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預金封鎖が起こる?日本で起こりうる可能性と資金対策を徹底解説

須見一です。

「預金封鎖」とは、銀行に預けているお金を自由に引き出せなくなる状況です。世界でたびたび起きており、日本も過去に経験しています。しかし、現在でも繰り返される可能性があるため、私達はこのリスクに備えておく必要があります。

預金封鎖が起きると、会社は取引先や従業員への支払いができなくなります。そのため、預金封鎖を前提にした資金対策を考えることが重要です。

ここでは、預金封鎖の目的や影響、日本で起こる可能性、そして私達が知っておくべき資金対策について解説します。

一つの資金対策としては、預金を複数の銀行に分散することが挙げられます。また、資金を運用することで収益を上げ、リスク分散につなげることもできます。預金封鎖に備えて、経営者は適切な資金対策を講じることが不可欠です。

以上のように、預金封鎖に対するリスク対策は企業経営において非常に重要です。この記事を参考に、リスク分散のための資金対策を講じることをおすすめします。

預金封鎖とは

預金封鎖とは、銀行の預金の引き出しを制限するあるいは禁止することです。政府が国の財政を立て直すための金融政策や犯罪を防止するための対策として実施されます。

預金封鎖が行われると、引き出せる預金の上限や回数が設けられるほか、全額を引き出せない場合もあります。そのため、預金者にとっては大きなリスクとなります。

過去には、日本をはじめとした世界中で預金封鎖が起きており、以下の国や地域で実施されました。

  • 1946年 日本

  • 1990年 ブラジル

  • 1998年 ロシア

  • 2001年 アルゼンチン

  • 2002年 ウルグアイ

  • 2013年 キプロス

  • 2021年 レバノン

これらの国々の共通点は、預金封鎖を行ったときにその国の経済状況が悪化していたことです。もし日本が再び預金封鎖を行うことになった場合、それは経済的な危機に直面している可能性が高いでしょう。

預金封鎖は、その国の経済状況が深刻な危機に陥ったときに、政府が採る最後の手段の一つとされています。預金封鎖が実施されると、銀行からお金を引き出すことができなくなるため、預金者にとっては大きな問題となります。また、預金封鎖はその国の信用度を低下させ、国内外の投資家からの信頼を失うことにつながります。

預金封鎖が実施される理由は、金融危機や政治的混乱などがあります。金融危機は、銀行の財務状況が悪化し、預金者が一斉に引き出しを行うことによって起こることがあります。

政治的混乱は、政府の不安定性によって経済が混乱することが原因であり、預金封鎖が行われる可能性があります。

日本が再び預金封鎖を行うことになった場合、その影響は甚大となるでしょう。預金者にとっては、引き出し制限によって生活費やビジネスに必要な資金を手に入れることができなくなる可能性があります。また、国内外の投資家からの信頼が失われ、日本の経済に深刻な影響を与えることが予想されます。

政府や銀行は、預金封鎖を回避するために、財政政策や金融政策の改善を行うことが必要です。また、預金者にとっては、複数の銀行に分散して預けることや、投資信託などの運用を検討することが重要です。預金封鎖が起こらないように、個人・企業ともにリスクマネジメントを行うことが求められます。

預金封鎖の仕組みとは?

預金封鎖の仕組みは以下の通りです。

  1. 国は預金封鎖によって国民の預金を差し押さえます。

  2. 預金者は自由にお金を動かせなくなります。

  3. 国は預金額に対して税金を課します。

  4. 国民の預金は国の財源となります。

日本で行われた際には、預金の他に不動産や株式、国債、金など全てに課税されました。預金の場合は口座から直接徴収されるため、預金封鎖後は支払いを拒否できません。

当時、額に応じて25~90%の税金が課され、10万円以上の資産を持つ世帯には高い税金が課せられました。資産額に応じて税率が決められたため、資産の多い人ほど高い税金を支払うことになりました。

しかし、このような税制度には批判もありました。多くの人々は、自分たちが稼いだお金や貯めたお金を自由に使えるべきだと考えていました。また、高額な税金を払うことで、資産家たちは海外に逃亡することも検討していました。

実際に預金封鎖がどのように行われたかについては、日本とキプロスの例を見ていきましょう。

日本政府は前日に預金封鎖を発表

日本預金封鎖

日本政府は、1946年2月16日に国内の激しいインフレーションを背景に、金融制度改革を目的として「総合インフレ対策」を発表しました。この対策は、全金融機関の預貯金を封鎖し、現行の10円以上の紙幣を3月2日限りで無効にするというものでした。

