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非常時…行政の広報に、Twitterではどんな反応があったのか/大規模断水2日目

1カ月前、ある地方で大規模断水が起こりました。そのとき行政はインターネット広報でどんな発信をし、それにTwitterなどではどんな反応があったのか…をまとめてみます。行政の危機管理室の担当者さんなどの目に留まると嬉しいです。
この記事の意図と断水1日目のレポートはこちらをご確認ください。)

断水2日目①応急給水所第一弾が開設される

断水翌日の朝4時に、市の企業局から「準備しています」の発信。
本当に大変な様子が伝わってきます…。

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【令和3年10月3日(日)午後に発生した**水管橋破損について】現在、他都市への応援要請を行い、鋭意給水の準備に努めています。応急給水については現在調整中のため、決まり次第お知らせします。市民の皆様には大変ご不便をおかけしますが、ご理解ご協力をお願いいたします。

応急給水所が開設されようとしている、それを夜を徹して準備されているーとわかる情報を未明に出したことで「いいね」がわりとついていました。まだ断水したばかりということもあるかもしれませんが、具体的な情報がなくても、知らせようという姿勢が好意的に受け止められている印象です。

続いて4日5時半に、市役所より応急給水所が22か所(小学校)であることが発信されました。

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この時点では、市役所のサイトには「小学校名」のみ列挙され、住所がありませんでした。
1~2日してからサイトに住所などの追加されましたが、最初から以下の情報が必要だったと思います。
特に駐車場は、車で乗り入れできるかどうかがわからず、現場はかなり混乱した現場もあったのではないかと想像します。

・住所
・給水所がプロットされた地図(または各拠点の緯度経度をピンポイントで示したGoogleMapへのリンク。住所でGoogle検索すると、住所の検索結果と実際の場所とがずれる場合があるためです)
・駐車場の有無と、給水タンクまでの距離
・グラウンドに車が乗り入れできるか

これらは平時にあらかじめ収集して準備しておける情報ですので、役所の危機管理関連の皆様、万が一ご準備がまだでしたら、どうかご用意をお願いします…。

(個人的感想:住所だけでは、どこだかわからない…)
移住者である私はこれを見て、「移住者だったら、学校名だけを言われてもどこのことかわからない!住んでる町になかったら、住所があってもどこが最寄りかわからない!」と強烈に感じました。
(これが、今回水の支援マップを作ろうと思ったきっかけです)

断水2日目②:ポリタンクなどの給水容器・飲料水ペットボトルが店頭からなくなる

また、上記の発信では「ペットボトルなどの容器をお持ちください」との発信があったのですが、運の悪いことに市のペットボトル収集日が、普段はA/B地区で分かれて第2・4水曜と第1・3水曜なのですが、第5週だけはA/B地区で一斉収集だったらしく、全市から断水直前の水曜日にペットボトル回収だったようです。そのため「ペットボトル、こないだ捨てたばっかりや!(涙)」みたいな声も見受けられました。これはただただ、不運でした…。

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Ⓒ市のごみ情報サイト

そして、ポリタンクをゲットしようとスーパーやホームセンターを皆さんが駆けずり回り、今回の断水のあった市内だけでなく近隣の市のポリタンク、バケツ、漬物樽など水をためられるものすべてが一斉に店頭から消えてしまうことになったようです。

(個人的感想:容器とセットで給水支援を)
応急給水車を用意いただくのはとてもとてもありがたいと思うのですが、水を運ぶには容器も必要です。

ポリタンクだとかさばるので保管に困りますが、「非常用飲料水袋」などであれば、自治会ごととか、公民館ごとくらいで常備しておいたりとかできないのかしらん…。(教えて、詳しい人!)

行政での手配が難しいならば、台湾のマスクマップじゃないですが、市内および近隣市・隣接県のポリタンクや飲料水袋、および飲料水(箱)の取り扱い店舗と、在庫数、次回入荷予定時間がわかるマップみたいなものも行政発信があればみんな助かったかもしれないなーと思います。これは民間連携が必要なのでとっても難易度高そうですが…。

大地震で家が倒壊したり道路封鎖とかになってしまうこともあるので、応急給水車に来ていただくだけでは足りません。備えて、といっても備えられない一定数の人たちのために、容器の問題は各地域の人たちみんなで考えなきゃいけないのかなーと思いました。

