災害時支援拠点をGoogleマップにプロットするには?-Googleマイマップを使った被災地の後方支援
2021年10月3日の夕方に起こった和歌山市の六十谷水道橋崩落により、約6万戸13万人が断水の被害を受けました。
市は応急給水所や災害時協力井戸、トイレの場所などをWebサイトやSNSで住民に随時発信していましたが、移住者・地域が地元ではない学生・旅行者・日本語が読めない人など、土地勘のない人には「施設名」や「住所」の羅列だけでは、どこが近い支援拠点なのかわかりづらい可能性があります。
また、土地勘のある人であっても、給水所やトイレが非常に混雑するとか、給水車の場合はタンクの水の供給が終わってしまったら、他に近い・行きやすい支援拠点を探す必要があります。(*1)
そのため、Googleマイマップを使った水関連の支援情報を提供するボランティアをしてみるのはどうかと思い立ちました。10月4日の夜からちくちくピンを立てはじめ、SNSで見かけた水の支援スポットを追加し続けたところ、徐々に口コミ(?)で広がりました。10月7日時点で12,000回以上参照され、同日の朝日新聞地方版にも掲載されたことから、公・民含めた支援拠点情報が一元管理されたマップのニーズや関心は結構あるのではと感じています。(10月11日朝時点の参照回数は28,000、1か月で50,000超)
この作業は、体力や土地勘、人脈がなくても、ネットにつながったパソコンとスマホさえあれば在宅でできるボランティアです。
初めてなのにぶっつけ本番で、うまくいかなかったことなども含めて下記に私の感じたポイントをまとめますので、興味を持ってくださる方や、今後実際にやってくださる方が増えたり、参考になったり、意見交換できたりしたらいいなと思います。
*1 10月7日夕方、行政が手配している給水車による水の供給については、各拠点の給水所の混雑状況や給水車の到着予定時刻を表示するシステムが完成し、告知されていました。(株式会社ウフルさんが10月5日から急遽開発したそうです。開発スピード凄すぎィ!)
マイマップの基本の作り方
・概要
マイマップを作るには、Googleの提供する「マイマップ」の機能(無料)を使います。マイマップの作成者のみ、Googleのアカウント登録が必要です。(ユーザーにGoogleのアカウントは必要ありません)
基本の操作方法はこちらのブログ記事:(Googleマップに一括でマーカー(ポイント)を表示させたい場合の手順【無料】)にまとめていますが、本記事では主に断水に困っている人たちへの支援として、わたしがやっていた「運用方法」や「判断基準」についてお伝えしてきます。(いろいろ意見交換したいです)
なお、上記記事にある「一括でアップロード」ができるのは、各レイヤ初回アップ時のみで、追加分は一括アップロードはできないようです。
「一回全データをマイマップから消して、もう一回アップロードしなおしたらいいやん」と思うかもしれませんが、手元で調べた緯度経度つきのデータをマイマップにアップロードした後には、たいていマップ上でピンの位置の微調整が入ります。(一括アップロードには緯度・経度が必須なのですが、Googleマップで調べた緯度経度を、マイマップに入れるとずれることがとてもよくあるのです)
一度でもマイマップでピンの位置をずらすと、手元にあるデータの緯度経度と、マイマップ上の緯度経度に差が出てきてしまうので、手元にあるデータに別の拠点を追加したデータを一括アップすると、せっかくマイマップ上で調整したピンの位置が、手元のデータの緯度経度に先祖返りしちゃうのです。😢
というわけで、各レイヤ初回はなるべくデータを手元でGoogleスプレッドシートやExcelに集約してからアップロードし、残りをちくちく追加していくのがオススメです。(2021年10月9日時点の仕様です)
・マップ(ページ)の名前
今回は
「地名_提供データ_マップ_英語併記」
としました。
例)
和歌山市給水・断水時トイレ等マップ_Emergency water supply in Wakayama city
(英語版の必要性については、Twitterでご指摘をいただき追記しました。ありがとうございました)
・レイヤ
マイマップには“レイヤ”の概念があります。マップにだんだんピンが増えてくると、「シャワーとお風呂だけ探したい」など、特定の目的のピンがあるユーザーは自分にとって不要なピンを非表示にしたいのではないかと思います。
そこで、各ユーザーが必要のないピンをまとめて非表示にできるよう、同じカテゴリのピンは、同じ「レイヤ」にまとめるとよいでしょう。
レイヤは、日本語がわからない方向けに英語併記しておくとより親切だと思います。
