映画『痛くない死に方』理想の終活プラン
あらすじ
在宅医師の河田仁は、末期の肺がん患者・井上敏夫を担当することに。敏夫は娘の智美の意向で、痛みを伴いながら延命治療を続ける入院ではなく「痛くない在宅医」を選択したのだが、結局苦しみ続けてそのまま亡くなってしまう。あのまま病院にいさせた方が良かったのか、自宅に連れ戻した自分が殺したことになるのではないかと、自分を責める智美の姿に衝撃を受ける河田。在宅医の先輩である長野浩平に相談した彼は、思わぬ事実を突きつけられる。
監督:高橋伴明
キャスト:塚本佑、坂井真紀
「多くの医師にとって延命は至上命題だから、みんな患者を少しでも長く生かす事に心を捕らわれている」
映画の中でそんなセリフが出て来た。
患者自身は耐え難い苦痛の中で一刻も早く死ぬ事を望んでいるのに、延命に捕らわれた医師や家族はその望みに戸惑い、適切な処置をする事が出来ない。
末期ガンのフェーズでもう治る見込みがなく、遅かれ早かれ死ぬ運命にある者に対して、苦しみばかりが続く延命治療は必要だろうか?
僕にはただの拷問に見える。
家族に延命治療するのもされるのも嫌だ。
多くの人が望む理想の死に方は、健康なうちにポックリと死を迎える事だと思う。
ただこの死に方は偶発的なものだから、どれだけ健康を維持しても確実にポックリ逝ける方法など今のところない。
ポックリが無理ならそれに代わる理想的な死に方として安楽死が候補に挙がる。
方法が確立されている安楽死ならほぼ確実に穏やかな死を迎える事が出来る。
スイスやベルギーなど、海外ではすでに安楽死を合法化している国もあるけど、延命を至上命題とする医師がまだまだ多い日本の終末医療では、自殺幇助に該当する可能性を懸念して忌避されている。
僕は安楽死が人類史上最も人道的な医療行為だと思っているので、日本でも合法化される事を望んでいる。
独身だからこのまま行くと部屋で孤独死するしかない。
誰にも気付かれずに発見が遅れれば、僕の遺体は悲惨な状況になって、部屋が事故物件になってしまう。
出来れば家族や周囲の人に迷惑をかけたくない。
そして僕の後始末をする遺族にいくらかでもお金を残したいと考えている。
僕の理想の終活プランは、安楽死マシン『サルコ』でこの世から旅立つ事。
サルコは苦痛がなく、むしろいくばくかの陶酔感を得ながら自発的な死を迎えることを目指した安楽死マシン。
安楽死をアシストするのはポッド内に充満する窒素ガスで、生分解性の素材で作られたそのポッドは、死後そのまま棺としても使える。
ただサルコの開発団体は安楽死の脱医療化を目指しているので、安楽死制度がある国でもこのマシンの実用化はかなりハードルが高い。
マシンの実用化までは無理でも、遅かれ早かれ日本も海外の流れに従って安楽死を合法化すると思う。
僕は自殺する勇気もないし、母親より先に死んで悲しませたくないので、安楽死が合法化したら母親がこの世を去るのを待ち、その後に兄妹たちと相談して安楽死したいと思っている。
寝たきりになる前に身辺整理をして、遺族になる兄妹たちに金銭的負担や精神的負担をかけないようにしたい。
それが僕の理想の終活プラン。
これが出来たら、とにかく生きづらい愛着障害の暗く湿った不甲斐ない人生にも折り合いがつく。
死ぬ時まで苦しい思いや痛い思いをするのはごめんだ。