断水2日目③応急給水から水を運ぶ方法がRTされる


ポリタンクがないという人々の混乱を察知したのか、断水2日目の07時47分に、NHKの公式Twitterアカウントがポリタンクがなくても楽に水を運ぶ方法についてTweetされていました。(やさしい)

ただ、それをNHK公式が言ってくれたからいいようなものの、できたら応急給水所の発表と同時に、市からこういった容器や運び方についての発信ができてたら“先手感”があり、「大変な事態にはなっちゃったけど、市はできる限り市民のこと考えてくれてるんやなあ」と感じられるんじゃないかなあと感じました。

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妊婦や乳児連れ、障がいのある人や高齢者のために、ボランティアを

「水を運ぶくふう」は市のアカウントからRTで紹介されましたが、そもそも妊婦さんや乳児連れ、障がいのある人や高齢者は、水の運搬ができない・厳しいです。

この時点で、自力で運べない人の対応は案内されていません。また、市からボランティア募集やニーズ調査についての発信もありません。

そのため、2日目早朝時点ではすでに「ボランティアしたい」という声がSNSに見受けられたのですが、どうやって支援の必要な人とつながればいいかわからない様子でした。

ボランティアを事前に広く募っておくこと、当日でも受け入れられる体制作りも宿題です。
「応急給水車を他地域に要請するなら、容器と水の運搬ボランティアも手配して案内してほしいのではないかしらん」と感じました。

断水2日目④断水地域への宅配注文が殺到


必要物資が店頭から消えたと分かると、次に考えることはみんな同じで、ポリタンクや水、紙容器や割りばし、非常用トイレ袋などのネット通販の注文が激増したようです。
また、該当地域に住んでいるわけではないけれど、該当エリアに大切な人がいる人も、水や物資が届くように厚意で注文する様子も見受けられました。

そのため、ヤマト・佐川・日本郵便の集積所や宅配がパンク状態に。

・「お届け予定日」を越えても届かない
・問い合わせをしても電話がつながらない
・集配所に取りに行っても荷物が見つからない
・いつ届くかわからないから、しょうがないから外出したら「不在票」が入っていて、宅配業者の荷物が減らない…。

という状態がしばらく多発したようです。断水が終っても、断水2日めに注文した商品がまだ届いていない、という声もいくつか見受けられました。

ポリタンクや飲料水、紙容器や割りばし、非常用トイレ袋などは水道が止まるような災害では必ず必要になるセットです。だけどそれぞれの家庭が別々のネット通販会社に発注しないといけない=配送物が増える、ということで、和歌山市から何十キロも離れているうちの近所の担当宅配業者さんも、応援に駆り出されて「見たことないくらい荷物がヤバかった…」「渋滞がひどかった」とおっしゃっていました。

(個人的感想:水道停止に備える物資をセットしておけないものか?)
ネット通販に「水道停止の備え3日分セット」「水道停止の備え1週間分セット」みたいなのがあれば荷物がひとまとめになって物流が少し楽になるんでしょうか。それとも道路インフラが壊滅しちゃうこともあるから、それらの備えを自治会レベルでやればいいのかな…。(教えて、防災に詳しい人!)

ポリ容器を無料で配ってくれた、民間企業の素早いフォロー!愛!

応急給水はあれども、容器が足りない…その様子を見て、4日の夕方には、断水エリアに隣接した市の酒造などからの「ペットボトル進呈します」といった厚意の投稿がいくつか見受けられました。

(個人的感想:インフラ停止に備えた物資などの提供について、民間企業とあらかじめ協定を結んでおけないか?)
酒造がたくさんあるエリア、飲料水の工場などがあるエリアなど、平時から何かあったら物資を提供してほしいと緊急時協力の打診をしておくことなら可能なのではーと思いました。難しいんですかね?(教えて、詳しい人!)

断水2日目⑤火の用心、と“消防局”からの発信

断水2日目の13:40、消防局アカウントから火の用心についての発信がありましたが、このTweetを市役所はリツイートしていませんでした。
担当部署からそれぞれの業務範囲に関する発信をするのはわかりますが、住民が市で管理するアカウントをすべてフォローしてるわけではないので、市として代表アカウントが周知徹底したいことをリツイートする必要があると感じます。

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断水2日目⑥外国語での発信

断水2日目の13時過ぎ、国際交流課から断水にまつわる休校のお知らせなどが入ります。

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また、このTweetも市役所は翌日午後までリツイートしていませんでした。
混乱のさなかではありますが、情報発信は一本化するか、RTの徹底をするほうがよさそうです。

