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せんだい

会社の健康診断で横浜駅近くのクリニックを訪れた。
平日の昼間にスーツを着て街を歩くと、大学時代に見ていた横浜も違う街に思える。
初めて海外旅行に行った半年前と今では、同じ場所に行っても違うことを思うのだろう。


朝から何も食べていない身体に真上から降り注ぐ太陽光。鏡のようなビルの外壁に反射する光も相当で、今体内で天日干しのアジと同じことが起きているなと思ったけれど、健康診断の結果には全く影響はない。


気づいたら空からフワッとUFOが降りてきて、近未来的な自動扉が"ウィーン"といかにもな音を立てて開き、向こうで宇宙人が手招きをしているとする。その場合も、「時にはそんなこともあるだろう」と納得してついて行ってしまいそうだった。



一緒に歩く同期達が地方出身者のため、私が先頭になって道を案内する。目的地は駅の地下から直通のはずだったが、一度駅から地上に上り、しばらく歩いてから再び地下に降りるという、横浜で大学生活をしたとは思えない迂回路を辿った。しかし何も言われなかった。



クリニックはビルの23階。待機時間中は、街を一望できる大きな窓から街を見る。ふとビルの真下を見下ろすと街によくある球体(ガスホルダー)があった。人は意外とチラホラとしか見当たらない。単に小さくて少なく見えるだけなのか。

健康診断が終わり、同期と遅めの昼食。
歩いて最初に見つけたラーメン屋「せんだい」に入った。

ラーメン屋でライスを注文する人の気持ちが分からない。同期の1人はライス小盛り、もう1人は大盛りを注文していた。

どこにも仙台の要素無いのにどうしてこの店名なのだろうと言うと、「先代」の方では?と言われた。そんなことがよくある。
 
店内では懐メロがかかり、JUDY AND MARYの散歩道も流れていた。同期の1人は今日この後は在宅勤務だからと、にんにくの入った瓶に手を伸ばしていた。




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