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今日鼻に抜けた香りは、荒んだ日々を彷彿とさせる


ああ、ビックリした。

深夜の5時。
いつもの寝室の扉を横に開いたら、
知ってる香りがした。

普段嗅いでるものかもしれないけど、深夜で眠いからなのか、いつもより過敏になっているのか何故か「あ、知ってる」って思った。

すぐに思い出した。
あの日、あの時だ。

私がうつになっていた時の、香りがした。

木が燻ったような、少し埃っぽい香りだった。
6月、私が呼吸していた寝室で、いつもこの香りがしていた気がする。

人は思い出を、何かしらのきっかけで思い出す。

ある小さなことがトリガーとなって、
人の心の記憶を喚起する。


何年経っても、どこにしまっても
他愛ないことで直ぐに飛び出してきてしまう。

その時私は、胸の奥がキュってなって、ちょっとだけ苦しくて、思わず眉間に皺を寄せた。

そうやって抵抗感を見せることで、
完全に表に出てくるのを防ぐことが出来る気がするから。

人生は、心の持ちようって知ってる。


だけど自分の性格はなかなか変えられない。

人を羨ましがる自分と、

それが嫌で嫌で仕方がない自分と、

ちゃんとやらないとって呪縛になる自分と、

それに反して堕落する自分。

ああ、生きにくい、生きにくい。


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