断水2日目⑦トイレについての発信

断水しますの案内が断水当日の19時過ぎにありましたが、断水翌日の14時前になってトイレ情報第一弾、「マンホールトイレ」の発信がありました。
まじめに連絡を待っていたら膀胱炎になってしまいそうです。

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【マンホールトイレを設置しています】
**川北岸の下記7か所に、マンホールトイレを設置しています。
〈利用可能時間〉
午前7時~午後8時
〈設置箇所〉
・**小学校
・**公園
・**小学校
・**中学校
・**中学校
・**小学校
・市民体育館

ちなみにマンホールトイレとは、災害時などに水道なしで直接下水に「ぽとん」とできる優れものです。

マンホールの上に便器が置いてあって、周りからは見えちゃうのかな?と心配したですが、こんな感じのものだそうです。

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※上記は市のサイトのマンホールトイレの解説より

そして、この時点でも確かサイトには住所等がなかったように記憶しています(記憶違いでしたら申し訳ありません)

「役所だって不測の事態の中、急いでくれてるんだから、施設名がわかるなら住所くらいググれカス」と思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、

・Googleマップに載ってない場所のこともある
・Googleマップで住所検索したらめっちゃずれてることもある
・最寄りのトイレがどこなのか住所でぱっとわからなければ、土地勘のない住所について全部調べるのに時間がかかる
・もし混んでいたら次に近いトイレは…と検索してるうちに、もうそこで出ちゃうかもしれません。…断水してるのに!!(ギャー)

という状況なんです。

断水を伴う災害時に、どこにトイレを設置するかは事前に想定できますし、下記の情報がセットだったら、お問い合わせや苦情を少しは減らせると思います。

・住所
・トイレの場所がプロットされた地図
(または各拠点のGoogleMapへのリンク)
・駐車場の有無
・バリアフリー対応なのか否か
・子ども用便座の有無

また、トイレの利用時間が午前7時~午後8時とされたことを受け「市役所は午後8時から朝7時まではウンコが出ないと思ってるのか!」という声もいくつか見受けられました。

個人的感想:提供時間のジレンマ
応急給水所には、水道関連ではない市役所職員もたくさん誘導に駆け付けているようでした。「市役所職員やねんから当たり前やろ!」という声もあるかもしれないのですが、普段全然違う部署の職員の人も、ある日突然自分自身も断水に遭いながら、妻が出産したばかりなのに妻を置いて、通常業務もこなしたうえで応援に来ている、みたいなこともあったでしょう…。(おつかれさまでした)

だから学校を夜間も開放するのはいろんな事情で難しいのかもしれませんが、非常時ですし、お腹が緩い人もいます。なので、職員さんに負担をかけず、でも利用時間はもう少し融通が利く形が取れないのかなあと思いました。防犯の観点からするとやっぱり難しいのでしょうか…。防犯カメラとかあるといいんですかね。(教えて、詳しい人!)

断水2日目⑧断水地域外の給水所が案内される

断水2日目17時過ぎ、断水エリア外の、川より南の公共施設で給水できる案内が来ます。

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なにせ、13万人8000人分の水です。断水エリア内の22か所の給水所だけではめちゃくちゃ混んでいて、数時間待ちのところもあり、断水地域外の施設も必要だったのでしょう。
「※今後も増設予定」と一言あるのはうれしいですね。
でもサイトを見ても、このときも地図はありませんでした。

(ちなみに、断水エリア外で、民間で一番先に水道開放します、と宣言したと思われるTweetは、断水発表から6時間後くらいの深夜1時15分でした。1000回以上RTされていたことから、ものすごいニーズと感謝、尊敬の表れだったんだと思います。外食するならこういうところを選びたい!)

断水2日目⑨災害時協力井戸が案内される

水は、飲料水だけでなく、トイレを流したりするのにも必要です。
小学校での応急給水車と公共施設4つでは足りなかったようで、4日の17時13分に「災害時協力井戸」について発信がありました。

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【断水時に利用できる災害時協力井戸一覧】
断水を受けて、利用できる災害時協力井戸の一覧をHPに掲載しています。
断水エリアに該当する地区で利用できる協力井戸は23基あります。
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◎災害時協力井戸とは、本来、大地震等の災害時に水道が機能しなくなった場合に備え、生活用水(飲用を除く)を確保するために井戸所有者の協力を得て無償提供していただく井戸です。
※なお、飲用として使用することを保障するものではありません。

この災害時協力井戸の対策をしようと決めた当時の関係者グッジョブ!と思ったのですが、よくよく調べてみると災害時協力井戸の募集開始は平成29年6月。令和3年10月1日時点で市全域で「61基」とサイト(ページ番号1036584)にあるので、断水2日前にはすでに把握していた割には案内までに少し時間がかかっていると感じました。実際に使えるかどうか、水質検査とか実地調査が入ったんでしょうか?

