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「味わう」幸せ

「食べてもいいのか」と、今の私が純粋にそう思えた作品に出会いました。


師匠からのおすすめで、ドラマ化されたダイジェスト版が非常に面白かったことから原作に興味を持ち、今は話と話の間を何度も行き来しながら読み漁ってる最中ですが、今までの自分のしがらみや価値観に対する誤った概念、そして新しい可能性など、色々と考えらせられることが多い作品でもあります。


中でも思うのは、自分の「食べる」を大事にできる人、「自分の食べたいものを食べられる人」というのは、すごく幸せそうで、満ち足りてるんだなあということ。
それは私のように「いかに体重を増やさず、満足感を得られるか」という条件下で自分が許せたものしか食べられない人間にとっては、特にそう感じるのかも知れません。


また、作中は「食」を通じて様々な背景や価値観を持つ人物同士が交差する訳ですが、そこでは「(誰かと)一緒にいても、食べなくていい」選択肢があったんだということにも、地味に衝撃を受けました。


今まで、何かと周りを見渡しては「集団に属さなければ」と思い、周りからの排除から逃れることだけに必死で、「人と違う」自分を許せなかったのは私で、更には「自分と違う」周りに対しても「偏見」という名の元にそれ以上は理解しないレッテルを貼り、そういった人達の言葉や価値観を真摯に受け止めようとして来なかったのも私で。


そうやって、自分で自分を狭い世界に閉じ込めて苦しめて来たんだということも思い知らされたと同時に、うまく食べれなかった自分が好奇の目で見られないこと、「食べる」無理強いをされないことで、「あなたは、あなたなんだね」って、どこか私までもそう言って貰えたような気がして、「受け止める」事の重要性をすっかり忘れていた自分にも気付かされました。


生きる幸せとは、この世界で「色んな経験を味わう」幸せで
生きる幸せとは、「色んなものを食べられる」幸せと、実は一緒なのかもしれません。



型にハマらなくていい、新しい価値観を教えてくれる、そして身体がホッコリあたたまる、そんなおすすめ作品です。

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