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1on1のつくり方

 Goodpatch Design Advent Calendar 2023 の21日目の記事です

今年の9月からUXデザインチームのマネージャーをしている神谷(そま)と申します。

このnoteでは、マネージャーとなり試行錯誤しながら進めてきたメンバーとの1on1の体験のつくり方について書いてみようと思います。

通常1on1は閉じた環境で実施されるため、周りからたくさんの事例を見て学ぶというのが難しいものだと思います。そのため自分が実際におこなった事前準備から実施にいたる工夫、改善したことまでできるだけ具体的に書くことで、今後マネージャーになる方など誰かの参考になればうれしいです。



事前準備編

1. 目的を定める

毎週やるからこそ、マネージャーとメンバーそれぞれにとって何のための時間か明確にしておく必要があります。そのためメンバーとの初回1on1の前に、まず自分のこれまでの経験をもとにメンバー視点で1on1の目的を洗い出してみました。

・業務進捗を報告する
・悩みや課題を相談する
・成果をアピールする
・相手のことを知る

結構でました。いずれも大事な要素ではありますが、評価につなげるための「成果をアピールする」は他の目的の達成を一部阻害する可能性がありそうなので、1on1の目的からは除外し別の機会を設けることにしました。

この成果をアピールする場、通称、10等級の会(みんなで高め合って成長していこうということでノリで名付けました。ちなみに弊社の等級要件は7まで)の詳細は割愛しますが、月に1度、各自の目標をもとに取り組んだことや成果をまとめ、グループ間で共有し合う場を設けています。半年に一度の評価期間で思い出す負荷を減らしたり、他のメンバーの頑張りが見えたりと、やってみると成果をアピール(把握)すること以外にも良い効果が実感できているので、またどこかでお伝えできればと。

少し話が逸れましたが、いったんメンバー視点の目的は洗い出せたので、次にマネージャー視点で必要なことも整理します。

・メンバーの状態(体調)を知る
・メンバーの悩みや課題を知る(解決に向けたアクションプランを一緒に作る)
・メンバーの頑張りを知る
・組織運営に必要な相談をメンバーにする
・さらなる成長を促す
・相手のことを知る

多い。。。毎週30分程度の限られた時間の中ですべての目的を達成することは難しいと考え、以下のように絞りました。


2. 流れの仮組み

目的が整理できたので、その目的達成ができ、話しやすい流れを仮組みします。

目的にあった「相手のことを知る」が抜けていますが、既に一定関係値のできあがっていたメンバーであること、また上記アジェダをもとに深ぼっていくことや自分からも悩みや相談をすることで一定達成できるのではないかと考え、アジェンダには加えませんでした。
また「さらなる成長を促す」も抜けていますが、ここは後述します。


3. メンバーと期待値をすり合わせる

ここまで整理できた段階でメンバーと初回の1on1をおこない、期待値をすり合わせました。以下、実際に使った資料(ホワイトボードツールのスクショ)です。

これを見せながら目的、流れをすり合わせ、メンバーからもどんな場にしたいかの意見をもらいました。
またあわせて希望する頻度や時間帯も選んでもらい、次回以降の日程を決めました。


実施編

期待値のすり合わせが終わったので、次は実施です。この章では1on1をスムーズかつ効果的に進めるためにおこなった工夫をあげていきます。

今週の状態をスコアリングしてもらう

自分自身の経験になりますが、「今週どう?」というふわっとした問いかけをもらうと、だいたい「まぁまぁです」とふわっとした返しをしがちです。
そのため1on1の冒頭で今週の状態をきくときには、100点満点の点数で答えてもらうようにしました。

スコアリングしてもらうことで今の自分の状態を客観的に見つめることができるので、その後、本質的にききたいなぜその状態なのか(前週と比べてどう違うのか)の話まで進みやすくなります。メンバーからは「二日酔いがひどいっす」というものから「業務負荷があがっていて…」といういろんな回答をもらうことができ、深掘りしやすいです。
(一方で、スコアリングは一定心理的負荷のかかることでもあると思うので、答えづらそうであれば強制することは避けます)

この辺は以下のtalosさんの記事を参考にさせていただきました。(ありがとうございございます!)


