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海外と日本のwebデザインは何が違うのか?

海外に向けたウェブサイト制作について携わる機会があり、海外と日本のウェブデザインの違いについて調べてみたのですが、中々情報がないように感じたので、調べて知ったことや考えたことをシェアします。

※この記事の海外は欧米と設定しています。
※英語の媒体向けにも記事を書いているので、挿入されている画像は英語で作成しています。


海外と日本は情報量が違う

欧米と日本のwebサイトを比較すると、欧米はイメージを重視して画像を多く、大きく使用しており、よりコンテンツの雰囲気が伝わるようなデザインの傾向にあります。
一方で、日本はテキストを多く使用しており、海外と比べて情報量が多い傾向にあります。
yahooのファーストビューを例にして見てみると、英語では7記事が表示されているのに対して、日本語は13記事も表示されており、ユーザーがクリックできるサブメニューの数も日本の方がかなり情報量が多くなっていることが分かります。

なぜ日本は情報量が多いのか

デザインにおける視点

小売業で有名なドン・キホーテやビレッジバンガードは、わざと煩雑な印象を受ける店内ディスプレイを演出しています。ウェブデザインにおいても、海外と比べると賑やかな印象を受け、「シンプルですっきりのイメージ先行」というよりも「にぎやかな印象で情報が多い」というデザインの方が日本では人気の傾向にあるようです。
これには歴史・文化的側面など、調べ始めるとすごい量になりそうな様々な要因が存在していると思うので割愛しますが、現在の日本人はシンプルなデザインは高級だというイメージを共通して持っており、小売業では顧客に「自分とは合わない」と感じられてしまうのではないかと考えています。


また、ごちゃごちゃしたデザインだったとしても、そもそも街並みが海外と比べて整っていない日本人にとっては見慣れている光景なので、「選択肢の多さに迷わない」や「親しみやすく値段も手ごろそうに見える」といった効果が働いていそうです。

ユーザー特性における視点

アメリカでも展開しているmercariのサービスサイトで比較してみると、日本はおすすめされる商品が表示される設計に対して、アメリカは検索が素早くできるようになっていることが分かります。これは欧米の人々が主体的にサービスを利用しようとする態度に対して日本人は表示された商品を取りあえず見るといった受動的な態度でサービス受けようとしている傾向があるように考えられます。
つまり、欧米ではシンプルなデザインでイメージの醸成を優先させているので、情報量は日本に比べて少なく感じてしまうが、ユーザーが主体的に情報取得に向けて行動することを前提に設計されているので、現在のデザインがスタンダードになっているということです。
反対に、日本では情報をより多く伝えなければ受動的なユーザーは、充実したサービスではなく、物足りないといった感情を抱き、離脱してしまうということです。

日本と欧米の違いのまとめ

ここまで、日本と欧米の違いを見てきましたが、どちらが優れているということはなく、想定されるユーザーによって差が出ているということでしかないように思います。
大切なことはユーザーを理解して、使いやすい設計でローカライズすることでしょう。

日本
情報が多くにぎやかなデザインが購買に繋がる
情報が多いと充実している印象を与え、良心的なイメージを感じる
欧米
情報が多いと洗練されていないというマイナスイメージになる
情報が少なくても自分から情報取得をする主体性がある

B2Bではどうか

ここまでB2Cにおける実例を見てきましたが、海外でのB2Bのウェブサイト制作がきっかけでこの考察を始めたので、ここからはB2Bのウェブデザインについて考えてみます。
B2Cビジネスにおいては、顧客が購買にいたるまでの判断は情緒的な意思決定によって行われることが多いです。例えば、うまい棒を買うのに、他社のスナック菓子とスペックを比較してから購入を検討する・・というのは想定し難いので、イメージを醸成させて購入に繋げるというのは理解できる戦略です。
反対にB2Bにおける購買活動は、「この商品・サービスを使うことで自社にメリットがあるのか?」といった合理的な意思決定を求められるため、イメージの醸成を促すといった戦略は効果的に機能せず、ユーザーが求めている情報を提供することが最も重要になってくるでしょう。
B2Cでは、デザインの中に情報量を詰め込むということが、ある意味でイメージ醸成の役割を果たしていましたが、B2Bで同じように情報を詰め込むようにしてしまうと、ほしい情報になかなか辿り付けず、時間に追われているビジネスマンにとっては離脱の原因となってしまうので、見やすいということを意識してデザインすることが必要です。
このようなことから、B2Bにおいては日本と同じ考え方でデザインをしても効果に差がでないのではないかと考えています。

顧客の判断の基準を見極める

B2Bのデザインにおいて、顧客は合理的な判断ができるよう意識している可能性が高いため、見やすいデザインで最短で必要な情報にたどり着きやすいようにする必要があると考えました。
では、B2Cにおいても顧客が合理的な判断が必要だと感じていると想像できる、高額な商品ではどうでしょうか?
車の購入がB2Cの中でも単価が高いと想定して例を見ていきます。
合理的な判断が必要な例をトヨタのファミリーカー(家族への安全性などを加味して選ぶことが必要だと予想できるため)
イメージ醸成をメインとした例をランボルギーニ(さらに高額になりますが、高額であること自体が一種のブランドとしてイメージ醸成になっており、対象顧客は機能や安全性などの合理性よりもイメージを重視して購買判断をしていると予想できるため)
トヨタはまずページ上部で顧客が知りたいであろう情報に飛べるようメニューを表示し、ページ内はブロックごとに見やすいデザインにしていることが分かります。
一方のランボルギーニは斜めにクロップした写真を大きく使うことでスタイリッシュな雰囲気を演出し、多用していることが分かります。
この例からわかるように、B2C、B2Bに限らず、合理的な機能を訴求するのか、イメージ醸成をさせるのかといった戦略によって、顧客が購買の意思決定に繋げやすいデザインを意識していく必要があるといえるでしょう。

まとめ

顧客の判断基準を見極めてデザインを設計することが重要であるというのが今回のまとめ。
合理的な判断が大きい場合は、B2CやB2Bに関わらず、顧客が求める情報にたどり着きやすいデザインにする
情緒的な判断が大きい場合は、それぞれの文化にあったイメージ醸成を意識してデザインする

※この記事内の仮説を裏付ける、または反証となるデータなどがあれば是非シェアいただければ幸いです。
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@SuminariYuuka

●参考にさせていただいたサイト
https://sabrinas.space/
https://blog.btrax.com/jp/culture-design/
https://yofu.hatenablog.com/entry/2020/10/10/143149
https://note.com/55kong/n/n22cabdaef07c
https://uxmilk.jp/84774
●サンプルに使用させていただいたサイト、企業さま
https://www.yahoo.co.jp/
https://www.yahoo.com/
https://www.donki.com/
https://www.rakuten.co.jp/
https://jp.mercari.com/
https://www.mercari.com/
https://jp.creativesurvey.com/
https://seiyaku-sales.jp/
https://www.hubspot.com/
https://belkins.io/
https://www.toyota.com/highlander/highlander-features/performance/
https://www.lamborghini.com/en-en/models/concept/terzo-millennio


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