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捨てるのか、活かすのか【桜の枝編】〜北鎌倉空き家再生プロジェクトno.6〜

大木の剪定と処分


普通なら捨ててしまうものも、使えるのなら活かしたい。今回は剪定した木の枝です。

空き家にはソメイヨシノの大木がありました。
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」というのは鎌倉に移住し、梅もぎを近所のおじいちゃんのうちでさせてもらった時に初めて聞いた言葉です。梅の枝はどんどん切った方がいいが、桜は切ったところから腐ったりしやすく木全体が傷んでしまうとのこと。

ところが、空き家にあったソメイヨシノは何年も放置された結果、太い幹の一本が家の屋根にのしかかり雨樋を曲げていました。このままおいてはおけません。

造園家古賀さんと屋根にのしかかる桜

素人では切れない大木の剪定をお願いした造園家の古賀さんが、
「水が溜まらないように切って、虫が寄ってこないような処理をするから大丈夫ですよ。せっかくの見事なソメイヨシノだから残した方がいいです。」と頼もしく言ってくれました。

大木を何本も切ると大変なのが剪定した木の処分です。プロの人工代(にんくだい)でお願いするとかなりの金額になります。

太い幹は古賀さんのお知り合いの薪ストーブ屋さんに薪として引き取っていただき、残りの素人でも持ち上げられる枝は自分達で切って仕分け、トラックを借りて、植木剪定材受入事業場に持ち込みました。手間と時間はかかるけれど個人なら100kgまで100円で引き取ってもらえます。

鎌倉市では燃やさず丸太などはガーデニング用として無料で配っていて、他の植木剪定材は粉砕し資源化、一部は堆肥にして市民に配布しています。

桜の枝は利用できる?


桜の枝といえば、染め物やスモークに使うイメージがあったので、ご近所さん達に使いませんか?と投げかけてみました。すると、直接の友人だけでなくご近所さん達が更に草木染めをする人を何人かに繋いでくれて、4人の方が取りに来ました。

染めをするお二人と近所のヤギ

剪定した時期も染めに使うには丁度良かったみたいで、桜の蕾がふっくらとしてきたタイミングでした。

後日桜の枝を持って行った方達から、嬉しい報告や、染めた物でのお返しがありました。

左二つが桜の枝で染められたエコバッグ
コロナ禍が始まった頃、気持ちの良い綿や麻の素材に桜の枝で染色したマスク。染める布の素材により色が変わるのが面白い。

桜の枝をお分けしただけで、創作する方達とのご縁と、自分では作り出せない素敵な物が返ってきた、という喜び。

自分でも染めてみたい

その頃親子で外で遊ぶ青空自主保育をやっていて、みんなで手仕事をするのが楽しい活動の1つでした。草木染めをやっている卒業メンバーに講師をお願いして、剪定した桜の枝も使っての手ぬぐいの草木染めを企画しました。

数日かけて桜の枝を煮出して染め液を準備。
木の板と手ぬぐいの折り方により、染める所、染めない所で模様ができる。

これが講師をしてくれた仲間のセンスと研究成果により、色、模様ともそれぞれ素敵な手ぬぐいに仕上がりました。

普通なら捨てるものが、こんなにも素敵な体験と物に仕上がるなんて!!

要らないモノは捨てる、だけだと片付けもただの面倒で大変な作業になってしまいます。
それを、自分の知識や経験や人脈から、これはこういう風に使えないかな?あの人ならどうにかしてくれるかな?と、あれこれ思いを巡らせ、実際に繋いだり自分が使ってみるのも楽しい時間です。

そういう気持ちがあるからこそ、物が大量に残っていた空き家をどうにかしよう、と思えたのだと思います。

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