鷲見栄児

鷲見栄児

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昔のブログを読み直す

娘と話していて、昔こんなことがあったんだよと思い出話。 大学の生徒たちと話していて、それ僕もおんなじこと感じたことがあったんだよと思い出話。 最近そんなことが立て続けに起こったので、あの頃僕は何を考えていたんだろうと、以前書き綴っていたブログを検索してみた。見つけたブログのタイトルは「寝耳にうぉーたー」実に頭が悪い。 そこには一昔前(十年以上前だ)の僕がいた。 ほとんどがどうでもいいような話で、妄想であったりぼやきであったりちょっとは思想であったりするのだが、そんな毒にも薬

    • はじまりの日

      ある午後の日、僕は友人の車に乗っていた。いや、引っかかっていたという表現が適当かもしれない。道を歩いているところ声をかけられ、おうひさしぶりと後部座席の開いた窓から話していたら、車内に顔を突っ込みすぎたのを面白がって車を発進させやがったのだ。仕方なく車にしがみつきながら彼のおふざけに付き合っている。所詮田舎の一本道だし落ちてもケガもしないような徐行運転、彼は決してイカれた奴じゃなく、なんだかんだ常識人であることを僕はよく知っている。彼は裕福な家に生まれたせいで、自分の努力が本

      • 完結・自分の名字のついた祭りに行った話

        いよいよ祭りがはじまる。 静まり返った会場は指数関数的に緊張を増していく。鷲見家一同の視線が正面の本尊を捉えると一様に真剣な表情へと変面した。合わせてそれっぽい顔をする最前列のトンチキ兄弟。 張り詰めた緊張を破魔矢で二つ割にするかのように、優しくも鋭さを内包した威厳ある声が響く。全国鷲見家会事務局長である鷲見某氏であった。我々をこの祭りに引き込んだ張本人である。 見つけたぞ、、きゃつこそが全国鷲見家会の全貌を知る男。 どうにか隙を見つけ問い詰めねばならぬ。はてこの面妖な

        • 続・自分の名字がついた祭に行った話

          初めて対面した鷲見神社は、鷲見の名を持つ者だけが捉え能う波動に満ち満ちており、それは瞬時に踵から入電し全身を伝って血の奥を震わせた。 これは、、本物だ。 口には出さぬも我ら三人はそう直感した。今すぐ鳥居を拝進し始祖頼保公に無沙汰の詫びを請わねばとの衝動に駆られる。がしかし、晩秋らしからぬ大雨に祭の会場は神社より北直ぐの廣厳寺へと移っていた。時間が迫っている。 眺めるだけでただちの参拝を一旦諦め、再び車に乗り込みナビの示すまま寺方向へと舵を取ると、なんのことはない目と鼻の先

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          自分の名字がついている祭に行った話

          私の名前は鷲見栄児という。鷲を見ると書いて「すみ」と読む。ほぼ岐阜県にのみ存在するいささか珍しい名字だ。 実家に一通の葉書が届くことからこの物語は始まる。飾り気ない官製ハガキに簡潔な文章で綴られたそれの見出しにはこう記されていた。 「第57回 全国鷲見家祭開催のご案内」 差出人は全国鷲見家会。毎年恒例の鷲見家祭を鷲見神社で開催するから参加せよとのこと。宛先には祖父の名があるが既に鬼籍入りし四十余年、父もまた還暦を待たず早逝し現在は母一人。代は我々へと下っている。 とまれ鷲

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