見出し画像

恋愛の負の側面をよく気にする。

浮気された人がいて、それを可哀想だと思う感情を他人が抱けたとしても。浮気された当人が別に可哀想のような感情を自分に対しては抱かないだろう。当事者が抱いているだろう感情というのは、怒りか、悲しみか、憎しみのような負の感情を表す様な感情であって、可哀想だと感じられているのは被害のない外野側の人間だけなのだろう。

当事者と見物者とでは、抱いている感情のあり方にズレが生じているのだと思う。

***

「どこからが浮気だと思う?」この質問をしている相手の感情のあり方を言葉にするなら。「貴方は、どの程度の事をされて不快さを感じるの?」という、ちょっとした個人の許容範囲についての興味みたいなもので。

こう言った質問を受けてから、聞かれた側は「一体どこからだろうか」と少々考えてみたりするけど。本来自分が思うままに欲望を前面に出してこの回答に答えようとすると「自分が感じる不快感を皆無にしてくれる人」であってほしいと回答できる。

例えば、異性との関係を簡単に、全て断捨離してくれるくらいの人が理想であり。そもそも異性との関わりが無い人であって。自分を除いた、不穏な人物との関係は、全部自分の為にも切ってくれるようなパートナーの方が信頼できるはずだから。それぐらい尽くしてくれる人であれば、恋愛をするデメリットだってないだろう。

では、何故そう答えることに、自分自身が少し躊躇したくなる気持ちが芽生えてしまうのだろう。

まぁ、やましい人間関係が無いに越したことはないという話は確かだが。そうは言っても、現実問題そんなに相手の為を思って、自己犠牲を行ってくれるような理想の人がこの世には少ないからだと気がつけてくるからだと思う。

各々に自分以外との日常生活があるのだから。恋愛において自分たちだけに許された世界なんてのは領域が知れてくる。その点だ。振り出しの質問をする意味と好奇心が関わってくる原因は。全ての他人が、それほど相手の為に、自分の全てを捧げて自己犠牲を測れるような仕組みになっていないからだろう。

だから一方的な自分の欲を相手に貫き通すだけよりも、自分も相手の欲に納得するように。何処まで自分が他人の不良を許容できる範囲か、それを知りたくなるのものなのだと思う。少々曖昧な物事には人間は興味が唆られるのだろう「どこまで、何を許していいのか」自分が納得できる明確な回答を探り知りたくもなるものなのだろう。

誰かに浮気されたとしても、それをお互いに許容してしまえるのなら別に二人の世界において何処にも問題は発生しない。許せないと思ってしまう心情が人に備わるからこそ、問題に発展するだけであって。けど、何でも許してしまえる人間になることで損をすることくらいは知っている。

なんとなく自分の願望を他人に期待してしまいたくなるが、他人に期待しているだけだと揉め事になる。自ずと簡単な方へ行き着くと、自分が寛容になるべきなのだろうかと考えたくなるが。都合の良い人にはならないように気をつけていたい。そうした、曖昧な個人差による線引きを確かめるような探りを入れた質問に、興味や好奇心が篭っているように感じるのだと思う。

人間は愛するなんかよりも、愛されていたいものなのだ。

依存されるくらい愛される人間関係に安心感を感じるのは、"失わない"という拘束感から芽生える感情のようなもので。「一生愛している」という言葉だけは信念のように頻繁に使われるが、そのような言葉を言い続けたところで信用は構築できないくらい、人の意思なんて言葉とは裏腹にも変わるものだと潜在的にわかっている。

経験としても、人生で初めて付き合えた相手、そうした相手のことを思い出しては。別れてしまってから、時間が経過した今、誓い合った当時の気持ちなんて当然に薄れてしまえている。

むしろ、あの当時に「何故あそこまでに愛を伝えられたのか」って、それすらも疑問に思えてしまうくらいに劣化していることに気がつける。本当に好きじゃ無かったって訳ではないだろうけど、本当に好きだったからこそ、何故今になって平気でそんな人間関係を簡単にも終わらせてしまえているのだろうと思えるくらいに。

忘れることなんて自然にできてしまえる自分と、自分が忘れてしまえるのと同じように、他人も忘れてしまって裏切ってくるかも知れない可能性にも敏感になれる。

まぁでも、恋愛関係という一つのあり方を、こんなにも重く受け止め過ぎるとなんだか変に疲れてくる。

広い視野で見れば単なる人間関係の一つでしかない。恋愛関係というものを、何処か特別として考えて、失うと不味いものだと考える人にとって恋愛なんて窮屈になる。結局のところ他とは違った繋がりを強く感じてしまえる人間関係の程度だと考える方がよっぽど気楽だ。

そうだ、だから他人でいれば気が楽になれる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?