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ビジュアルノベル「千年の魔女」のシナリオを書きました
作品はこちらから。
前回のRe:Busに引き続き、今回もシナリオ等の担当をさせていただきました。
テキスト量は二十万字程度(文庫本1.5冊分くらいでしょうか)です。3時間ほどで読み終えられると思います。
恥ずかしながら、ここまでの分量を書くのは初めてだったため、沢山の壁に当たりました。お世辞にも順風満帆な制作だったとは言えないでしょう。完成した今は本当に安心しています。
うまく説明しきれない部分も多かった中、僕の意図を汲み取って制作してくれた先輩方に感謝します。
あらすじ
「千年の魔女」は、少し不思議な世界でのおはなしです。
たぶん、今から数百年前のヨーロッパによく似た場所が舞台です。
この世界では、『寿命』の定義が私たちとは少し異なります。
ざっくりいうと、この世界の人々は「心身が不自由なほど寿命が長く、健康なほど寿命が短い」という仕組みのもとで生きています。
私たちの世界では、身体の弱い人間が特別寿命が長い、なんてことはあり得ません。むしろ、心身が弱い人間の方が、寿命が短いケースのほうが多いです。
だから、ある意味では私たちの世界とは逆の世界です。
その中で、とびきり歪んでいる少女達を人々は「魔女」と呼びました。
彼女達は上述した仕組みに則り、永遠に近い寿命を持っていました。
人々はそんな彼女達を化け物扱いし、忌み嫌い、恐れ、除け者にしました。
魔女自身も、自分は化け物であると自覚し、普通の人とは違う時の流れを生きていました。
そんな魔女が、救われるまでのおはなしです。
ストーリーのきっかけ
小さい頃、僕は少し精神的に脆い子供でした。
しばしば真夜中に起き上がって、よくわからないことを話したり、歩き回ったりしていました。いわゆる夢遊病という症状です。
(自分では記憶がないのですが、)そういうことが起こるたび、僕は自分が怖くて仕方がなくなりました。人と違うことが、とても恐ろしく思えました。
とは言っても、小さい子供ならよくある話だと思います。実際に周りの人たちからも、「少し不便だろうけれど、珍しいことではない」と言われ、励まされました。
ある日、家族がこんな話をしてくれました。
「かつて、あなたみたいに変なことを話すような人間は、悪魔が憑いているだとか魔女だとか言われて、迫害されたり、殺されたりしていたのよ」
そんな話を聞いた僕は、「そんな世界で僕と同じような歪みを抱えている人間は、もっと大変だ」と思いました。(それと同時に、自分がそんな時代に生まれてこなくてよかったと安堵しました。)
そんな症状は年を取るにつれて治っていき、中学に上がる頃には、もう夜中に歩き回るようなことはなくなりました。
けれど、僕自身がたまたまそうだっただけで、高校生になっても大学生になっても大人になっても、そんな『人と違う』ことに苦しんでいる友達はいました。
千年の魔女は、あの頃の自分を思い出しながら書きました。
そして、かつて大変だと思った人々のことを考えました。
確かにそれは歪みなのかもしれませんが、ほんの少しの違いです。差別されるほどのものではありません。魔女なんて言われるほどのものではありません。
「少し違っているけれど、普通の人間なんだよ」と、そんな言葉を普通の『少女』たちに伝えられたらいいな、と思います。
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