また、5円以上の現金を強制的に金融機関に預けさせ、生活費や事業費などに限り新円による払い出しを認めるなど、金融制度に大幅な改革をもたらすものでした。

この総合インフレ対策には、大きな注目が集まりました。特に、預金封鎖が前日に発表されたことは、多くの人々に衝撃を与えました。預金者は、対処方法を考える時間もなく、預金封鎖を迎えました。

そして、新円切り替えという手段により、手持ちの現金も預けざるを得ない状況になったのです。

もし現実に起きた場合は、預金封鎖が明らかになる前に、しっかりと備えておく必要があるでしょう。対策としては、現金を手元に置いておくだけでなく、金融機関に預ける際には、口座開設時に設定した通帳やカードの保管場所にも注意する必要があります。

さらに、自分自身がどのような金融制度に基づいて運用されているのかを理解し、状況に応じて対応できるようにしておくことが大切です。

キプロスの預金封鎖では資産の多い人から徴収

キプロス預金封鎖

キプロスの場合、2013年に起こったギリシャ危機がきっかけでした。当時、キプロスは運用していたギリシャ国債が暴落し、巨額の損失を抱えました。EUに支援を求めたところ、キプロスも負債の一部を負担することを条件に受け入れられました。しかし、キプロス政府はその後、負債を返済するために預金封鎖を行いました。

当時キプロス国内で1、2位だったキプロス銀行とライキ銀行の預金に手をつけ、預金が10万ユーロを超えた場合、超過した金額を全額没収してしまいました。

当時の10万ユーロは、日本円で約1,200万円であり、資産の多い人々の預金は消え失せました。この出来事は、預金封鎖が起こった国々の中でも有名な例となっています。

経済危機に陥ると、自分の資産が守られる保証はありません。それだけでなく、預金封鎖は国内外の投資家からの信頼を失うことにつながり、国の信用度を低下させることになります。

預金封鎖は、その国の経済状況が深刻な危機に陥ったときに、政府が採る最後の手段の一つとされています。
もし日本が再び預金封鎖を行うことになった場合、それは経済的な危機に直面している可能性が高いでしょう。

預金封鎖は、銀行からお金を引き出すことができなくなるため、預金者にとっては大きな問題となります。政府や銀行は、預金封鎖を回避するために、財政政策や金融政策の改善を行うことが必要です。

また、預金者にとっては、複数の銀行に分散して預けることや、投資信託などの運用を検討することが重要です。預金封鎖が起こらないように、個人・企業ともにリスクマネジメントを行うことが求められます。

以上のように、過去の預金封鎖の例から、その深刻さや影響の大きさを知ることが重要です。今後も、経済状況が悪化する可能性があるため、リスクを減らすためにも、資産の預け先や運用方法を見直すことが必要です。

預金封鎖を行う目的とは

預金封鎖は、主に次の2つの目的により行われます。

  1. ハイパーインフレを抑制するため

  2. 国の財政赤字を補填するため

1については、預金封鎖により市場に流通するお金の量を減らし、商品の価格が急速に上昇するハイパーインフレを抑える狙いがあります。ブラジルで起きた預金封鎖は、ハイパーインフレが一つの要因であるとされています。

2は、封鎖した預金を徴収することで、国の財政赤字を補うためです。先のキプロスの例にあるように、巨額の損失を埋めるために行われた事例があるほか、公的債務の返済ができなくなった後に預金封鎖を行ったアルゼンチンのケースもあります。

ハイパーインフレが起こり、国の財政赤字が膨らんだ場合には、預金封鎖が起こりやすいと言えるかもしれません。

預金封鎖が日本で起きた場合の影響は?

