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ミズノ×ユーリ!!!のコラボをマーケティング的に読み解いてみる。

オタク女子向けコンテンツ×企業のキャンペーン事例を考察しています。
今回は、「ユーリ on ICE!!!」とミズノのコラボについてです。
コンテンツとのコラボは、そのファンコミュニティと関わることだと実感する事例になっています。

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企業名:ミズノ
商品:アニメ「ユーリ on ICE!!!」とのコラボスポーツウエア
媒体:自社ECサイト、Twitter
実施期間:2017年12月25日〜(予約受注販売は終了)

キャンペーン概要:
2016年秋期に放送されていた男子フィギュアスケートを題材としていたアニメ「ユーリ on ICE!!!」(以下、ユーリ)に衣装協力していたミズノが、主人公・勝生勇利のトレーニングウエアなどをコラボアイテムとして自社サイトで受注販売したもの。

かねてから、ミズノショップTwitterの中の人も作品のファンであり、ウエア製作にあたってのこだわりなどをこまめにツイートする(現在は製造過程をツイート中)ことから、ファンからの支持がとても高いキャンペーンでした。ウエアは、今年の夏を目安に発送予定と案内されています。

ポイント:
衣装協力をしていたミズノしかできないコラボという点で、特別感があります。さらにコラボアイテムがスポーツウエアのため、ものづくりというブランドのこだわりも届けることができるという、唯一無二のコラボとなりました。

また、ファンにとってストレスフリーな予約受注販売にしたこともポイント。そのぶん申し込みから商品を受け取るまでのタイムラグが発生しますが、「買えなかった」「転売されている」などに比べたら、待つほうがずっといいんですね。

Sports Business Magazineによると、「購入者の約90%が新規顧客だったこと。普段、同社が取り込み切れていない客層からのアプローチがあった」とのこと。良い結果になったことがうかがえます。

考察:
まずこのキャンペーンが成功した理由として推したいのは「ファンのインサイトを確実にとらえていたから」になります。ミズノがコラボウエアを作る。ミズノだもの、ちゃんとステキなウエアができるよねという期待や信頼感がありました。しかし、言葉を選ばずにいえば「ある意味で想定内」なのです。が、今回のコラボはその”想定内”をぶん殴りにくる!という展開に。

コラボのキャンペーンサイトオープンは、2017年の12月25日。この日はスケートの日であり、作品に登場するキャラクター(主人公のコーチであるヴィクトル・ニキフォロフ)の誕生日。その前日の24日は、全日本フィギュアスケート選手権の最終日で、平昌オリンピックに出場する選手の発表の日でした(厳密にいうと、世界選手権などの国際大会の代表発表含む)。
この日に、ミズノはあるツイートをします。

現地からテレビの前から多くのファンが代表の発表を見守る中、選ばれた選手達がミズノ提供の日本代表ジャージを着用してリンクへ登場します。
そのタイミングで、ミズノは白い代表ジャージを着た勝生勇利の書き下ろしイラストを  #もしも勝生勇利選手が代表ウエアを着たら とツイートしたのです。

ユーリファンのインサイトは、早く続編が見たいということ(新作の劇場版の制作が発表されています)。テレビアニメの放送が終了して1年以上経っている中、ヤキモキと期待を抱えて待っているのです。そういった中でミズノが公開した新規のイラストは、続編が見たいというインサイトを満たしてくれるインパクトがありました。続編とのリンクはなくても、作中で強化選手である勝生勇利の時間軸があのまま流れていたら…という想像を、見事に叶えてくれるスペシャルなものだったんです。

このツイートがなくても、コラボウエアは売れていたと思います。でありながらも、私たちの期待のはるか上を越えてくるミズノーーー!! 好き。

受注申し込み期間中も、Twitterを通してサイズのお知らせがあり、ショップへ足を運び、近しいサイズを試着してみるというファンも多く見かけられました。

アパレルとアニメのコラボは珍しいものではありませんが、スポーツ選手を支援する企業活動と作品がきちんとリンクしていたこと。そして代表ジャージを提供しているというアドバンテージを打ち出せたこと。理想的なメーカーとアニメ作品のコラボとなったのではないでしょうか。

また、7月末にサンプル展示会を行う発表もありました。このイベントは「幸せな気持ちになっていただくことを一番の目的」とし、当初イベント会場のみで販売する予定だったタオルのオンライン販売も、追加でアナウンスされました。一貫した愛のあるカスタマーサポートに好感を感じているファンは、とても多いです。

アニメとコラボするというのは、そのファンコミュニティと関わるということ。本コラボにおける、ミズノの徹底した共感を生みだすコミュニケーション姿勢は、とても参考になるものだと思います。

いただいたサポートは、本を買ったり推しに課金したりと、ハッピーコンテンツへ投資します!!!!!