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非常時…行政の広報に、Twitterではどんな反応があったのか/大規模断水1日目

1か月前、ある地方で(地震でも台風でもないのに)突然水道橋が崩落し、10万人以上が影響する大規模断水が発生しました。
行政の広報…。平時はそこまで意識しないのですが、非常時には内容によって混乱を招いたり、時には悔恨を残したりもします。
そこで今回の断水では、行政のインターネット広報に対して該当エリアの市民であろう人たちからTwitterなどでどんな反応があったのかをまとめ、振り返ってみます。


※この記事の意図
この記事は今回の市役所の対応を「非難」する意図は毛頭ありません。
今回の断水エリアの住民は約13万人、該当する市の人口の3分の1以上の規模でした。ということは職員の方にも断水エリアにお住まいの方が相当いらっしゃったと想像しています。ご自身も予想外の断水の影響があり生活がたいへんななか、普段の担当部署でなくても駆り出されたり、連日深夜残業もあったでしょう。応急給水所現場などでは住民の皆さんに詰め寄られたりしてつらい思いをされたこともあったのではないかと思います。また、未曽有の想定外の事態に、役所内での情報収集や職員の多くの方を緊急招集しての各種体制づくり、オペレーションの徹底も、連日本当に本当に大変だったのではないかと想像しています。

それでもこの記事をまとめて公開するのは、「こういう発信に対して、SNSではこういう市民の反応が見られた」という事例(と一部わたしの感想)を共有することで、有事の際の広報のシミュレーションをし、他の市町村を含めた行政が「この情報、平時に準備しとけるんとちゃう?」と少しでも思っていただければあればうれしい…という気持ちです。

すでに改善に向けて検討を進められている市町村もあるでしょうところ、はなはだ僭越かもしれませんが、ある一般市民が、SNSにはり付いていて気付いたことをシェアします。

※読者の方が行政職員ではない場合、行政のサイトをチェックしてみて、防災関連の情報がわかりづらいならば…危機管理業務をする部署に、気になる点を問い合わせる気持ちになってくださったらうれしいです。

責める意図がないということで、市の名前などはの記事内には記載しません(調べたら丸わかりですが)。過去のあり方をただ責めるでなく忘れるでなく、過去から学び、防災・減災に着実につなぐきっかけになったらうれしいです。

一日目①断水発生

水道橋の崩落は2021年10月3日(日)15時45分ごろ発生したようです。

「水管橋崩落 定点カメラに崩落の瞬間映像」https://youtu.be/MzhU9RCj17U(毎日新聞YouTube10/4 公開)

関連の部署がすぐに異常を検知。

浄水場:午後3時45分ごろ、浄水場で異常を検知
市企業局:午後4時10分ごろ、破損を確認

朝日新聞「水道橋が破損・・(略)・・6万世帯で断水へ」より(10月3日20時51分の記事)

私自身は、Twitterを何気なく見ていたら知人が「崩落を目撃した人がいるみたい」との投稿を目にしてかなり早い段階で知りました。あ~日曜の夕方か…、関係者が確認や検討をするにも緊急集合に時間がかかるかもしれないタイミングだな…と感じました。事故や災害は営業時間内に起こってくれませんね…。

一部市議会議員が市からの第一報の前に個人SNSアカウントで断水の可能性が高いと情報提供していましたが、もちろんフォロ―していない人の目には触れません。

一日目②防災無線での第一報

市は、3日19時30分から企業局が記者会見で崩落の概要を説明。
3日 19時40分に下記の防災無線が流れたようです。(防災行政無線放送内容より)
わたしは登録していないのでわかりませんが、きっと同じタイミングで防災メールの登録者には同じ内容のメールが配信されたと思われます。

「地域断水のお知らせ」
**市企業局からお知らせします。
**水管橋の一部破損により、**川北部地域が断水となります。
ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします。

第一報の内容への疑問が噴出

第一報に対し、SNS上でよく見かけた疑問の声はこんな声です。

例)
・いつから断水となるのか
・断水となる地域がどこかわからない
・復旧はいつ頃の見込みか
・給水車が来るならどこに行けばいいのか
・動けない市民のために水の配布はあるのか、誰に頼めばいいのか
・保育園・幼稚園・学校・大学は休校なのか
・「ご理解とご協力を」の“協力”とは具体的にどの地域のどんなアクションなのか
(協力を求められているのは川より北の人?それとも南の人も?)
・原因は何か

上記の疑問が来るであろうという想定のもと、あらかじめ発信があれば断水当事者たちの混乱を避けられたのかと思います。

特に、防災意識の高い人ほど

・断水が起こるまでに、各自でお風呂場などに水をためておけばよいのか?
・少しでも水が長持ちするように、最低限の水しか使わないほうがいい?