(英語翻訳できる人がお知り合いにいたら、ネイティブの人に通じる英語か相談されるとよいと思います。後述します。)
この記事を書いている時点(2021年10月9日)ではレイヤは最大 10 個なので、平時に考えておきつつ、有事には災害の内容や被災者のニーズに合わせて吟味するとよいと思います。
当初は、市役所の情報だけをプロットしようと思ったため、市役所の提供する支援拠点の種類ごとのレイヤとして
①非常時応援井戸、②応急給水所、③マンホールトイレ…などのレイヤを順次作っていました。
その後、公式情報以外のニーズもありそうと感じ、各SNSのレイヤとして ⑥Twitter ⑦Facebook ⑧Instagram…とレイヤーを分けて作ってしまったのですが、そもそも支援情報を探しているユーザーは発信の主体やどこで収集したかには(たぶん)興味はなく、支援の種類で探すと考えられます。そのため例えば断水の場合は、
・応急給水所_Emergency Water Station
・井戸水・地下水_Well Water/Ground Water
・水道_ Tap Water
・トイレ_ Toilet
・シャワー_Shower
・風呂・温泉_Public Bath
・洗濯_Laundry
・駐車場_Parking
などというレイヤにしておくべきだったかも?と後から振り返って感じました。
*子ども食堂やホテルの客室などで貸してもらえる個室のお風呂もあるので、
・風呂・温泉_Public Bath(or Small Bath) としてもいいかもしれません。
なお上記の翻訳はプロの翻訳者にしていただいたものですので、有事の際にもお使いいただけると思います。*Special thanks YUKIKO Nishikawa(translator)
*カテゴリのあり方は、ユーザーの意見をアンケートで聞けるなら、後日総括できたらと思っています。
もしかしたら小さな赤ちゃん・お子さんがいる家庭のことを考えて、「子連れがゆっくりできる拠点」みたいなレイヤもあるといいかもしれません。(子育て広場、施設を貸してくれる助産院、子ども食堂、図書館など)
SNSでの情報サーチ
①行政の情報キャッチアップ
該当エリアの行政の公式SNSアカウントがあればフォローします。(TwitterやFacebookなど、複数あっても発信される情報は同じ(はず?)なので、自分が使い慣れた1つでいいかもです。もし公式LINEがある場合はプッシュ通知があるのでともだち登録しておくと便利だと思います。
公式アカウントがひとつもない場合は…役所に要望を出してみましょう。
②民間の情報キャッチアップ
行政以外の情報の収集が最も大変で、時間を使います。
民間の店舗・団体さんが「支援しよう」と思うタイミングは人それぞれなので、いつ新しい情報が出てくるかわかりません。
情報をなるべく早くマップに掲載しようと思うと、パソコンかスマホでTwitter、Facebook、Instagramの3つのSNSで、ひっきりなしにキーワード検索する必要があります。
※参考までに今回の和歌山の断水は6万戸、13万人が対象でしたが、今回投稿したピンの数はだいたい市役所100か所、民間100か所くらいでした。
もし可能なら、複数人でプロジェクトチームを組み、時間交代などシフト制にするか、SNSごとに担当を割り振るかができるといいと思います。
(チームの人をどう集めるかは、後日別記事にできたらと思います)
でないと、インフラが復旧するまで時間がかかる場合は一人で取り組むと体力が持たないですし、仕事や学業との両立はかなり難しいと思います。(稼働時間はいろいろ含めると全部で40時間くらいでした)
また、サーチの方法ですが、「断水」とか「#和歌山断水」だけで検索すると、検索結果が断水当事者の投稿だらけになってしまいますので、TwitterやFacebookでは支援者が使いそうなキーワードで掛け合わせ検索していました。(漏れてしまった支援者さん、ごめんなさい)
例えば
「断水 提供」
「断水 開放」
「断水 解放」
「断水 無料」
「断水 自由」
「断水 お困り」
「断水 遠慮なく」
「断水 お使いください」
「断水 使ってください」
「断水地域の皆様/さま」
「断水エリアの皆様/さま」
などで検索し、今回の断水が始まってからの支援かどうか確認しました。(和歌山は2020年1月にも断水があったため、過去の断水時の投稿ではないかの確認も必要です。過去の提供情報の場合は、今回はやっていないかな?と直近のタイムラインを確認しに行きました)
また同時多発的に断水が起こっている場合はサーチがさらに大変になると思います。
(実際、和歌山断水期間中の10月7日夜に関東地方で大きな地震があり、複数個所で水道管が損傷。そのため「断水」で検索すると関東の投稿がたくさんヒットしてしまいサーチが難航しました…)
