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臆病者の恋

お互い知り合ったばかりで、お互いを知るために試用期間3カ月を設け、その終了日がやってきたので、向き合って話しをすることにした。

時間を過ごしながら、お互い好きなのは感じ取っていて、試用期間になにか意味があるのかもよくわからなくなってきていて、それでもなお、50歳間近に自分が誰かを好きだと思うこともないと思っていて、そうじゃない、誰かと向き合ったり、傷ついたりすることはめんどくさくて、そうじゃない、怖くて、逃げ出したくなるから、試用期間を言い訳にいつでも逃げ出せる準備をしていた。

わたしの口から思ってもいない考えてもいなかった「もう終わりにしようか」という言葉がでてきた。それは言ってはダメ!自分の心の中で叫んだ。

そう発してしまったらもう自分の感情からも相手の感情からも逃げたくなって、「帰りたい」という言葉がでてきた。なんで、思ってもいないのに。ひきとめてほしいわけでもなく本当にその場から立ち去りたかった。こんな自分が恥ずかしかった。

いつからこんなに恋愛に臆病になっていたんだろう。臆病な自分さえも見失っていた。時間をかけて彼が絞りだした言葉は「本当に帰りたいの?俺は一緒にいたい」と言った。

あぁ、ごめんなさい。恋をめんどくさくしていたのはわたしだった。その素直な言葉でわたしは救われた。

彼はわたしに気づかせてくれた。わたしが臆病なことも、素直でいることの大切さも。きっとまた忘れちゃうけどね。


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