なりチャ

noteを開くのは少し久しぶりになってしまったが、今でも私は文字を書くことが好きだ。

私は今、二次創作を趣味にしている。所謂、文字書きというやつだ。ふと、私はなぜ二次創作をしているのだろうと思い立ち、考えた。文字を書くこと、つまりは文章を書くことが好きになった一番の原点は、小学生の頃、担任の先生に作文を褒められたことだったりするのだけど、そこから私は一次創作ではなく二次創作にはしったのか。単純に漫画やアニメが好きだと言うのはあるが。自分が新たな世界を作るよりも、他人が作った世界が好きだと言うのもあるけれど、そのルーツは多分、なりチャだと思う。

なりチャをご存知だろうか。
なりきりチャット。通称なりチャ。
キャラクターの口調を借りて他人と話す。ロールと呼ばれる行動を記載して、接触する、そういう遊び。

(利き手で拳を作り、とんとんと扉を叩き)すいませーん、旅の者ですけど。屋根を貸して貰えませんか(扉の向こうから返事がくるのを待ちながら背中に背負った箱の中で眠る妹を気にするように視線を背へと向けて)

みたいな。
()の中がロール、つまりキャラクターの行動。
これが私の小説、と呼ぶにはおこがましいけれど、二次創作にそっくりそのまま流用されているように思う。

かつてなりチャにハマっていて、今も二次創作で文字を書いているという人は、多分私以外にもいるんじゃなかろうか。

ふと、今はこの遊びは廃れてしまったのだろうか、と気になってググってみた。昔みたいにフリーの、誰かが作った掲示板やチャットルームなんかはほぼ無くなったようだ。私がなりチャをしていた時はみんな、個人のホームページを持っていて、ランキングサイトとかもあったりして、お相手募集掲示板なんかもあった。場合によってはメールでやり取りしてたんだった。リアルタイムでチャットすることもあれば、濃い設定なんかはメールでして。

なりチャには完全にキャラになりきってその世界観も守る完なりと、中の人の私生活をキャラクターの口調で話す半なりという遊び方もあって、例えば学生キャラクターを動かすなら、仕事であったことを「今日学校でさ〜」と置き換えて話す、みたいな。そういう遊び方もあった。

ウミガメのスープをしたり、ゲームをしたりもした。キャラ口調で通話をする人もいたようだけれど、私は声を他人に聞かせるのは嫌だったし、実家暮らしだったのでそれはしたことがない。

でも今も完全になりチャが廃れたわけじゃないようで、なりチャでググッた時に、とある作品が続けて検索候補に上がったのには笑った。『なりチャ ○○』という感じで、○○に入るのは今どきというか、令和だなーというジャンルだったのだけど。てかあれは半ナマじゃないのか……?まあいい。

黒歴史、なのだろうけど。あれはあれで楽しかったし、きっともう一度人生をやり直したとしても、私はなりチャを遊ぶ気がする。あの場で出会った、繋がった人たちと今はもう一切交流は無いけれど、ふとした瞬間に、私があの日どこかの誰かが息を吹き込んだキャラクターたちと交わした言葉を思い出すように、私のことも思い出してくれているのかもしれない。

ありがとな、ナツくん。あん時はごめん。まじごめん。ま、俺は今も適当にやってるよ。姫ちゃん助けたり、最近はスーパー経営しちゃったりしてさ。そっちもまだ歌ってる?久々に聞いてみたくなったわ。

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