協力店舗に #和歌山断水支援 のように地名付きのハッシュタグをつけて投稿してもらうなどできたらいいのですが…でもそれとわかると、たぶん「断水ですね、ネットでお水を買いましょう」みたいなアフィリエイター?さんのスパムまがいの投稿が紛れ込んできそうなので、これも今後の課題です。
※Instagramはハッシュタグでの検索になるため「断水」と「断水でお困りの方へ」などで検索し、「被害を受けている当事者ではなさそうな画像」かどうかで確認し、「支援します」のバナーや、ホースやシャワールームの画像を見つけてはタップして確認を進めました。
ただ、ハッシュタグをつけず画像だけを投稿する方ももちろんいらっしゃるので、そういう方は検索では辿り着けません。平時から地域の店舗のアカウントを見つけてはフォローしておく…ということも有効かもしれません。
※Instagramはパソコンでサーチすると「最新順」で投稿が見られないので、スマホで確認してアカウントを確認、パソコンでサーチしなおしていました。
拠点をマップに掲載する基準
ありとあらゆる支援情報を見境なく載せてしまうと混乱を招くことがあるため、今回原則となる基準を持って掲載していました。
・行政のサイトや公式SNSで紹介されたもの
これは基本、拠点が特定できる限りは掲載しましたが、「協力トイレ:株式会社●●の▽▽以南の8店舗」な書き方のよう場合は、系列のスーパーの名前がいくつかあったり、市をまたぐのかどうかの判断ができなくて支援店舗を特定できず、掲載を見合わせていました。
(この件については、支援企業がSNSの公式アカウントを持っている場合は、メンションして「どこのことですか?」と聞いたりもしました。フットワークの軽い担当者の場合は、すぐに反応してくださり、掲載が可能でした。ヒダカヤさん+中の人、本当にありがとうございました。>@hidakaya_0302 みんな近くに行ったときはヒダカヤさんで買い物しよう!)
・店舗などの場合、責任者が公開の意思があると客観的に判断できる情報
「●●で水道開放されていたよ~!」と画像つきで投稿された口コミなどはたくさん見受けられましたが、個人ユーザーの目撃情報、また聞きの情報だけでは原則掲載しませんでした。理由は、
① 協力者が、インターネット上にその情報を掲載したいかどうかわからない
② 協力者の状況が変わってサービス停止したくなったときに、本人が発信する術がない
という考えからです。
支援するのは知り合いや近所の人だけにしておきたい、という気持ちもおありだと思うのでそれを尊重すべきだと考え、「お店や企業の公式アカウントまたは公式サイトで支援情報を紹介していること」を原則とし、口コミをもとに公式アカウントや公式サイトを確認し、支援情報を見つけられなかった時には非掲載としました。
*広く知らしめたいのに、店舗の公式サイトやSNSをお持ちでない方もいらっしゃると思います。ぜひこの機に導入をお考えください☺
・“数量限定ではない”もの
必死に疲れた体にムチ打ち、いざ配布場所に行ってみたらもう配布が終ってた…とか、想像するだけで発狂しそうです。そのため、“在庫があるかどうか行ってみないと分からないもの”は原則非掲載としました。
例えば、「ペットボトルの水配布所」「ポリタンク配布」などは、すぐになくなる恐れがあるため、今回は非掲載にしていました。10月10日に市役所の配布情報を掲載しましたが、数時間でなくなっては補充、またなくなり…を繰り返したので、配布数量をキャッチアップできる仕組みがあるなら掲載できるのにな~と思います。
・条件なしで無料のもの
「お店でご飯を食べてくれたお客さんのみ」などの条件があるものは掲載せず、誰でもOKのところにしました。
また「当事者は割引」などのサービスも多々見つけていましたが、今回は掲載を見合わせました。
理由としては、急な断水に見舞われて、ポリタンタンクだの紙食器だのキャリーだの飲料水だのお惣菜だのコインランドリーだの銭湯だの外食だの…と何かと予定外の出費がかさんでいると考えられたからです。条件なし・無料で支援を受けられる拠点だけを掲載しました。
災害時となればなおさらです。命からがら逃れてきて、すっからかんの方もいらっしゃいますもんね‥。
ただ、災害時のマップに、有料の拠点を載せるかどうかはその際のニーズや、ボランティアする人たちの考え方次第だと思いますし、有料も掲載する場合は、有料なのか無料なのかを、ピンを開く前に色分けなどでわかるようにする手もあると思います。
※あ、でも割引サービスされている方も、とっても、すっごく、じゅうぶん、めっちゃ素晴らしい社会貢献だと思っています!
