見出し画像

自己否定からの解放ー自分を知り荒波を乗り越えたワタシの半生記31.念願の役者修行をはじめる

「せっかく短大まで出してやったのに…何やってるんだ、アイツは」

オンナだから高卒でいいと思っていたのに、行きたいっていうから短大に行かせてやって、ようやく就職が決まったと思ったら、こんなあっという間に辞めやがって…「就職先が決まらない」って泣きついてきたとき、口きいてやらなくて、ホントによかった。
それにしても毎日ウチに居られたら、近所からどんな目で見られるか…まいったなぁ…

両親の思いはこんな感じだっただろう。

母「お芝居やりたいならやってもいいけど、ちゃんと昼間に働きなさいよ」
ーじゃあいつ芝居の稽古をするんだよ…

ワタシは養成所みたいなところに入った。毎日稽古がある。上手いのはもちろんだが、毎日長く稽古場にいるヒトが評価される。あさイチで稽古場に入って夕方までいる子が「あいつ頑張ってるな」と言われる。
だけどバイトはしないと生活できない。だからみんな夜の仕事をする。
ワタシは親に「昼間の仕事をしろ」と言われて、それでも夜の仕事をする勇気がなかった。ワタシの反骨精神は、会社を辞めて芝居をはじめた程度がせいぜいなのだった。それ以上の世間体からはみ出す行為はできない小心者だった。

昼間仕事をしてる子は夜間クラスに入る。
夜間クラスの子は、どんなに上手くても昼間クラスの子以上の評価はされない。芝居を最優先にしてると思われないから。仕事が最優先と思ってる、とみなされるから。
「芝居が”いち”なんじゃないのかよ!!」
よく怒鳴られた。

確かに芝居漬けの生活は楽しかった。教えられて徐々にコツをつかんできて「これか!」と思ってきたころ、絶対的権力を握っているカリスマく〇指導者が奥さんがいながら教え子に手を出すという、く〇すぎる事件が発覚し、上手い子たちが一斉に辞めた。
「よっしーはどうするの?」
と同調圧力をかけられ、ワタシは内心実は何とも思っていなかったのだが(正直、芝居ができるようになってきたのが嬉しくてオンナ問題どうでもよかった←実はヒトに興味がない)ここで残ると言ったらヒンシュクを買いそうだなーと空気を読んでしまったのと、もう一つ。借金がふくらみすぎてしんどくなってきていたので、一緒に辞めてしまったのだった。

親からは「昼間働け」と言われたものの、稽古場では昼間いないと評価されない。ワタシはぎりぎりのところで何とか昼間もいられるよう仕事をやりくりしていたのだが、舞台が続くとチケット代というノルマが課されるため、どうしても万単位のおカネが必要になってくる。

仕方がないから親から借金していたのだが「早く返せ」と催促される。しかし返せるあてなんかないのだ。役者として成功しなければ永遠に借金が返せるわけがないのである。この生活をいつまで続けなければいけないのか。いつ抜け出せるのか…ワタシはあんなにやりたかった芝居をしながら、実は次第に追い詰められていた。

芝居は楽しい。
だけど続けられない。
親からの催促、白い目でみられるのに耐えられない。
大体、自分に才能があるかさえわからない。上手い子たちはテレビの仕事が来たりしてるけど自分には全くそんな気配がなかった。
ダメなんだ。
どうせワタシは役者なんかなれないんだ。

結果を急ぎ、早く白黒つけたがる自分の気質から、ワタシは役者をあきらめた。上のクラスにいた上手い子たちは、芸能事務所を探して所属したり劇団に所属したりしていたが、ワタシにそんな勇気はなかった。

(ワタシなんてどこに行っても受け入れてもらえないだろう…)

そんなチキンな思いが、その先の自分の行動を阻んだ。

役者修行はほんの3年ほどで終わった。


もしよろしければサポートお願いします!! 動画制作等の資金にさせていただきます