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自閉症を隠して普通にふるまう「社会的カモフラージュ」について日本での最新研究

自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人々が日常生活で直面する課題の一つに、「社会的カモフラージュ」があります。
これは、自分の自閉症の特性を隠し自閉症でないように振る舞うことを指します。
今月(2024年4月)発表された研究では、日本版自閉症特性カモフラージュ尺度(この訳はブログ筆者による)(Camouflaging Autistic Traits Questionnaire:CAT-Q-J)を用いて、この行動がどのように自閉症の人々に影響を与えるかが調査されました。


この研究には、自閉症の成人204名と非自閉症の成人410名が参加し、自閉症の特性、社会不安、うつ病などとの関連が分析されました。その結果、社会的カモフラージュは多くの自閉症の人々にとって重大なストレス源であり、メンタルヘルスへの影響も大きいことが明らかになりました。
特に、社会的カモフラージュ行動が社会不安、一般的な不安うつ病と正の相関が見られました。
これは、自分の本当の自己を隠し他人に合わせることで精神的な疲労やストレスが増大するためです。
特に、自閉症の人々が「普通であるふり」をすることで、自己同一性の問題や心理的な不調和を感じることがあります。このような状況は、長期にわたるメンタルヘルスへの問題につながることがあります。

この研究では、CAT-Q-Jの妥当性と信頼性を検討しており、一部のサブスケールを除き信頼性と妥当性が確認されたようです。
無意識で社会的カモフラージュをしている場合、このツールを利用してそれに気づける事で幸福度の向上につながる研究と考えられます。

不登校と社会的カモフラージュ

社会的カモフラージュは不登校でよく言われる「過剰適応」のことと考えて差し支えないでしょう。
発達特性(診断がなかったり診断閾値下であっても特性はある)を持つ子どもは意識的にか無意識的にか、自分の特性を抑え、周りに合わせ続けた結果それが不登校につながっているとも考えられます。

自分らしく生きる。

とある国際会議でVtuberアプリ会社の方が「なりたい自分で生きていく」「自分らしく生きる!」(すみません間違ってました)と言ってVで女装を(女装という書き方は正しくないかもしれませんが)して出てきた時、(なるほど、自分らしく生きられる世界はもうバーチャルワールドにしか残っていないのか、、)と納得をしてしまいました。
と同時に、自分を解放できていることをとてもうらやましく思いました。


小学生はなぜYouTuberを目指す

小学生はなぜYouTuberを目指すのでしょう。
YouTuberらの自分らしく生きて(少なくともそう見える)それで周りから賞賛されるという姿は、今の学校では自分らしく生きていけない裏返しなのかもしれません。

(※承認欲求の話題になりそうでしたが、マズローは様々な意見があるので取り上げません)

<出典>

Reliability and validity of the Japanese version of the camouflaging autistic traits questionnaire

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/aur.3137

<画像について>
プロンプトは「このブログの内容を紹介する画像を、日本の漫画タッチで横16縦9の比率で作成してください」(原文ママ)です。

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