無料にした方も、割引した方も、なにか税制優遇とか?いいことあればよりよいのになと思います。(もちろん、普段のお客さんを大事に、通常料金で営業し続けることも、とっても大切なこと思っています!)
なお有料であっても、コインランドリーや駐車場、銭湯などは、ニーズがあるなーという印象を持ちました。
これらについては料金などサービス内容を調べる気力がなかったので掲載しませんでした。(こればっかりは、もし平時に調べて集約していても、随時料金改定や閉鎖とかありそうなので情報のメンテナンスが難しいところです…駐車場検索サービスの会社さんとか、さっとできる素敵な解決案を出してくれたら目がハートになります…)
銭湯については銭湯温泉ソムリエ【公式】さんというアカウントが、電話で今回の断水エリア周辺の各銭湯に確認し、マップにしてくださっていました。普段からの地道な調査と、愛とフットワークのある素敵なアクションに頭が下がるばかりでした。
ひとつの支援拠点のピンに記載するべき情報
今回各ピンには下記のような情報を掲載していました。
・拠点名
可能であれば拠点名も英語併記すると親切かと思います。(今回は私の英語力と時間が足りませんでした…)
予約が必要な場合は、予約なしで突撃してしまう人がいないように(要予約)と頭につけるようにしていました。
・種類
小学校、公民館、体育館など、行政が提供する情報のこともあれば、民間店舗の場合はカフェ、レストラン、寺院、ゲストハウス、銀行、ホームセンターなどもありますし、場合によってはラブホテルや風俗店もありえると思いますので、種類を記載しておくと子連れユーザーや未成年に心の準備をしてもらえると思います。
・駐車スペースの有無や場所
当事者の皆さんにとっては、水を大量に運ぶ際や、遠方にある拠点に行くのに車が必要なことが多いようで、駐車スペースがあるかどうかは大切な判断基準のようでした。
・注意事項
民間の協力店舗に迷惑をかけないよう、注意書きがピンの詳細説明の上部に表示されるように配慮していました。
自分もそうですが、最後まで説明を読まない人もいらっしゃると思うので「下記ソースの最新の投稿で状況をご確認ください。またご厚意なので、営業や近隣の方の妨げにならないようご注意ください」などの注意書きが冒頭に入るようにレイアウトしておくとよいかと思います。
・支援内容など
基本、SNSや公式サイトに記載のあった原稿をコピペです。
ただし電話番号は後述の理由でカットしました。
・営業曜日・時間
ちょこちょこ、日にち限定で「●月●日のみ」といった支援もあります。この場合は、情報をよく読まずに拠点に突撃してしまうユーザーに配慮し、場所名(ピンの名前)に(●月●日のみ)と入れていました。
例)(10月7日のみ)カフェマーキテクト
・住所
カーナビに入れることもあることを想定し、住所も入れていました。
・ソース(根拠)となるURL
間違いを防ぐため、根拠となる投稿のURL、「(mm/nn投稿) https://…」として掲載していました。
ユーザーはこれを見て、私や誰かのデマではないことが確かめられますし、リンク先に飛べば、該当アカウントのタイムラインで最新の状況を確認できます。
※電話番号は載せなかった
今回、支援拠点の担当者の電話対応の負荷をできるだけ下げるため基本掲載しませんでした。(最初のほうの公共施設は一部載ってしまったかもしれません)
理由としては、ユーザーがマップを見られているということは、インターネットを使える方だと判断でききるので、それならばソースとなるURLを参照してもらえれば最新状況がわかると考えたのが理由です。
また、SNS上で「利用する前に電話で一報ください」と記載があったとしても、何らかの事情で担当者や電話番号が変更になった場合に混乱やロスが生まれることを懸念し、電話番号部分はカットしていました。
ピンのアイコンをどれにするか
ピンは日本語を読めない方にもわかりやすいもの、かつ同じ機能をあらわすのものは同じピンを設定する必要があります。
今回は慌てて走り始め、試行錯誤していったのですが、まだまだ改善の余地はありました。
上記に挙げたラベルに合わせるなら、下記のアイコンがGoogleに標準装備されており、使えばよかった…と感じたので、ご参考まで。