なお災害時協力井戸の一部にはお寺もあったようですが、ほとんどは個人宅なので、施設名はなく「住所」で示されました。しかしその住所をGoogleマップで検索すると、全然違う場所を示されることもあったのです。繰り返しになりますが、特に施設名がない場所を案内する際は、緯度経度情報か、Googleマップへのリンクが必須です。

・・・そして災害時協力井戸の案内があってもなお、それでもまだ水は足りなかったようです。

給水所に人があふれ、応急給水車の水がなくなると、次に給水車が来るのを待つか、別の給水所を探すことになります。
「次に近い給水所はどこだ!」とみんな探したようですが、最寄りの学校でないと、施設名や住所だけではピンと来ない人もいたようで「一覧の地図にしてくれよ…!」というニーズは強くあったようです。

断水2日目⑩断水エリア外で濁り水が発生の連絡

断水2日目の18:43、市の企業局より「断水エリア外で濁り水が発生」とTweetがあり、断水エリア外の人にも少し緊張が走ります。

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調査中、とありますが、その後このTweetに調査結果は1カ月経ってもぶら下がっておりません。調査中、と発信する場合には、もとのTweetにレスの形でぶら下げるとよさそうです。

また、このTweetも市役所は翌日午後までリツイートしていませんでした。

断水2日目⑪仮設工事の目処が発表される

市は県とも協力のうえ、全力で復旧の方法を探っていたようで、4日の20時52分に「工事の開始の見通し」が発表されます。
断水翌日に、資材が手配できる見込みがたてられることにビックリです。
(このへんの背景は、後日発表された県知事メッセージに詳しいです。国土交通省からの出向職員の助言と、県知事の判断・行動が効いたように見受けられました)

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【**水管橋の仮設配管工事の目途について】
**水管橋の仮設バイパス管による応急復旧作業を10月6日(水)より開始する見通しが立ちましたのでご報告致します。
10月6日(水)より材料の搬入と共に着工し、10月8日(金)中の送水開始を目指します。
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その後、配水池へ貯水を開始いたしますが、濁り水が発生するおそれがあることから配管内洗浄作業を行いますので、ご理解ご協力よろしくお願いします。

そして、工事開始の見通しが6日開始、と発信するのはよいとして、「8日中に送水開始」と発信していることに、わたしはとってもドキドキしました。
スケジュールはもうすこし、バッファを持たせた「10月10日中の送水開始を目指した工事の想定です。未曽有の突貫工事のため、変更の可能性もあります」くらいにしておかなくてええのか、ええのか、ええのんか~!と、遠く離れた市から断水エリアの市役所に向けて叫んでいました。

そして、「送水可能になった後も、全地域に水が行き渡るのに時間がかかります。また、濁り水が出る可能性があります。配管内洗浄作業を順次いたします。ご心配とご面倒をおかけして大変申し訳ありません。」みたいな表現にしなくていいんか、いいんか、いいのんか~とハラハラドキドキ。予定より早くなって怒る人より、予定より遅くなって怒る人がいるのは目に見えております…。

断水2日目 おまけ:幻の応急給水所が発表される

10月4日のいつ時点かは不明ですが、市役所の案内にて応急給水所が追加されます。

このとき追加された拠点は、「知る人ぞ知る」場所でした。
「●●**支店跡」という、「今はない場所」で、かつ住所情報もありません。
ネットで「●●」のサイトを調べても、閉鎖された支店についてはページがなくなっており、調べようにも手掛かりがありません。
同時期に、筆者と同じような支援マップを作っていた大学生?も、「わからなかった」とつぶやいていました。

この市民カルトクイズは生まれも育ちもその場所という土地勘のかなりある人が「ここかな…?」と教えてくれてマッピングしましたが、結局この時追加になった拠点のTweetは、のちに市役所が「削除」していました。
間違いや変更があった際、「削除」は混乱を招きます。元のTweetにぶら下げて訂正がセオリーです。

*でもたしかに市がこの情報を出していたことは、わたしの勘違いや妄想ではなく、市の企業局のTweetには「変更情報」として残っています。

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断水3日目に続く

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