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【純愛】ってなんなん

ルーティンのように、朝、目が覚めたら真っ先に携帯に触れている。スクリーンには、僕が眠っている間に届いた通知が何件か表示されていて。その中の一つには「自分勝手でごめんなさい。もう別れてほしい。」とのLINEが、夜中の3時ぐらいに来ていた。

不思議なもんだが、夜中になったら人間って色々考えを巡らせがちになると、僕は思う。考えなくても良いことが次々と浮かんでは、深くまで想像してみたりして。でも、そういうのって朝目覚めてみたら、簡単に忘れられてしまえて、深く想像していた気持ちなんて嘘だったかのように思い出せなくなったりするけど。そんな気持ちの落差と同じくらいに彼女と僕の気持ちの間には、ギャップでもあったのだろう。

内容についてだけど。正式に僕は失恋したのだ。とはいえ僕にとって、まぁこうなるだろう...と言う予測を、前々から勘づいていた節があって。なんなら「いつ、彼女から別れ話でも切り出されるのだろうか」とか、そんな心構えすら今日に至るまでに、何度かボンヤリとは考えていたりしていた。

ただ、"僕は、そのうち振られるんだろうな"なんて、そんな心の内の気持ちがあったからと言って、そんな気持ちを全面へ態度に出して接して来たつもりは毛頭なく。しかし振り返れば、もしかすると僕は「どっちでもいいよ。」なんて態度が節々に出ていたかもしれないけど。そうした節々の態度から彼女側に察しがついていたのかもしれないと思うと、結局自分が悪かったのだろうなんて自己責任を感じては、彼女に懺悔でもしようと思った。

まぁ、結局。どのみち僕が振られてしまった事に変わりはない。でも振られた事に対して、微妙に心には違和感を感じていたけど。この気持ちに関して深く掘り下げると、恋をしてから失恋をしたような、そんな誰もが通りそうな順序通りの純粋な心の痛みではないような気もしていて。この痛みを何かに例えるのなら、そこそこ仲が良かった地元の友達が、関西から関東への距離感に引っ越して行ったくらいの寂しさのよう。

確かに寂しいのだけれども。別に恋人という縁が切れたとしても。今後一生会えない、なんてそんなことも別に無いだろうぁ。なんて、楽観的思想に近いものを感じていた。

「別れそう」なんて心構えがあったから、今回傷付かなかった訳ではないような気もしている。もしかするとだけど、別に僕は別れたからといって、寂しさを感じる必要がないと思えてくるからかもしれなく。人間関係、一人いなくなったところで「どおってことない」という、安心感。自分の生命に関わる問題にまでには発展しない事に気がついてしまっているからであって。多分、孤独になったからといっても、人生が詰むなんてことなどないと心底思えてしまえる自分でいるから、わざわざ傷つくほどの事だと自覚できないからかもしれない。

純愛について。例えば、僕が純愛であったとしたならば、少しでも自分の心に傷でもつけられたのだろうか、そういう事を考える。しかし、純愛を最後に強く欲していた時期っていつだったのだろうかと思い出そうとしたけど、せいぜい10代がピークだったような気がする。なんだろう純愛ってそんなに頻繁に起こってはいけないような気もする。多分純愛とは無知の状態に近いのかもしれないという憶測もたつけど。きっと今回の恋愛では、彼女の方がきっと純愛でいてくれて、僕も悪人なんかではないから、それに気持ち無しで答えようとしていて、もしかすると、そのスタンスって逆に、僕の嘘の気持ちがむしろ悪人であったのようで。

でも、僕は別に浮気だってしてない。女遊びもしていない、傷つけるようなことをしようともしていない。しかし、心底何も無かったからこそダメだったのだと思い返しては思うけど。

逆に、思い出したんだけど。「自分から振ることはない」と断言して付き合いはじめてくれた彼女は、一体どこへ行ったのだ。

人の言葉の価値も、まるで呼吸のようだと思う。一見重要そうに見えても、実は無価値だったりする。

振られたのは僕の方だが、何故か傷ついていたのは彼女の方だったかもしれない。

今回誰も別に幸せになれなかったけど、じゃあ逆に別れなかった未来では幸せにはなれたのだろうか。

でも、僕からすれば恋心がなく、それでも認めてくれて、恋愛は成立するもんだと証明してくれてたなら、それは僕にとって幸せだったかも。

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