・応急給水所_Emergency Water Station
タンクの水が切れることもあるという意味で、蛇口アイコン。給水車アイコンがあれば最高なんですが…
・井戸水・地下水_Well Water/Ground Water
井戸アイコンはなかったので、噴水アイコンで代替しました。井戸のポンプみたいなアイコンがあるといいと思います。>Googleご担当者様
・水道_ Tap water
基本途切れないという意味で、水の出てる蛇口アイコン
・トイレ_ Toilet
ジェンダーマイノリティへの配慮がないのが気になりましたが、緊急時ということで一般に浸透しているこれにしました。
・シャワー_Shower
バスタブに入ってシャワーを浴びているものを使ってしまっていたのですが、この記事を作るにあたり調べなおしたらちゃんとシャワーアイコンがありました。
・風呂・温泉_Public Bath(or Small Bath)
日本で長くいる方にはおなじみのマーク。でも外国の方がこのマークを「温泉(お風呂)」ってパッと見てわかるのかはわからないです…。(教えて外国にルーツのある方!)
ちなみにこのピンのラベル、最初「Bath」という英語表記にしていたのですが、翻訳者の人に“外国の人には「public」ってつけて公衆浴場ってわかるようにしないと行ってみてビックリになっちゃうかもよ”、という指摘をに受けました。確かに…。
・駐車場_Parking
今回は情報収集・プロットしませんでしたが、駐車場をマッピングするなら下記のアイコンがありました。
・洗濯_Laundry
近隣のコインランドリーがとても混雑していたため、洗濯機を開放している方もいました。
ただ、Googleの標準装備では洗濯に見えるアイコンが見つけられなかったので、Tシャツからしずくが出てるアイコンとかがあるといいなと感じました。>Googleご担当者様
子連れ向けのスペースのピンを作るなら、赤ちゃんピンがあるのでこれが使えると思います。
(ちなみに「カスタムアイコン」でオリジナルのピンを立てることもできます)
掲載確認
調べた緯度経度が指し示すポイントと、Googleマップが示す住所が合致しないことがあります。原因は
・住所に番地等がなく、住所が指し示す対象範囲が広すぎる
・Google側でマップに登録している住所にズレがある
等が考えられますが、“とにかくずれることがある”という可能性を念頭に、マップに掲載したのち、ピンの位置が合っているか念のため一つずつ立てたピンの「住所」でマップを検索し、検索結果のピンと今回立てたピンが一致するかを確認します。どうしても派手にずれてしまう場合は、掲載を見合わせ、発信者に問い合わせてから掲載すると混乱が減ると思います。
この認識がなかったので、作り始めにかなり確認の手間や調整が後から発生してしまい苦労しました。
支援拠点の情報発信者に掲載連絡
ボランティアで支援されていた店舗さんのSNS投稿に、支援マップ掲載連絡をレスの形でぶら下げるとよいと思います。(初期のほうはできていませんでした、ごめんなさい…)
① ピンの位置や掲載情報が異なるときに指摘してもらえる
② 相手のSNSのフォロワーに届くので、マップの存在を知ってもらえる
③同時に同じようなマイマップ作成作業をしている人がいるときに、存在を知ってもらえる
という理由です。
基本、下記のようなテンプレで支援情報の投稿にぶら下げる形で連絡していました。
情報ありがとうございます。今回の断水の支援場所として下記マップに追加させていただきました。
https://・・・
・地図のピンの位置や掲載情報が異なる
・載せないでほしい
等があればお手数ですがお知らせください。
*断水が終わり次第、マップからピンを非表示にする予定です。
#断水 #給水
SNSで返信があり、修正希望があれば迅速に対応していきます。
4万人以上のフォロワーのいるホームセンターコーナン【公式】さんの「水道開放しています」という投稿に、「マップ化しました~」とぶら下げて報告レスしたら、たくさんの人に見てもらえたようで「いいね!」をたくさんいただきました。(みんな、近くに行ったときはコーナンで買い物しよう!)
