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御用聞きであれ

「御用聞きににはならないでください。お客様に提案できるビジネスパーソンになってください。」
入社して間もなく行われた新人研修で人事の方に言われた言葉です。
私は現在ルート営業の仕事をしているのですが、ルートを回って仕事をしている人は同じことを言われたのではないでしょうか。

Q.「御用聞き」とは
A.単純明快な回答はこちらです

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「御用聞き」とはサザエさんに出てくる三河屋のサブちゃんのことであり、ただお客さんの注文を受けて商品を配達しに行く人のことです。

つまり人事の方が言いたかったのは
「お客さんの言われた通りに発注、納品をするだけじゃなくて営業として商品を提案して利益を出せる人間になれ。」ということでしょう。
さらに先輩にも
「初っ端からガンガン営業してないと売り上げを競合にとられるし、お客様も『この人全然商品紹介してくれないな…』ってなっちゃうよ。」
と言われました。

それを聴いた私は
「確かにな。配達するだけならスーツを着てする仕事じゃねーしな。
絶対にならないようにしよう。」
と決意し、ルートを回るようになった頃には
「1日1回、新商品などを紹介してお客さんと絶対に会話する」というノルマを課して働き始めました。

ガンガン営業をかけまくった私。しかし何故か空回りというか手応えを感じませんでした。
終いには
「ちゃんと商品のことを勉強してから紹介してください。」
「(商品を案内した後)そういうのいいからちゃんと納品やってください。」
「最近、頼んだ商品を届ける部分がいい加減です。」

とクレームを貰うようになってしまいました。

「終わった…」

こんな適当なやつから商品なんて勧められても買うわけがない。
私は営業をやめ発注と納品に徹するようになりました。
基本から頑張ろうというよりはもう怖いからお客さんと話したくないと感じるようになりました。
なので心のどこかで
「結局御用聞きだ。ダメだな…」と思っていました。

以前から投稿しているように会社の意義とのミスマッチに気がついた私はモチベーションが上がるわけないと考え、
御用聞き上等。発注と納品だけで何が悪い
と開き直っていました。
人の志とは随分変わるもんだと呑気に考え日々過ごしていましたが、ある日異変が。
「なんか最近お客さんからの頼まれごととか見積もりの話をたくさん貰うな…」
言われたことしかやらない絶賛落ちこぼれダメサラリーマン御用聞きにやけに美味しい話が飛び込んでくるようになりました。
そして私は遂に気がつきました。
「最近発注と納品のミスがほぼ無いからちょっと頼られ始めてんな…」

そしてある人物の顔が頭をよぎりました。

三河屋のサブ

よくよく考えたらサブちゃんは作中に意外とサザエさんと会話しています。

「俺よりお客さんとコミュニケーション取れている…」


彼は注文を受けて発注して届けることしかしていませんが(そうじゃなかったらごめんなさい)その道のプロ。
ミスをしているところなんて見たことないし、サザエさん一家との関係も良好。
反面教師なんてもってのほかでありお手本の様な存在だったのです。


御用聞きは絶対に避けなければならないポジションではないと思うんです。
むしろ絶対に通過しなければならないポイントだと思います。
だから私が人事だったら最初は
「完璧な御用聞きを目指そう。」と言います。

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