のどちらか判断つかないという様子でした。
また、防災無線の直後に断水になってしまった人もいたようで「備える間もなかった」とぼやく投稿も見受けられました。

防災無線の課題
その後随時防災無線は流れたようですが、SNSでは「風向きによっては何を言ってるかわからない」「音が割れてしまって聞きづらい」という声がいくつも見受けられました。
また、市外にお勤めの方でまだ市内へ戻ってきていなかった方もいたと思います。「大事なことなのだから、同じ内容でもいいので、(方言丸出しでもいいので)もっと繰り返し放送すべきだった」という声も見られました。

聴覚障がいのある方への配慮
当たり前ですが、聴覚障がいのある方は防災無線が聞こえません。地震の場合は、何かが起こりそう、と感づくことができますが、今回のような場合は防災無線のように「音」のツールでは届きません。聴覚障がいのある方にも、耳の聞こえる人と同じか、せめて近いタイミングで周知する代替の手段が必要です。(もともと聴覚障がいのある方は、防災メールを登録などで自衛しているかもしれませんし、民生委員さんとかが戸別訪問しておられたのかもしれませんが…)

日本語がわからない方への配慮
第一報は上記のように「登録者にメール」または「防災無線」が日本語で行われたものと推測されます。日本語がわからない方には、日本語告知と同時には周知徹底できなかったのでは…と考えられます。
どの地域に、どの言語を使う人が何人いるか、はどの課が把握しているのでしょうか。また、緊急時の翻訳体制も整える必要があるかもしれません。(今回の場合は、10月4日の昼過ぎに「国際交流課」が英語で第一報を発信していました。)

一日目③SNSでの第一報

20時すぎには対策本部の第1回会議を開催したそう(地域メディアより)ですが、テレビやラジオを使っていない市民には、市が検討を始めている、という動きはわからなかったと思います。

そして市役所のTwitterでの断水の第一報(と防災無線2回目)は10月3日21時。
場所によってはすでに断水が始まっている人もいたため、告知が遅いとお怒りの方もいました。

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「**水管橋の破損により、**川北部地域が断水となります。
ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願いします。」

続いて、21時10分に水道を管轄している市の企業局からは下記のような発信がありました。

画像2

10/3(日)午後**川にかかる**水管橋の一部が崩落したことにより**以北で今後断水する可能性があります。**川以南地域への影響はありません。詳細は現在調査中のため分かり次第HP等でお知らせします。市民の皆様には大変ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。ダイヤルイン****-**-****

お問い合わせはこちら、と電話番号を告知しておられて、私は「おぉ…いきなり電話で受けるんや…問い合わせ窓口の人、大変そう…」と驚いておりました。市のサイトがしばらくして軽量モードに切り替わっていたので、きっとアクセスが集中し、接続しづらくなり、電話番号を告知するしかなかったのかもしれません。
行政のサイトを置くサーバーは、緊急時の急激なアクセス増でも落ちたり遅くなったりしないように、橋や水道管だけでなくデジタルインフラの点検も必要そうです。

そしてやっぱり電話が殺到していたのでしょう、SNSでは、

・電話を何度かけても繋がらない
・10回以上かけてようやく繋がった

という声もありました。電話窓口に何度電話しても繋がらないと、市民の不信感やストレスが増大していきます。

(個人的感想:ネットが使える人には、まずネットでの情報提供をできないのか)
電話が殺到しないように、素人考えで恐縮ですがこんなのは駄目でしょうか。

FAQへの誘導を基本にする
ネットを使えない人もたくさんいるので、ネットしか用意しない、という話ではありません。
せめてSNS上ではいきなり電話番号を告知せず、まずは行政のサイトのFAQページに飛ばして、よく寄せられる質問とその回答を掲載。そのうえで上記のFAQに該当するものがない場合は、下記にお問い合わせください・・といって、そこで初めて電話・メール・FAXを記載するのでは、ダメなのかな?と感じました。(教えてください、詳しい人…)

お問い合わせする市民の時間も大切にしてほしいYO!
調査中だったり、方針が未定であったとしても、電話がかかってきたらどちらにせよ「未定です、決まり次第お知らせします」と回答するしかありません。ならば双方の手間を省く意味で、電話番号を告知するのではなく、FAQのページに誘導し「未定につき決まり次第Webサイト+防災無線+SNS(LINE?)で告知します」とFAQに記載すれば、少なくともウェブサイトを閲覧できる層からの問い合わせはある程度は減らせるのではないでしょうか。
たくさんの市民が、繋がらない電話に何度も掛けなおした結果、回答は「未定です」…、というこの双方の時間のロスにドキドキしていました。

回答は刻々と変わる、最新の回答」の一元管理が必要
サイトに載ってることと、お問い合わせ窓口、給水所にいた職員で言ってることが違う!という声も見られました。
お問い合わせ窓口や、現場に配置された職員さん、誘導係さんとかもスマホやiPadで)も最新のFAQ原稿を参照するようにする、とかは難しいのでしょうか。(教えて、詳しい人!)

「断水2日目」に続く・・・

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