日本で預金封鎖が起きた場合、日常生活や事業活動など、様々な場面で影響を受けます。差し迫った問題としては、預金が動かせない状態のまま取引先の支払期限が迫り、また従業員への給与の支払いも従来のようにはできないことなどが考えられます。

長期化するケースも考慮に入れると、これまで経験したことのない状況に対処する覚悟が必要です。

社会全体の問題としては、主に次に挙げる3つの影響を大きく受けると予想されます。

日本円の信用力低下

まず、お金を預けた人たちがお金を引き出すことができなくなることで、日本のお金の評判が悪くなるということが問題です。さらに、国のお金の状態が悪いので、世界から信用されにくくなります。この状況では、日本のお金の価値が下がって、海外から輸入するモノの値段が上がってしまうかもしれません。

景気悪化による倒産の増加

景気悪化による企業倒産は、経済的に困難な状況に陥った企業が増加することによって引き起こされます。景気が悪化すると、市場においての競争が激化し、企業は売上高の減少や利益の減少などの問題に直面します。これにより、多くの企業が財政的に困窮し、倒産する可能性が高まります。

しかも、預金封鎖が行われれば、企業はさらに経済的な状況に直面することになります。売上代金の収入が減るばかりか、仕入代金の支払いも滞ることが予想されます。これらの問題により、企業は資金不足に陥り、まともな企業活動ができなくなることで景気も後退することは否めません。

企業倒産が増加すると、雇用の不安定化、経済成長の鈍化など、多くの社会的な問題が引き起こされます。このため、景気が悪化した場合、政府や関連団体は、企業を支援するための政策や法律を制定することが必要です。また、企業自身も、リスクマネジメントを行い、経営戦略を見直すことが必要です。

企業倒産による失業率の増加

企業倒産による失業率の増加は、景気悪化で企業の経営が苦しくなり人員削減が進むこともあります。これによって、多くの人々が失業する可能性があります。

失業者数の増加は、家計収入の減少につながり、家計の財政状況に悪影響を与えることがあります。失業者が減少するには、新しい雇用機会を創出する必要があります。

そのため、政府は企業の新規事業を促進する政策を採用することができます。さらに、失業保険制度の整備を行うことで、失業者が再就職するまでの間、生活に必要な最低限の支援を提供することができます。

日本で預金封鎖が行われる場合の2つの原因

ここでは、預金封鎖が起こった場合の影響について説明します。また、預金封鎖が実際に行われる状況についても考えてみましょう。預金封鎖が行われる主な原因は、以下の2つです

  • 国の財政状況の悪化

  • 過度な金利の上昇(ハイパーインフレ)

国の財政状況の悪化

一つ目は、国債などの借入金の残高が増え、国の財政状況が悪化する場合です。日本の債務残高は、2022年度末で過去最高を記録していることに加え、主要先進国の中で最も高い水準にあります。

債務残高がこのまま増え続ければ、財政状況が深刻化する可能性もありますが、その一方で、債務残高の増加は、国の発展を支えるために必要な投資を行うためにも必要不可欠なこともあるのです。

日本の財政状況

日本は年金や医療、介護などの社会保障に関する支出が多く、今後も増えていくことが予想されます。これに対して、政府は税金を増やす、支出を削減する、または新しい収入源を見つけるなどの対策を講じることが必要です。

また、社会保障制度の見直しや改革も必要不可欠です。政府は、経済的に弱い人々や、高齢者など、より多くの支援が必要な人々を支援するために、適切な政策を実施する必要があります。

その支出を支えるための収入を、預金封鎖により調達することもあり得るでしょう。しかし、この方法は、市場の信頼を傷つける可能性があり、国際社会からの批判を招くことがあります。

さらに、預金者の権利を侵害するため、政治的にもリスクが高いです。そのため、政府は、公正かつ透明性の高い方法で財政を再建するように努める必要があります。

ハイパーインフレ

ベネズエラののハイパーインフレ

二つ目は、物価の価格が過度に上昇するハイパーインフレが起こった場合です。物の価格が上がり過ぎて通貨が信用を失い、物価が上昇し続ける状態は危険です。

預金封鎖を行う目的の一つに、ハイパーインフレを抑制するというものがありました。この理由から、市場に流通するお金を減らして物の価格を下げることが目的です。

そのため、もし日本でハイパーインフレが起こった場合、預金封鎖が実施される可能性があります。

最近の日本では、食料品をはじめ、さまざまな物品やサービスにおいて値上げを実感することが多くなっています。まだアメリカやイギリスに比べると低い水準ですが、このまま物価上昇が続けばハイパーインフレになる可能性もあります。

過去の日本で行われた預金封鎖とは

1946年2月17日 預金封鎖と新円切り替え

日本では、1946年に預金封鎖が行われました。第二次世界大戦後、物資が不足し、需要が供給を上回るハイパーインフレが起こりました。この状況に対処するため、政府は預金封鎖と新円切り替えを実施することを決定しました。

新円に切り替えることで、政府はインフレーションを抑制し、市場を安定化させることを目指しました。政府は「生活費や事業費などに限って新円による払出しを認める」とし、5円以上の現金を強制的に預入させました。