相談したいことはいつでも自由に書き込めるように

自分もそうですが、いざ1on1の場になると相談したいと思っていたことがでてこなかったり、忘れてしまうことがあります。それを防ぐために、strap(ホワイトボードツール)に1on1用のフォーマットを用意しておき、いつでも書き込めるようにしておきます。青付箋の部分です。

自分もマネジメントミーティングで決まったことなどさっと書いておくことで、頭の余白を埋めないよう意識しています。

また少し話は逸れますが、書いてもらった相談付箋が完了すればグレーにする。解決に向けたアクションプランの付箋は色変えておくことで、ビジュアル的にわかりやすいというメリットもあります。以上strapの宣伝です。(笑)


メンバーのフィードバックを集める

記事の前半で「さらなる成長を促す」という目的に沿ったアジェンダは入れていないことを伝えました。ここは週次の定期アジェンダとして組むことはせず、人材開発会議の結果や気になる言動等の発生ベースでフィードバックしていくことが多いです。

また、グッドパッチはクライアントワークが主体で案件にどっぷり入って仕事しているため、マネージャーといえど各メンバーの仕事ぶりが見えづらいという課題があります。

そのため成長を促すフィードバックの種を見つけるため、各案件統括の方々に月1で状況ヒアリングをさせてもらっています。そこで得た気づきをメンバーにフィードバックしたりすることで、問題解決だけでない成長への気づきを提供できるよう努めています。


1on1のカレンダーは出来る限り動かさない

最後にこれはスタンス的なことですが、これは他社でマネジメント経験のあるメンバーに教えてもらったことです。
1on1は毎週やることからこそ、どうしても形骸化してしまうことも多いです。ただメンバーとのコミュニケーションの場としてとても重要なもので、その重要性を伝えるためにもできる限り1on1の予定は動かさないように心がけています。
とはいえ、どうしてもという時もあるので、その時はDMで丁寧に伝え動かすようにしています。あくまでスタンスです。


実践編(改善)

ここまで設計、工夫したことで、メンバーとの1on1も今のところスムーズに進むようになってきました。ただやはりメンバーによってはやりづらそうにしていることもあるので、個別最適で改善に取り組んだ事柄も載せておきます。


1. 今週のゴールから課題を確認する

多忙につき課題や相談事がうまく言語化できないとなった時は、課題があるかないか確かめるところから始めるようにしています。課題は現状と理想(ゴール)とのギャップであるため、今週のゴール状態をきき、その上で達成までのプロセスと1on1の後にすぐとれるアクションを確認することで、解像度をあげています。


2. テーマカードをおいておく

弊社にはDesign Opsチームが月1で開いてくれている新人マネージャー向けのよもやま相談会があります。そこで「1on1で話す内容がない」といった話題が上がり、その時に共有してもらった資料がこれです。

出典:https://kanki-pub.co.jp/edu/report/?p=2245

自分からもメンバーからも特段悩みや相談事がない時など、この図をもとに話の種を探すのに役立っています。


3. マネジメントの悩みを相談してみる

個人的に特にいいなと思っているのが、自分がマネージャーとして担当している組織課題の壁打ちをしてもらうことです。メンバーにマネジメントの仕事に触れてもらうこともそうですし、このレベルでも相談していいんだと思ってもらうこともこっそり狙いとしています。


4. テーマがない日があってもいい

最後は元も子もないですが、タイトルの通りです。メンバーのコンデイションに不安がなく、一定の関係値が出来あがってきた場合は無理せず、雑談したり、早めに切り上げてしまうのもありだと思っています。


おわりに

マネージャーになって約4ヶ月、まだ4名のメンバーとしか1on1していない自分がこのような大それたタイトルで記事を書くのはどうかと思いましが、ここまでやってきたことの整理として書いてみました。誰かがまた1on1の体験作りをする際の1サンプルとして、土台にしてもらえたら嬉しいです。

今後もいろんなメンバーと関わることによって1on1のやり方の幅も増えていくと思うので、実践知が溜まってきたらまた更新できたらと思います。

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