第9話 1on1とカウンセリング

カウンセリングとは、
依頼者の抱える問題・悩みなどに対し、
専門的な知識や技術を用いて
行われる相談援助のことです。

ではビジネスにおいてのカウンセリングで必要な専門的な知識や技術とは、
どういったものでしょうか?

相談相手の置かれている立場が若手であればある程、
概ね、仕事内容とは違うプライベートな問題であったり、
直接業務とは関わりが無いような心配事であったり、
そもそも悩む必要が、無いものであったりするケースが殆どだったりします。

なんだそんな話かと聞き手が感じてしまう一方で、相談する側にとっては大変重要な内容が、軽くあしらわれてしまったように感じると言った、双方の気持ちの乖離が
結局相談しても無駄だったという感情を生み出します。

こういったことが起きてしまう現象には、
相談に乗るカウンセラー側が上司であり、依頼者が部下であるケースが構造として前提にある事が多い為だと、推測します。

傾向として、仕事が出来る人にカウンセリングしても、悩みが無いという答えが多いです。
実際のところ、仕事が出来る人達の多くは
悩みが無いのではなく、悩みが生まれた瞬間にどうしたらいいか答えがでるように考える癖がついているので、そもそも悩まない事が多いのです。

第8話のプロローグで伝えた
上司の方が若い人をわけのわからない人種と位置付けてしまい、
逆に若手の方が、上司をサッパリわからない人と位置付けてしまう構図は
このようにして生まれていると、考える事ができるでしょう。

しかし
そんな異なる性質を持った2人が
カウンセリングを行うという事自体が
その試みこそが非常に重要であるという話です。


さぁここから本題です。
カウンセリングが本当に必要なのは、
いったい誰なんでしょうか?
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起業・創業から1年後に約3割の会社・個人事業主が廃業しています。
新たに設立された会社や個人事業が1年後に残っている生存率は約72%です。
つまり10人中3人は1年後に廃業しているという事です。
そして3年たった時点での生存率は約50%、
5年経てば生存率は約40%です。

また
「長者三代続かず」という諺があります。
お金持ちは三代目で破産するという意味です。

初代7%
2代目33%
3代目60%
これは、三代目社長で事業継承が失敗に終わる確率だそうです。
確かに
創業者は、全てが初体験で手探りのなかで会社を興し、失敗と成功を繰り返しながら事業を成長させている。。。

その苦労は計り知れなくて、実際に、創業者の血のにじむような苦労と経験は想像を絶することが往々にしてあるようです。

言ってみれば、創業者は経営のプロです。
そしてまた、そのカリスマと共に過ごした社員達は当然猛者揃いで、
さながら鍛えられた渡り鳥の群れのように、編成を組んで成功へ向かいながら群れを成して飛んでいた(あるいはまだ飛んでいる最中)なのだと思います。

では、代替わりをした経営者のせいで、カリスマを失った為に会社は倒産してしまうのでしょうか?
会社経営という観点ではその通りです。
責任は全て社長が持つ。
それが会社経営の掟だからです。
しかし、
そこに働く人達のマインドをじっくりと見つめた時、ひょっとしたら、少し違った答えも導かれそうな気がします。
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看却下(かんきゃっか)

この言葉を聞いた事があるでしょうか?
「これは禅の言葉で 自分の足元をよく見ろ」と言う意味です。

昔、法演(ホウエン)って言う偉いお坊さんが、
夜道を弟子達と歩いてた時の話です。
風がフーっと吹いて、持ってた行灯、つまりロウソクの火が消えて、真っ暗になったんですって。
今みたいに外灯も無いから、焦ってしまってホウエンが、
「どうしよどうしよって」みんなに、言ったんすよ。
「誰かライター持ってない?」みたいな感じで焦ってたら、
弟子の1人の圜悟克勤(えんご こくごん)って坊主が、
「またれい。」って言ったんですよ。
一同「なに?」ってなったんやけど、
園悟こくぐんは
「流石はホウエン様。」って続けるんですよ。

「さて、ろうそくの火は消えた。お前達の心の悟りの境地を話せ。と、そういう問いかけですね?法円様。
わかりました。私の答えはこうです。看却下です。」

って言いだしたんですよ。

一同「ん?ん?どした?ライターどした?」みたいになったんすよ。

でも圜悟克勤(こくぐん)は続けるんすよ。
「仏教には、法灯明自灯明と言う言葉がありますよね。

法灯明とは、
お釈迦様、つまり師匠の教えを大切にして、生きなさい。という教えです。

そして自灯明という教えもあります。これは
自分を灯にして、自分の光を大切にしながら生きて行きなさい。という教えです。

我々、この仏教の世界は夜道に例えられます。

真っ暗になってしまったこの夜道は さながら
人生と言う夜道に、困難と言う夜風が吹いて、灯が消えた状態だと言うこと。

もともと真っ暗な人生の中で、その時 急にお師匠という灯が消えた

さて、お前たちはどうする?
{私は自分自身の足元をよく見て歩きます}

私達は法灯明と自灯明の教えのもと、
自分の心に師匠を灯にするのではなく、
自分の心の中に自分の灯を灯そうと思います。

これが私の答えです。」

みんなキョトンとしていたんですが、
圜悟克勤(こくぐん)はこう締めくくりました。

「つまりそういう鋭い質問だった訳ですね?法演様」

はっとして周りの連れも、連れって言うか弟子達も
「こくぐんちゃんはやっぱすげーね。そうなんすか?ホウエン様」
って聞いたんすよ。
そしたらホウエンは少し考えた顔をしてから
「うん。」
って言ったんですってよ。

どうっすかね?この話。

己を灯として燃やす人間は、多くの人に伝染してそしてまた
巻き込みながら、考えられない程の結果を残すという仏教の教えです。
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そして話を
「長者三代続かず」に戻します。
カリスマと共に過ごした猛者たちに継ぐ

あなた方は、カリスマを失ったとき、
2代目に、3代目にカリスマを灯そうとするのでしょうか?
答えはノーだ。
師匠の教えの元、自分の心の中に自分の灯を灯すべきなのです。

それこそが、会社の発展と己の成長に貢献する最良の手段です。
自分がこの会社に居続け、
やがて働く事の本当の理由を知る事になる
唯一の手段となるのです。
カリスマを宿した猛者共を見た新しい社長が、
貴方達の影響でカリスマに変貌します。

そんな経験をした会社があるとすれば その会社は
たとえば他社に、あるいはヘッドハンターに、年収倍払うからウチに来ないか?と言われても断る社員が生まれます。
そして、
輝く人間が働く職場を見て若手が働きがいを持つのです。
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とまぁ、何で働くのか?っていう、話をされたので、
なんでかな?って考えたときの話です。

愛社精神の無い人や、
イヤイヤ働いている人や、
楽しく働けていない人たちが多勢になった時、
私たちは、たまらなく孤独を感じてしまう事が往々にしてあります。
生きていれば必ず訪れる事があるでしょう頼る人が誰もいないと感じる孤独の瞬間です。
それは、上に登れば上る程に、感じる事が多くなるものだと、そんな性質のものなのだと言われています。

だからこそ、似たような思いを持った者同士が、
成功する渡り鳥のように群れを成す場所ってのが
社内にあってもいーんじゃないかなと思う訳です。
そしてここがそんな場所になれば良いなと
思う訳です。

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