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アルツ村 南杏子 読書感想

夫のモラハラから娘を連れて逃げ出した明日香
車に乗って逃げ出した途中、煽り運転の車に追われて事故に合う
車を捨てて追って来る男から逃げる途中、集落を見付けて駆け寄る
しかし柵に近寄った時に気絶してしまう


驚きのアルツ村
住んでいる人々は全員認知症
会話は出来る
しかし認知症の症状は出ていて会話は微妙にかみ合わなかったりする
怒りっぽいとか騒動はあるものの、住人達はそれなりに仲良く暮らしている
バンショウさんと呼ばれる人達が食事を運んで来て、医療費もいらず、畑をやったりして不自由はほぼない
まるで理想郷?と思われるが、やはり中には捨てられたと自覚する人もいて辛い

その反面、ヤングケアラーとしての現実も書かれている
介護日誌として書かれていた本音
母親が出世して単身赴任する為に、一人で祖母の介護をする孫娘
誰にも助けてもらえない介護の日々
成績は落ちて、友人との付き合いすら出来ない、電話も出来ない、夜になるとこうしてほしいああしてほしいの訴え、やり方が悪いとなじられ叩かれて。
中には事件へと発展するケースも。
村へ捨てたとして日誌の中で謝罪してたが、誰が責められようか。


この件は悪事だ!告発してやる!と息巻いている記者の考え方がいかに安全圏にいるか、と滑稽すらなる
彼は自分の家族が認知症になり一人で介護をすることになったらどう選択するのだろう
それでも預けるなんてとんでもないと一人でやるだろうか 最後まで壊れることなく その現実を見てみたい

ラストで驚く展開があったけれど、穏やかに過ごしていた、その事実の方が大事だと思える

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