*Instagramの場合は、投稿に含まれるURLがリンク無効になるので、プロフィールに一つだけ設定できるURLを一時的に今回のマップにしました。
また、私のプロフィールを確認しに来た人が、タイムラインも見て水支援の投稿がひとつもないと、プロフィールのリンクも悪質のフィッシング詐欺と思われるかと思ったので、下記のような水支援しているよ~という投稿もしておきました。
上記バナーはCanvaというサービスで作りました。素材がいろいろあってサクッと作れます。
10/11追記)
Instagramで掲載連絡をした方、Facebookで連絡した方から、コメントをいただいていたのに通知が来なかったのか気づかなかったのか、数日間の見過ごしが発生していたことがわかりました。通知見過ごしは一人でやっているとかなりリスクがありますね‥チームで巡回を分担できたらよいのですが(;;)
マップの存在を多くの人に知ってもらうために
ピンがたまってきて、使えるレベルになってきたら、地域のキーマンと繋がりがあるなら思いきって個別DM等で連絡するとよいと思います。(地域活動クラスタの方々はFacebookを使っていることが多いのですが、Facebookのタイムラインに普通に投稿すると間引きされて表示されず、気づいてもらえないことが多々あります)
例)
・地域の中間支援組織NPOのスタッフさん
・地域メディアのライター・編集者さん
・ママさんネットワークを持つNPOのスタッフさん
・社会福祉協議会の職員さん
など(広めていただき、ありがとうございました!)
今後に向けて(アンケートのお願い)
今回のことを機に、類似の支援に取り組む人たちのために今回の事例をブラッシュアップしたいと思っています。
今回、断水中にこの支援マップを見た方(または誰かにシェアされた方)は、もしよろしければ、下記の記事よりアンケートにお答え&シェアした人に再度シェアをお願いできると嬉しいです。(10月いっぱいまでの予定です)
https://note.com/sumiyomakino/n/n59cc57a93543
おまけ①:何か地域の役に立ちたいと思う方へ
今回はデジタル支援だったので、遠く離れていてもできるボランティアですが、普段パソコンやSNSを使わないと疲れちゃうと思います。
それぞれ皆さん「現場で対人支援やりたい!」とか「水運びしたい!」「物資の仕分けしたい」など、やりたい・やれるボランティアがあると思います。
有事にはじめていきなり現場でボランティアしようとすると、ボランティアコーディネートの皆さんも大変だと思います。以下のようなところと、平時から繋がっておくのが大事なのかもと思います。(地域によって活動状況に差異はあるかもしれません)
・各地域の社会福祉協議会(社協)
各都道府県・各市町村にあり、地域の福祉活動やボランティア・市民活動の推進・支援などを行う民間組織です。
災害時にはボランティアセンター(以下ボラセン)を運営されることも多いと思います。あらかじめボランティア登録しておくと、やりたいジャンルのボランティアを紹介してくれる(はず)です。
ボランティア保険といって、少額の掛金でボランティア中のケガを補償してくれる保険にも入れると思います。
*災害真っただ中のエリアの市町村の社協さんは、デジタル広報まで手が回らないこともあるので、有事の際に市町村社協サイトを見て情報が更新されていない場合は、都道府県の社協さんのサイトもチェックしてもいいかもしれません。
・地域活動をしているNPOや、地域の中間支援NPO
NPOは'Nonprofit Organization'の略で、非営利の活動をする民間の人々です。
災害時ではない平時から、子育て中のママさん支援、お年寄り支援、障がいのある方の支援、等、何か困りごとのある人たちをサポートしている団体も、地域にきっとあると思います。
自分の関心のあるジャンルのNPOで、近所のところはどこかな?と調べておいたり、SNSがあるならフォローしておくとよいと思います。(ボランティア募集しているなら、平時に自分の都合に合わせてできるボランティアがないか聞いてみるのもいいと思います。寄付も喜ばれると思います)
また、それらのNPO団体の立ち上げや運営のサポートをしているのが中間支援組織NPOです。和歌山だとわかやまNPOセンターさんが県全体のNPOをカバーして支援されているので、とっても人脈が広く、「こういうところとつながりたい」というと、アドバイスしてくれるかもしれません。(スタッフさん、めっちゃ優しいです!)
