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あの夜を体感した【あの夜を覚えてる 感想】

私ってこんなにラジオが好きで、救いだったんだなぁと改めて実感した。
ラジオの良いところがこの作品に凝縮されてた。すごく感動してしまったのは自分と重なるところが多かったから。ラジオを聞いたことがある人はみんな体験してることも詰まってた。

私にとってのあの夜

この演劇から一番感じたことは私にとってのあの夜。部活が朝からだけど、どうしても聴きたいゲスト回でリアタイして寝落ちしたり、ラジオ聞きながらテストの勉強をしてたら深夜3時を過ぎてたり。ラジオがあったから明日頑張ろって思えたり、その時間、人が話してる安心感で夜が怖くなかったり。ラジオは、友達でもあり、大好きだし救いだった。
別に、メールを読まれることや神回というだけじゃなくて、自分にとって大変だったり辛かったり楽しかった時に通常回で内容何も覚えてないけど、寄り添ってくれてた記憶とかも、全てを含んだ「あの夜を覚えてる」。ラジオって「自分の環境×ラジオの作り手」の構図になってて「自分のこと」にさせられるものなのかも。

本音の言葉

藤尾涼太の言葉の難しさすごくわかる。私もめちゃくちゃ話す内容準備して、それを軽くなぞる。ちゃんと伝えたいと思えば思うほどそうやってしまう。だからこそ、ちゃんと言葉で伝えられていないような気がして、そこに負い目があって、嫌になる。藤尾涼太はラジオが好きだから余計思ったのかなとか。
でも、台本があってもそれでも良いのかなと私は感じた。それだけでできてる訳じゃない。

前半の「藤尾涼太のANN」は全て台本だった。それに対して負い目を感じて藤尾涼太は辞めてしまうし、植村杏奈はなんで?とぶつけてしまう。

台本があったって良いと思わせてくれたのは紛れもなく2年後の藤尾涼太のANN0に感動させられたから。
台本を読みパーソナリティを演じていた藤尾涼太と、今回私たちが観た本音の藤尾涼太を演じていた千葉雄大が重なる。
千葉雄大さんと虚構の中の藤尾涼太が重なっていくような感覚と私たちに伝わってくる言葉は紛れもなく本当だと感じ、感動した。それは、きっと2年前の「藤尾涼太のANN」を聞いていた人も、本当の藤尾涼太と台本の中にある藤尾涼太が重なり、本当だと感じた瞬間が確かに、あるんじゃないかと思う。そう思うと、自分らしく話せるようなその人なりの伝え方で良いのだと背中を押しているように感じた。

実際、植村も真実がわかった後も藤尾涼太のラジオが好きだったと言うし、リスナーも分かっていたけどそれでも続けてほしいという。それは、確かに声から伝わる「声色」や「ばかまじめな所」など様々なことが内包されていて、そのラジオを聞いていた人に刺さっていたのだと思う。

だからこそ、ラジオはその人らしいもので、多種多様で良いのだともう一度感じた。

でもそれでも、伝えることが成長していたのが印象的だった。2年後の藤尾涼太のANN0もそうだし、植村杏奈もちゃんと大切なことは言葉で伝えてた。

ラジオを好きだということ

あとキャラクターに関してはみんなラジオが好きだということが伝わってきた。それぞれアプローチが異なるだけで、その芯は忘れていないように思った。
植村杏奈は、2年後、ラジオを仕事として、呑まなければならないことが沢山あった。自分の番組を台本にすることもメッセージコメントを入れ込むことも色々思う部分はある。でも、その中で、藤尾涼太に頼んだり、フリートークで行くことを決めたり、好きでいることを忘れていないと安心した。それを軸に、それだけは信じてやっている姿に心を揺さぶられた。
他のキャラクターも三四郎相田さん演じるプロデューサーは一見、嫌な人に見えちゃうけどプロデューサーの立場でサポートするし、工藤遥さん演じる相原もやる気がないように見えて実は熱かったり、そんな軸のあるキャラクターたちがそれぞれの立場で自分ができることを精一杯やっている姿に感動した。それがチームワークだった。そしてその愛が、あの藤尾涼太のANN0に集約されてたから、いわゆる神回に感じたのだと思う。

ラジオと生配信演劇ドラマ

この形式とラジオとがマッチしていて本当に良かった。
ドラマってカメラのところでしか演技をしないけど、これは確かに舞台だった。ぶれたり、揺れたりのリアル感が生々しさを表してた。
特に、藤尾涼太のフリートークの部分はなんであんなに揺さぶられたのかと思った。それは、藤尾涼太の経験が自分に重なったり、リアルタイムで送られてきたメールが自分に重なったり、役者さんの演技が今の時間に生で行われていることが、私にこの演劇を「自分のこと」にさせてくれて揺さぶられたのだ。

ラジオは「自分のこと」する媒体だと私は思う。最初に言ってたような「あの夜」の感覚が想起させられたのかもしれない。だからこそ、泣いてしまったし、この演劇も「あの夜」になる

まとめ

自分なりに感じたことをまとめてみたけれど、きっと一人一人見た感想は違うんだろうなぁなんて思った。
本当にラジオ愛が詰まった作品だったし、役者さんたちも本当に良かったし、スタッフさん達にも感謝。ラジオが好きで、この作品を見れて本当に良かった!ラジオみたいに明日ももうちょっと頑張ろうって思えた。
そして、これまで聞いてきたラジオを作ってくれた人にも感謝があふれる。
だからこそ「あの夜を覚えてる」

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