとしていく世界
そして最後の結末は。
非情に読みごたえのある本だけど、元気のよい時に読んだ方がいい。
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