おまけ②:行政の方へお願いしたいこと
行政の危機管理や広報担当の方に届いたらいいなという感想をお伝えします。
和歌山県は、観光が大事な産業。また多くの市町村は移住促進にも力を入れています。その人たちを県や市町村挙げてお招きしたからには、責任を持って、「誰も取りこぼさない」よう、災害時の支援情報にリーチできる発信の仕方になっているかの見直しと仕組みづくりを検討いただければ嬉しいです。
▼拠点告知の項目について
支援拠点について、「地元民ならわかるだろう」と施設名や住所だけで告知を済ませず、下記の情報を「表形式」で記載してくださると、とても助かります。
すごく細かくて恐縮なのですが、表で拠点一覧を見せる際、表の各セルなかでは、「改行」をしないことは可能でしょうか…。(改行が入っていると、Excelに転記したときに、その分複数行にわたってしまい表が崩れてしまいます。Webに掲載の表の1セル内の要素について、1セルに収まるようにするか、Excelでの情報提供だと大変助かります)
・緯度・経度
緯度経度情報があれば、日本語が読めなくても地図さえ読めれば誘導ができます。
緯度経度は“世界測地系”、無理ならGoogleマップを緯度経度で指定したリンクがあると助かります。
・施設名
公園の名前など、表記ゆれがないようにしてもらえると助かります。
「●●公園」と「●●児童公園」は違うのか、「●●公園」と「●●第1公園」は違うのか、詳しくない人にはわからないため、せめて行政発信内では統一していただきたいです。
・住所
・駐車場の有無(学校の場合グラウンドに乗り入れ可能かどうか)
・利用可能時間
上記は平時に調査して一元管理しておき、有事には元データから「掲載/非掲載」の判断だけすればよいようにしておくと、迅速に間違いのない情報を提供していただけるとよいのかなと感じました。
▼断水の場合に必要な支援について
(当日すぐに必要なもの)
・飲料水、応急給水所の供給スポット
・災害時協力井戸、市町村管理の井戸
ポンプ(電動)か、手動か
・マンホールトイレ
・仮設トイレ
・協力店舗のトイレ
※トイレはバリアフリーなのかどうかの情報も必要です。
なお今回は子ども用便座についての情報が見受けられませんでしたが、子連れ家庭にニーズ調査していただいて必要ならご準備いただくもよいと思います。
(なるべく早く必要なもの)
・公共施設などで開放できる設備
└シャワー、お風呂
※「シャワーやお風呂は数日ぐらい我慢せよ」と思う人もいるかもしれませんが、生理中の女性や、やわらかウンチがオムツからべっちょり漏れた赤ちゃんもいます。赤ちゃんの汚れた服を洗濯できないって想像するだけで発狂しそうです。
コロナ禍でもあり、密な銭湯に行けないと嘆く人がたくさんいたように思います。平時に協力店舗の情報収集をしたり、近隣都市とも協力協定を結んでおくとよいのかと思いました。
(民間業者やNPOと協力できるなら)
・コインランドリーなど洗濯できる場所
・キッチン(赤ちゃん用離乳食など)
・その他、災害時に協力協定を結んでおく企業
などもあらかじめ把握しておき、拠点の情報や支援内容を把握・一元管理しておき、有事にはあとは「出すだけ」という状態になっているといいなと思います。
「災害訓練」というと、現場で火を消したりAEDの使い方を学んだりが多いですが、「広報(市民への情報提供)がスムーズにいくための災害訓練」も必要なのではと感じます。
例えば、災害時協力井戸の情報は市町村のサイトに公開しているけど、住所のあいうえお順一覧とか、登録順とかになっていませんか? 支援拠点の使用可・不可が、すぐに切り替えられますか?
