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ブエノスアイレスのCMモデル事情

日本のその業界のことは知らないが、ブエノスアイレスのモデル業の敷居はとても低い。副業でモデルをやる人たちが、複数の紹介業者に登録している。わたしのnovioもそんなひとりだ。

街を歩けば絵になる男女が沢山いるからねぇと思うのは日本人感覚で、必ずしも美的価値だけではなく、様々な人種、様々な容姿というのが多民族国家では大事みたい。コマーシャルを見ていると、どうしてこの人なのかなぁと不思議な配役も多い。ヒゲの男性と、タトゥ入りの肌、脇毛の女性などというのは、日本じゃ多分CMにはならないのではないかな?
わたしは髭無しの方が好きなのだけど、novioはCMのオーディションがいつあるか分からないから、という理由で髭を常に伸ばしている。髭ありの方が採用率は高いのだ。ならばしょうがない。

そのCMオーディションはかなり頻繁にある。一般的には紹介業者が一斉に流すインフォメーションをモデル側がキャッチして、指定された場所、時間に直接行ってオーデションを受ける。時間範囲内ならばお好きな時間にどうぞ形式なので、そこに何人来るかはわからず、しかもアルゼンチンあるあるで、主催側の要領は悪いので、待ち時間が果てしなく長い。
Novioはこれにいつもイライラして、オーディションから戻るたびに「もう行かない」というのだけど、しかし採用されると報酬は良いので、それにつられて募集があるとやはり淡い期待を持って出かけて行く。そんな繰り返しで、昨年はそれでも3本か4本のCM撮影があった。

撮影は結構行ったのに、テレビで放映になったのは一本だけだった。メーカーの意向や、編集の都合でボツになったらしい。素人には分からないものだが、これがまた役者的にはオイシイらしい。特定のメーカーのイメージが強烈についているモデルはそれ以降他のCMには使って貰えないので、撮影して報酬をもらいつつ露出しないのは最高なのだとか。

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さて、このオーデション事情、今年は隔離政策のおかげで、自宅での自撮りの動画提出に変わった。これ、超快適。出かける必要なく、待ち時間もなく、ビデオは納得がいくまで自ら取り直しが出来る。
彼のビデオを撮るのはもちろんわたし。炭酸飲料をぐびぐびっと飲んではーっ美味い!という顔とか、風呂掃除は腰が辛いよねぇ〜という表情の撮り直しを何回もやらせるカメラマン役は、結構面白い。

だが、こちらが面白がっているのとは裏腹に、不採用は彼にとっては挫折の連続。数えてみたら、この8ヶ月で30本以上も応募したらしい。恐らく世の中のみんなが自宅で時間を持て余し、応募の気軽さもあって今年のCM一本あたりの競争率は非常に高かったのではないだろうか?二次オーディションにいくつか進んだものの、結局これまでに採用になったものはなく、「来年はもう絶対にもうやらない」と腐っていた。
応募したCMがオンエアになるたび不機嫌になる彼に、「見てよ、あの風呂掃除のおじさんはお腹が出た醜い中年じゃなきゃダメだったんだよ〜。あなたには似合わないもん。選ばれないのは仕方がない。」とかなんとか言う私も、だんだんネタが尽きてきた。
そんな矢先、一本の採用の通知がきた〜!!年末年始の乾杯シーンをやるらしい。楽しみ!!

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