いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣をかへしてぞ着る
いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣をかへしてぞ着る
(いとせめて こいしきときは むばたまの よるのころもを かえしてぞきる)
訳 あの人が恋しくてしようがないときは、真っ暗闇に襲われそうな夜は、衣を裏返しで着て寝ます。
むばたまのというのは枕詞ですが、京都の祇園祭の生け花としても有名な「ヒオウギ」の真っ黒な種子のことです。
「むばたまの夜」というのは、あのヒオウギの種みたいに真っ黒な夜、という意味です。
夜の闇に押し潰されそうな彼女を、裏返しで着た衣が包みます。衣