誰でも見やすいマップ形式で掲載されることや、世界測地系の緯度経度情報も掲載されていれば、デジタルな中間支援をしやすいと思います。
おまけ③: 社会福祉協議会や市民活動センター、ボラセンや地域活動支援団体の方とやりたいこと
③の皆さん、いつもお疲れ様です。皆さまは地域のことをとてもよく把握されているからこそ、このような有事の際には現場にかかりきりだと思います。でも、SNSを見ていると地域内外に「何か支援できないかな?」と思っている人たちもポツポツいて、でも誰をどうやって助ければよいかわからなくてアイドリングしている人や、とりあえず現地に行っちゃえ!という方もいらっしゃる印象を受けました。
有事の際に随時SNS発信するのは難しいと思いますが、公式サイト(ブログ)、ボラセンのサイトなどは、コトが起こったら即日、「断水について」などのキーワードを含む案内をトップページから見える形でアップし、ひとことでもいいので状況や現場ニーズのざっくりした説明に加えて「ボランティア登録フォーム」のリンク等があればいいのに…と思いました。いや、でも、確かにそれどころじゃないともひしひしと想像できるのですが…
また、ボランティア登録フォームがある場合、ボランティアの種類を尋ねる項目が“現場で動く”選択肢ばかりで、デジタル支援の人のための選択肢がありません。
とはいえ有事の際にそんな未知の分野の人までマネジメントできないとも思います。…だからこそ、平時にそういう人たちと繋がっておいて、事前に対策を協議し、いつでも緊急プロジェクトが発足できるよう、チームの相互理解を深めておけたらとても素敵だと思いました。(どうしたらいいのか、みんなで考えたいです)
もしも社協さんがデジタル広報に課題を感じているのであれば、デジタルに詳しかったり、課題意識を持つボランティアを募って話をするようなイベントを企画することも、(平時になったらでいいので)ご検討いただけると嬉しいです。(「社協に平時などない!」という状況もわかっているつもりです。でも年齢層も得意分野も幅広い市民参加を促していきたいではないですか~…😢)
おまけ④:Googleさん、ありがとう、そして…
今回のマップはGoogleさんがマイマップという機能を無料で使わせてくれたから実現できました。Googleさん、素敵な機能をありがとうございました。
もしGoogleの中の人がこの記事を読んでくださっていたら、下記ご検討いただけると嬉しいです。
・マイマップの「危機管理」カテゴリピンに、「井戸アイコン」と「洗濯アイコン」、さらに美容室でシャンプーしてくれる店もあったので「髪の毛シャンプーアイコン」があるといいなーと思います。
・こういう作業やる人向けだけにでも、レイヤの数の制限なしにしてほしいです…。上記のように、今回断水被害だけでも8レイヤ使いました。ここに電気や通信のインフラ停止も加わったらもっと使うことになりそうです…😢
・各レイヤに初回のみExcelでインポートできますが、追加分も、Excelのインポートできるようになっていると嬉しいです。
(一括でなくても、地図からピン立てたらいいやん・・という設計なのだと思いますが、市がある程度拠点を追加でまとめで告知することもあり、その際に営業時間や注意事項をコピペミスなくアップするのは大変なのです…)
・各レイヤで一括インポートする際に、可能ならアイコンも指定できると助かります…。数字入力とかでもいいので…。
・Googleのスプレッドシートから読み込める形にしてほしいです。そうすれば分業がしやすい…。(できるならすみません)
さらにいうと、Googleスプレッドシートのある行まではユーザーが自由に入れられるようにしておいて、確認担当者だけが編集可能な列を設定し「確認担当者OK」のフラグに特定の値が入っているものだけマップに反映とかしてもらえると、とてもうれしいと思いました。(すみません)
・他の方が作ったマイマップを、どうにかしてマージできる機能があるとめっちゃ助かると思いました。それぞれの分野でマイマップを作っていて、合体したい・合体されたい…と思うことがよくありました。
・支援が行き届かないところへ、動き回って支援している人(自作給水車など)もいたようなので、SNSアカウントなどと(本人の合意のもと)紐づけして、リアルタイムの位置をピン表示できるような仕組みはないものか…と思いました。言っておいて、いろいろ難しそうな話ですが…。(すみません)
・今後の災害支援の参考にしたく、Google Analyticsでログが見れたらいいな~と思いました。
A:参照元
B:参照地域
C:参照回数(①マップ全体に ②各レイヤに ③各ピン)
標準装備とかじゃなくていいので、問い合わせたら教えてもらえたりすると、とってもうれしいです。
10/14追記)
ユーザーに対して、レイヤの項目を一括非表示・表示を切り替えられると嬉しいです。「デフォルトビューの設定」だと、ユーザーのほうでレイヤを表示できるのですが、そうではなくレイヤをユーザー側で「非表示」にしたいのです…。
11/4追記)
ベターレベルですが、マップに入れてるデータをExcelかcsvの形式でエクスポートできるといいなと思いました。マップに掲載した民間のお店や人たちへ、お礼やアンケートのお願いをするときに便利だというレベルですが(;^_^A
…以上です。長々とすみません、どなたが読んでくださるかもわからないのに14,000字を超えてしまいました…。
ーー
似たような体験をしている人たちといろいろ意見交換できると嬉しいです。Zoomとかでオンライン災害対策ランチとかできたらいいですね。前のめりで参加したいです!
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