また、預金を引き出す金額にも制限が設けられ、世帯主は1カ月に300円、世帯員は100円までとされました。これは現在の価値にしておよそ12万円と4万円です。

資産額に応じて税率25~90%が課されたというのは前述通りです。この政策は、一部の人々からは不満が出ましたが、インフレーション抑制には一定の効果があったとされています。

封鎖後、小額紙幣の流通が限定され、人々は釣り銭を求めて銀行や郵便局に長蛇の列を作りました。10円や100円で切符を買って、小銭を手に入れようとする人々の姿が、駅でよく見られました。この現象は、封鎖によって生じた混乱の一例であり、戦後日本が直面した困難な状況を物語っています。

預金封鎖がこれから日本で起こる可能性は?

預金封鎖は、世界で5〜10年ごとに発生することがあり、日本も過去に経験しています。また、最近の物価上昇によるハイパーインフレも懸念されます。

このような状況下で、日本で再び預金封鎖が発生するのではないかと懸念する人もいるかもしれません。しかし、現時点では、日本で預金封鎖が発生する可能性は低いと考えられています。

なぜなら、日本はこれまでデフレ状態が続いており、急激なハイパーインフレになることは少ないからです。また、OECD(経済開発協力機構)は、日本のインフレ率が2022年の2.3%から2023年には2.0%に下がると予想しています。

ハイパーインフレは預金封鎖が行われる主な原因の1つですが、この原因が取り除かれることで、預金封鎖が発生する確率も低くなると考えられます。

2024年の新札発行で預金封鎖が起こる!?

過去の預金封鎖では、預金封鎖と同時期に新円切り替えも行われました。この経験から、2024年に行われる新札発行に合わせて、「預金封鎖が起きるのではないか」という噂もあります。

普及が進んでいるマイナンバーカードには、「銀行口座などの個人情報」が含まれています。さらに、世の中の物価は上昇しており、預金封鎖に対する国民の不安は少しずつ増しているかもしれません。

しかし、現時点(2023年5月)では有力な情報がまだないため、不安を感じる方は、今からできる対策を行っていきましょう。

【預金封鎖の対策】3つの方法を確認

預金封鎖の対策として3つの方法をご紹介します。

もし預金封鎖が起きたら、自分や家族、会社や従業員などが受ける影響は大きいでしょう。いつ起こるのか予測が難しいからこそ、事前にしっかり備えておきたいものです。

後悔しないためにも、できることから始めてみましょう。預金封鎖対策になるだけでなく、中には資産形成にも役立つ方法もあります。資産を増やしながら、同時に対策を行うことも可能です。

(1) 貴金属を持っておく

ゴールド

一つ目は、貴金属を持っておくことです。

金などの鉱物資源には限りがあります。その希少性から、特に金の価値は長期的に見て上がり続けています。預金封鎖が起きた場合、手持ちのお金の価値は下がる可能性があります。

一方、貴金属の価格はそのときの相場で変動しますが、価値がゼロになることは考えにくいでしょう。この特徴から、貴金属は預金封鎖対策だけでなく、資産形成にも役立ちます。

(2) 不動産に投資しておく

不動産投資

二つ目は、不動産投資をすることです。

不動産価格が比較的低く、低金利で借り入れできる時期を見計らって投資することで、資産形成につながるだけでなく、預金封鎖にも対応できます。
ここ数年、金利の低さから不動産投資ブームが続いていますが、今後の動向を注視し、慎重に判断する必要があります。

また、過去の事例にあるように、不動産に税金が課せられることも考えられます。そのリスクを考慮した上で判断することが大切です。

(3) 海外の金融機関に口座をもつ

外貨預金

三つ目は、海外の金融機関に口座を持つことが挙げられます。

外貨が日本の口座にあることで制限を受けてしまう場合でも、海外の金融機関に口座を開設すれば影響を受けることはありません。預金を自由に引き出すことが可能です。

海外の口座を開設するには、オンラインでの申し込みのほか、現地の窓口や日本に支店を持つ金融機関へ直接足を運ぶ方法があります。事前に必要な書類を揃えてから手続きを進めるとスムーズです。

まとめ

預金封鎖が日本で起こる可能性はゼロではない

預金封鎖は世界で頻繁に発生しています。日本でも同様に発生する可能性があります。不測の事態に備えて、事前に対策を講じることが重要です。

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